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【受験生応援企画】もしもあのカリスマ予備校講師が正教会の祈祷文を解説したら

■はじめに

はいみなさんこんにちは〜

元暴走族のカリスマ予備校古文講師の●野●介です。

まあ見た目はこんないかつい感じだけど、結構いいやつなのよ?俺。

早速今日も授業をやっていこぉー。

今回の問題は早稲田の政経学部の入試に出題されたとかされてないとか、そんな感じの文章だ。

それがこれ。

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Twitterのタイムラインで拾ったものを引用させてもらう。この画像主の人、もし勝手に引用されちゃ困るのであれば連絡してくれ!

■祈祷文の基礎知識

まず出典だけど、これは結構文学史で出るから覚えておこう。

一番最初に「神現祭・誦経(しんげんさい・しょうけい)」とあるな。

「神現祭」は西方教会でいうところの「公現祭」を意味するけど、東方教会と西方教会では意味合いが違う。

西方教会では公現祭は「東方三博士の礼拝」を記念するものであるのに対して、東方教会では「イエスの洗礼」を記念するものだ。

「誦経」は正教会において祈祷文が詠まれる事を言う。「詠まれる」と書いたのは、正教会では祈りを唱える時は歌うのが基本だからなんだ。正教会の礼拝堂がなんかを見ると、まるでお経を唱えているかのように、節を付けて歌うように祈っているのがわかるぞ。

その次に「トロパリ」とあるな。これは「讃詞(さんし)」という祈祷文の種類で祭日における重要なものとおさえておこー。

■トロパリの解説

じゃあ本文行くぞ!

「主よ」、の「主」を人物なんで四角で囲もおー。

「爾が」の「爾」も人物なんで四角にする。

この「主」と「爾」はイエスのことを指しているんだ。

「イオルダン」は、ヨルダンの正教会式の表記で、いいな。ここではヨルダン川のことを言っている。

「洗を受くる」の「洗」は洗礼のことで、いいな。

「受くる」、終止形は「受く」のカ行下二段動詞。「け・け・く・くる・くれ・けよ」と活用する。いいな?「くる」は連体形の活用語尾。下に「時」という体言があるから連体形で、いいな?

「カ下二・体」と書いておこぉー。

「聖三者の敬拝は顕れたり」、の「聖三者」を人物なんで四角にする。「聖三者」は西方教会でいうところの「三位一体」だ。詳しくはこの記事を見よう。



「敬拝」は字面通りに捉えればいい。「顕れたり」の「顕れ」終止形は「顕る」のラ行下二段動詞。「れ・れ・る・るる・るれ・れよ」と活用で、いいな?「ラ下二・用」と書いておこぉー。

「たり」は「顕れ」が連用形だから、連用形接続の助動詞「き・けり・つ・ぬ・たり・たし・けむ」の「たり」で、意味は完了または存続だ。ここでは完了で取ろう。「たり」は完了、なんで「完」と書いておこぉー。

ここまでをこう訳そう!

「主よ、あなたがヨルダン川で洗礼を受ける時、三位一体の敬拝が顕れました。」

次行こう!

「蓋(けだし)」は「まさしく、たしかに」など確信を持って推定するときに言葉。「父の聲爾を證して」の「父」を人物なんで四角にする。「證」は「証」の旧字体だ。そのまま「証して」と訳していい。

「至愛の子」は「この上なく愛する子」。「聖神も鴿の形に顕れて言の確かなるを示せり」の「聖神」を人物なんで四角にする。「聖神」は西方教会でいう「聖霊」のことだ。

「言の」の「の」は主格の格助詞でいいな。「が」と訳す。

「確かなる」は形容動詞「確かなり」の連体形。

形容動詞ナリ活用の活用、復習しておこう。「なら・なり・に・なり・なるなれ・なれ」だな。

下に「を」がついている時は連体形になると覚えておこう。「こと」と訳すのがいい。

「示せり」の「示せ」は四段活用動詞「示す」の已然形。「四段・已」その下の「り」は示「せエェー!・らりるれ、存or完」。いいな。四段の已然形につく「り」は完了。なんで「完」と書いておこぉー。

ここまでを訳すと、

「まさしく父なる神の声はあなたを証して『この上なく愛する子』と名付け、聖霊も鳩の形で顕れて、この言葉が確実であることを示しました」

最後。「現れて世界を照らしし」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形。「きが終止、しが連体、しか已然」でいいな?

