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意外と変愚だったカクタスガール

この記事はRoguelike Advent Calendar 2020の11日目です。

変愚プレイヤーに「変愚蛮怒みたいなゲームを作りました!ツールはウディタです!」という触れ込みのフリゲを教えたらどう思うか。十中八九大型地雷と判断するだろう。
事実、私もそうだった。たまたまsteamに積んであったゲームを崩す合間にもぐらゲームスのレビューを読み、心に余裕があったため地雷を覚悟してプレイしてみたのである。
そして結論から言うと「致命的な欠点はあるもののコンセプトとしては成立しており十分ローグライクとして遊べる」くらいのフリーゲームの中では当たりと言っていいレベルの良作だったのだ。

カクタスガールは「変愚蛮怒を意識している」「プレイヤーがゲームに習熟し初回クリアにたどり着くまでのプレイ時間は本家変愚よりかなり短い」という特徴がある。
この2点を満たすゲームはカクタスガールが初めてではない。短愚蛮怒がすでに存在しているからだ。

カクタスガールと短愚蛮怒、この二者の違いを端的に述べるなら圧縮と省略の違いと表現できるだろう。
短愚蛮怒はプレイ時間を縮めるために、プレイ時間の大半を占めていたトレハンやレベリングを大幅に高速化する要素の追加や数値調整をしている。しかし本家にあった要素はほぼそのまま存在し、ただただゲーム体験を濃密に圧縮する方針を採っている。
対するカクタスガールは本家にある要素を容赦なく削り取っている。キャラメイク、鑑定システム、マップ探索、あれがないこれがないと言い始めるとキリがない。
しかしカクタスガールは「常に頓死の危険と隣合わせになりながらもアイテムを収集し少しずつキャラクターをダンジョンの深層へとねじ込んでいく」というゲームプレイの本質部分をブレずに捉え、かつ速度システムや耐性パズルといった変愚らしさを損なうことなく新たなゲームとして再構成している。例えばマップと敵がすべて公開されているのは本家で言えばテレパシーと全感知ロッドが揃うまでのゲームプレイを省略した結果とも言えるだろう。

もう一つ特筆する点があるとするとカクタスガールは個人製作者が2年やそこらで開発したにしては妙に数値バランスが良いということが挙げられると思う。一度通しでプレイしてみた感覚でいうとスポイラーも何もない状況でクリアを目指して遊ぶ時の手応えというのがちょうど良かった。
この辺りに関して、敵の攻撃にクリティカルがあり予想外のところでの死亡があることをマイナス点としているレビューも見受けられるのだが、オベロンの連続行動で破滅の手→魔力の嵐が来ても絶対死なないゲームがいいというのもワガママかなあと。

逆に無視できない難点としては「ラスボス含むほぼ全ての強敵戦で使える必勝のハメ技が存在する」点は注意したい。
このハメ技を知ってしまうと健全なゲームプレイは絶対に不可能になるが、ニコニコに上がっているTA動画などでバッチリ解説されているので初回プレイ時は攻略情報は付属readme以外はすべて遮断するつもりでいた方が良い。配布元のふりーむ!のコメント欄とかでもふつうに言及されている。

他、行動順周りに怪しげな挙動があるとかキー配置が微妙に優しくないとか減点ポイントはいろいろあるんだけど、全体としては遊べるレベルであり「変愚のような耐性パズルをやりたいけど変愚は★全部暗唱できるレベルで飽きてるので属性の種類からして違うパラレルワールドの変愚の耐性パズルやりたい」みたいな偏った欲求を持ってる人にはオススメです。

明日はHourier氏の「変愚蛮怒 v3.0.0 開発進捗報告 特別編」です。
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