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「鬼滅の刃」キャラクターで学ぶキリスト教知識

◾️はじめに

さて今回は、前回に引き続いて「鬼滅の刃」。前回が異色の内容だったので、今回はキャラクターでキリスト教の知識を学ぶ、いつも通りの緩い感じで行ってみましょう。登場キャラは主要人物、そして「柱」のメンバーです。

◾️竈門兄妹とその仲間たちで学ぶキリスト教知識

主人公の竈門炭治郎は、炭焼き職人だった父親の跡を継いで、炭を焼いてそれを売って生計を立てていました。心優しい性格で、敵であるはずの鬼に対しても非情になれない慈悲深いところがあります。髪や瞳が赤みがかっており、火仕事に縁起の良い外見と言われています。火の仕事をすると火事には注意しなければいけませんが、ローマのラウレンティウスは火事や火傷の守護聖人です。というか、この方は超万能な聖人で、ありとあらゆる事象の守護聖人です、ざっと挙げると、菓子製造人、料理人、栄養士、メイド、宿の管理人、肉屋、醸造者、図書館司書、兵器製造者、ガラス工、コメディアン、学生などがあります。どんだけ守ってんだって感じですよね笑

炭治郎の妹でヒロインの竈門禰󠄀豆子。不幸にも鬼となってしまいますが、他の鬼と違い、人を食べなくても生きることができます。「人を守れ」と炭治郎の師匠・鱗滝左近次に暗示をかけられており、鬼でありながら人間のために鬼と戦います。禰󠄀豆子の血鬼術(鬼の特殊能力)は、自分が流した血を敵に付着させ、爆発させることができる「爆血」。人間を救うために血を流すなんてまさにイエス・キリストそのもの。「これは、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である」(マルコ14:24)といった感じですね。

ビビリでヘタレ、女性には目がない我妻善逸。炭治郎の同期です。情けない、やかましいキャラクターですが、いざというときには「雷の呼吸」を使って戦います。十二使徒のゼべタイの子ヤコブとヨハネ兄弟は、荒っぽい一面があることからイエスに「ボアネルゲス(雷の子ら)」と呼ばれていたとのこと。しかし十二使徒の中では一番弟子のペトロと並んでこの2人が高い地位にあったので、やかましいながらも有能な点は善逸に通じるものがありますね。

猪の被り物を被った嘴平伊之助。親に捨てられ、山で猪に育てられた野生児で、戦闘スタイルは荒々しい猪突猛進スタイル。被り物を取ると中性的な美男子というギャップがあります。聖書では「森の猪がこれを荒らし 野の獣が食い荒らしています」(詩篇80:14)が猪という言葉が出てくる唯一の箇所です。彼の使う呼吸法は「獣(ケダモノ)の呼吸」。獣という言葉はよく聖書に登場します。

炭治郎の同期の紅一点・栗花落カナヲ。僕のお気に入りです。剣術の腕前は炭治郎を凌ぐほどで、可愛くて強いなんて最高すぎるんですが、彼女はかつて親に虐待され、売りに出されるところを保護されたという過去があります。ずっと自分の意思を持たず、人に言われた通りに行動してきましたが、炭治郎に「コインを投げて表が出たら、カナヲは心のままに生きるんだ」と賭けを持ちかけられ、見事表が出たことで、少しずつ自分の意思で行動できるようになります。この時炭治郎は銅貨を投げたのですが、新約聖書にはレプトン銅貨という、古代ギリシア世界で使われていた銅貨があります。エルサレム神殿で貧しいやもめが賽銭箱にレプトン銅貨二枚を入れるのを見て、イエスが「この人は誰よりもたくさん献金した」と金持ち達に説く話は有名です。

カナヲの使う呼吸法は「花の呼吸」。花という言葉は象徴的な言葉として聖書にたくさん出てきます。

◾️柱メンバーで学ぶキリスト教知識

「柱」は鬼殺隊の中でも最高の実力を持つ剣士。作中には9名が登場します。映画「無限列車編」の大ヒットにより一躍時の人となった、「炎柱」煉獄杏寿郎。「煉獄」とはカトリック用語で、本来地獄に行くはずの人間の魂が浄化され、天国行きが約束される場所を指します。この教義はカトリック以外では認められていません。

