【シリーズ・復活祭】アニメキャラが解説する「過越の聖なる三日間」~「聖木曜日」編~
■はじめに
「・・・ここは、どこですか?」
「碇シンジ君、あなたに見せたいものがあるの」
シンジ「!!!???これは・・・あの有名な!?」
リツコ「そう。かのレオナルド・ダ・ヴィンチが作り出した、究極の絵画『最後の晩餐』。我々人類の歴史に燦然と輝く傑作よ。そしてこれの解説をするのが我々NERVの使命。」
シンジ「これも父の仕事ですか?」
「そうだ!」
ゲンドウ「久しぶりだな」
シンジ「父さん・・・」
ゲンドウ「解説」
「解説?解説なんて重大な役目、まだ誰もなしえていないのよ?今から解説をするというの?」
リツコ「ほかに道はないわ。」
ミサト「ちょっと、レイはまだ動かせないでしょ?解説役がいないわよ!」
リツコ「さっき届いたわ。」
ミサト「・・・マジなの?」
リツコ「碇シンジ君。」
シンジ「はい」
リツコ「あなたがやるのよ。」
シンジ「え・・・・?」
ミサト「でも、綾波レイでさえ解説役の基礎が身に着くまでに7か月もかかったんでしょ?今来たばかりのこの子にはとても無理よ!」
リツコ「立っていればいいわ。それ以上は望みません。」
ミサト「しかし・・・」
リツコ「今は最後の晩餐の解説が最優先事項です。そのためには誰であれわずかでも解説可能と思われる人間にやらせるしか方法はないわ。わかっているはずよ、葛城一尉。」
ミサト「・・・そうね・・・」
シンジ「父さん・・・なぜ呼んだの?」
ゲンドウ「お前の考えている通りだ。」
シンジ「じゃあ僕がこの絵に前に立って、この絵のことについて解説しろっていうの?
ゲンドウ「そうだ。」
シンジ「嫌だよそんなの!何をいまさらなんだよ!父さんは僕がいらないんじゃなかったの?」
ゲンドウ「必要だから読んだまでだ。」
シンジ「・・・なぜ、僕なの?」
ゲンドウ「ほかの人間には無理だからな。」
シンジ「無理だよそんなの・・・見たことも聞いたこともないのに、できるわけないよ!」
ゲンドウ「説明を受けろ。」
シンジ「そんな・・・できっこないよ!解説なんてできるわけないよ!」
ゲンドウ「やるなら早くしろ。でなければ帰れ!」
リツコ「シンジ君、時間がないわ。」
ミサト「解説しなさい。」
シンジ「嫌だよ…せっかく来たのに、こんなのないよ!」
ミサト「シンジ君、何のためにここに来たの?駄目よ逃げちゃ!お父さんから、何よりも自分から!」
シンジ「わかってるよ!でも、できるわけないよ!」
ゲンドウ「・・・」
ゲンドウ「冬月。レイを起こしてくれ。」
冬月「使えるかね?」
ゲンドウ「死んでいるわけではない。」
冬月「わかった。」
ゲンドウ「レイ。予備が使えなくなった。もう一度だ。」
「はい。」
シンジ「・・・やっぱり僕は・・・いらない人間なんだ・・・」
レイ「きゃあっ!」
シンジ「大丈夫ですか!?」
シンジ「はっ・・・・!!??」
シンジ「逃げちゃだめだ・・・
逃げちゃだめだ・・・
逃げちゃだめだ・・・
逃げちゃだめだ・・・
逃げちゃだめだっ!!!」
シンジ「やります!僕が解説します!」
■「聖木曜日」とは
リツコ「大丈夫よシンジ君。まずは『聖木曜日について』。それを解説していけばいいの。」
ミサト「私たちもできるだけのことはサポートするわ。」
シンジ「・・・はいっ!」
シンジ「前回の記事にもあったように、『受難の主日』から復活祭までの一週間は、『聖週間』になります。そして、聖週間の木曜日、金曜日、土曜日の三日間はそれぞれ『聖木曜日』『聖金曜日』『聖土曜日』と呼ばれ、合わせて『過越の聖なる三日間』と呼ばれます。」
ミサト「そうね。そしてその三日間は特別な典礼が行われるというわけ。」
リツコ「では聖木曜日はどんな特別な典礼があるか。シンジ君、いけるわね?」
シンジ「・・・はい!」
シンジ「聖木曜日は、冒頭に出てきた『最後の晩餐』の題材にもなっている、イエスが十字架につく前日、弟子達とともにとった最後の食事を記念する日。イエスがユダが裏切者であることを宣告するシーンはあまりにも有名です。」
ミサト「そう。その晩餐会では、イエスは後世まで伝わる有名なことをしたわね。」
シンジ「はい。イエスはまず、食事の席に着く前、弟子達の足を洗いました。本来であれば身分の低い使用人がする『他者の足を洗う』という行為を、イエスが自分よりも目下の立場である弟子たちにしたということは、『人の上に立つものは、下の者に仕えるものとなりなさい。そして自分のようにあなた方も互いに足を洗いあい、愛し合いなさい』ということを身をもって示したということになります。」
リツコ「そして、大事なのは、前回にもある通り、特にカトリックでは聖書の重要なシーンを再現することが多い、ということ。そうよね?」
シンジ「はい。そのため、聖木曜日のミサでは『洗足式』を行い、神父様がミサの参列者の足を実際に洗う典礼が行われます。」
■聖体拝領は聖木曜日から
ミサト「そしてもう一つの重要なシーンもあるわね。」
シンジ「はい。それは、パンを自分の身体、葡萄酒を自分の血として弟子たちに分け与え、『私の記念としてこのように行いなさい』と示したこと。これが今日まで続く聖体拝領、聖餐式(礼拝内で信者がパンと葡萄酒をいただく儀式)の原点です。」
リツコ「一般的には『最後の晩餐』と呼ばれるこのシーンも、正教会では『機密制定の晩餐』と呼ぶわ。相変わらずネーミングセンスが見事ね。要するに、『キリストの身体を食べ、血を飲むという聖体機密(聖体拝領、聖餐式)が制定された晩餐』という意味ね。
シンジ「教派によってこの最後の晩餐をどう捉えるかは違います。この記事の『青葉モカさんの項目』に詳しく書かれているので、参考にしてください。聖木曜日についての解説は以上です」
■おわりに
シンジ「終わった・・・これで・・・よかったのかな・・・僕は自信がない。綾波のような覚悟もない・・・」
ミサト「シンジ君、あなたは人に褒められる立派なことをしたのよ。胸を張っていいわ。」
リツコ「そうね。ミサトの言う通り。シンジ君、よく頑張ったわ。」
レイ「碇君、碇指令からメッセージよ。」
シンジ「父さんから?」
ゲンドウ「話は聞いた。よくやったな、シンジ。」
シンジ「え?・・・は、はい」
シンジ「父さんが褒めてくれた・・・そうか・・・『内容がどうだったか』じゃない!『やり遂げたかどうか』が大事なんだ!聖木曜日と最後の晩餐、それらの意味、聖書の福音、典礼の素晴らしさを伝えるという気持ちが大切なんだ!」
シンジ「僕は、ここにいてもいいんだ!!!」
パチパチパチパチ・・・・・・・
ゲンドウ「おめでとう」
ミサト「おめでとう」
リツコ「おめでとう」
レイ「おめでとう」
トウジ「おめでとさん」
アスカ「おめでとう」
冬月「おめでとう」
カヲル「おめでとう」
==================終劇===================
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