活用が出てこなくても、下に「ハリストス神」という体言があるから、その時点で連体形とわかる。

「ハリストス神」を人物なんで四角にする。「ハリストス」は正教会における「キリスト」の呼び方だ。「光栄」は「栄光」とほぼ同じ。「帰す」は「もとにいた場所に帰るように仕向ける」こと。「帰らせる」と訳そう。

若干意訳する。「現れて世界を照らしたキリストよ、栄光はあなたのところへ回帰します」だな。

重要な文法がいっぱい出てきたんでおさえておこー。

■コンダクの解説

続いて「コンダク」。これも文学史!「小讃詞」という祈りのジャンルと抑えておこー。

「主よ」の「主」、人物なんで四角にしよぉー。

「爾は」の「爾」、人物なんで四角にする。

「世界に現れ、爾の光は我等に印されたり」の「我等」人物なんで四角にする。「れ」に○、「たり」に○しておこー。

「印さ」は四段動詞「印す」の未然形。「四段・未」と書いておこぉー。

未然形の下の「れ」は「る」の連用形。「る・らる・す・さす・しむ・ず・じ・む・むず・まし・まほし」が未然形接続の助動詞でいいな?

「る」は「自発・可能・受身・尊敬」の意味があるが、ここでは爾の光「は」我等「に」印されとある。「AはBに」の形なんで意味は受身だ。

「たり」は連用形接続の助動詞で完了でいいな。

ここまでを訳すと、「主よ、あなたは世界に現れて、あなたの光は私達に示されました」

続いて、「我等」人物なんで四角にする。「爾」人物なんで四角にする。

「承け認めて歌う、近づき難き光よ」、「爾」人物なんで四角にする。来りは「きたり」と読むのでここではカ変ではなくラ行四段活用「きたる」の連用形。四段・用。

「爾」人物なんで四角にする。現れ給えりの「給え」は「現れ」につく尊敬の補助動詞「給え」の已然形。「給えェー!らりるれ・存or完」で完了の助動詞「り」の終止形で、いいな?

こう訳そう!「私達はあなたを信じ認めて歌います。近づき難い光よ、あなたはやって来た。あなたは現れなさった、と。」

■おわりに

以上で今日の授業は終了だ!重要な文法、単語がたくさん出てきてので復習しておこう。古文は得点源になるし短期間で伸びる科目だから頑張れよ!

ちなみに俺、正教会の知識はほとんどネットで調べたものをそのまま書いているんだがそのへんはゆるしてくれ!

正教会や文語訳聖書は古文の勉強にもってこいだ!あと讃美歌の歌詞なんかも使えるぞ!古文の知識があれば教会生活が更に楽しくなる!

それじゃあまた会おう!

最後に一言!「今、頑張れないやつは一生頑張れない!」

さらば、愛しの受験生!

最後に現代語訳をおさらいしておくぞ!

トロパリ 主よ、あなたがヨルダン川で洗礼を受ける時、三位一体の敬拝が顕れました。まさしく父なる神の声はあなたを証して「この上なく愛する子」と名付け、聖霊も鳩の形で顕れて、この言葉が確実であることを示しました。現れて世界を照らしたキリストよ、栄光はあなたのところへ回帰します。

コンダク  主よ、あなたは世界に現れて、あなたの光は私達に示されました」「私達はあなたを信じ認めて歌う。近づき難い光よ、あなたはやって来た。あなたは現れなさった、と。

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