煉獄さんをテーマにした曲で、昨年のレコード大賞にも輝いたのが「炎(ほむら)」という曲。キリスト教の重要な行事である聖霊降臨祭(ペンテコステ)は、イエスの復活から50日後、天から信徒達に「炎の舌」が降り注いだことを記念するもので、典礼色も炎を象徴する赤。炎が降り注いだ信徒達はさまざまな言葉を話し、さまざまな場所に情熱を持ってイエスの教えを広めていきます。「心を燃やせ」と説いた煉獄さんの熱い情熱に通じるものがあります。

炭治郎の兄弟子でもある冨岡義勇は「水柱」。水はキリスト教にとって大切なもの。洗礼を受ける時は水を使いますし、司祭は聖水を振りかけて会衆を祝福します。ノアの方舟や、モーセの海割りのシーンにも水が出てきますし、十字架で死んだイエスの脇腹からも血と水が出てきます。聖書の重要なシーンはいつも水がともにあるんです。まあこれ、復活徹夜祭の水の祝福の式文の丸パクリなんですけどね笑

冨岡さんと並んで最初に登場するのが「蟲柱」胡蝶しのぶ。物腰柔らかな美人ですが、時折笑顔で毒を吐きます。この手キャラの声は早見沙織さん以外ありえないですよね。僕もあの綺麗な声で罵ってほしい笑

しのぶさんは小柄で非力なので刀を振れませんが、その代わり薬学に精通し、鬼を殺す毒を仕込んだ銛を突き刺して鬼を倒す戦法をとっています。聖ジェンマ・ガルガーニは「薬剤師」の守護聖人で、聖痕(イエスが十字架で受けたのと同じ傷が体に現れる現象)を受けたという伝承があります。

外見の通りとにかく派手なものを好む「音柱」宇髄天元。「あなたがたの装いは、編んだ髪や金の飾り、あるいは派手な衣服といった外面的なものであってはなりません」(ペトロ一3:3)とありますが、宇髄さんは実力もちゃんとある人なので、ある程度の着飾りは許してあげましょう。

首に常に蛇を巻いている「蛇柱」伊黒小芭内。蛇はキリスト教の宗教画にもよく登場する悪魔の象徴的な動物。エバに禁断の果実を食べるように唆したのも蛇です。でも伊黒さんはねちっこいけどいい人ですよ。

大柄な体格の僧侶、悲鳴嶼行冥は「岩柱」。柱では最年長かつ最強の実力を持ち、リーダー的な存在です。十二使徒のリーダーといえばペトロですが、彼の名前は「岩」という意味。岩でリーダー、意外に共通点が多い2人ですね。余談ですが、もし鬼滅の刃の舞台が欧米だったら、悲鳴嶼さんは神父や修道士だったりするんでしょうか。

数少ない女性の柱である「恋柱」甘露寺蜜璃。可愛らしいルックスと天真爛漫なキャラに似合わず怪力で、常人の8倍のパワーの持ち主です。まさに「あなたの怪力がどこに秘められているのか、教えてください」(士師記16:6)って感じですよね。蜜璃ちゃんは「恋の呼吸」の使い手。旧約聖書の「雅歌」は全編が男女の恋の歌です。素敵な恋人を求めている蜜璃ちゃんに是非読んでいただきたいです。

「風柱」不死川実弥は、「風の呼吸」の使い手。荒々しく交戦的で、「強い風が吹いて、湖は荒れ始めた」(ヨハネ6:18)といった感じですが、意外にも理知的で優しい面があります。第一印象が悪いキャラほど実は後々いいやつだとわかるパターンですね笑

時透無一郎は「霞柱」。柱では最年少の14歳で、刀を握ってわずか2ヶ月で柱となった天才です。容姿も儚げな美少年で女性人気が高いキャラクターです。「体に難点がなく、容姿が美しく、何事にも才能と知恵があり、知識と理解力に富」んでいる(ダニエル1:4)のです。羨ましいです。

◾️おわりに

ものすごく長くなりましたが、鬼滅の刃の主要キャラクターでキリスト教知識を学んでいきました。今回はiPadで執筆したのですが、何がすごいって、難読文字ばかりのキャラクターの名前が、予測変換で一発で変換できること。iOSすごい。というか鬼滅の影響力が凄すぎます。

長すぎてもうめちゃくちゃ疲れました。そろそろ寝ます笑

それではまた次回!

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