D&Dオンセをとりまくツールたち

ダンジョンズ&ドラゴンズは実際に集まって顔を突き合わせながらプレイするオフラインでのセッションの他に、ネットワークを通じて離れた所にいる人たちとプレイするオンラインセッション(縮めてオンセ)という方法で遊ぶこともできます。

その際に使われるツールやソフトウェアにはこれ!といったスタンダードがないのが現状で、様々なツールを組み合わせてプレイグループごとに自分たち好みのプレイ環境を整えていることが多いです。
この記事ではオンセで使われるツールの種類とその代表例いくつかを紹介します。

チャット

文字を使ってメッセージをやり取りをするツールのうち、特に相手のメッセージがリアルタイムで確認できるものを指します。
チャットは他のツールに内蔵されていることも多く、それ単体で別途ツールを用意することはあまりありません。

チャットの利点として「発言内容や行動宣言が保存でき、後から確認することができる」、「ダイスbotを使うことができる」、「チャットパレットを用意できる」といったことが挙げられます。

・ダイスbot
ダイスbotとはチャットに機能を追加するbotと呼ばれるツールの仲間で、特定のフォーマット(例えば1個の20面体ダイスを振り結果に10を足してほしい時は「1d20+10」と入力する、といった具合)を含むメッセージをチャットに送信すると、ダイスbotはそれに従ってダイスを振ったかのように乱数を生成し結果をメッセージとして表示してくれます。(前出の例で言えば「(1D20+10) → 14[14]+10 → 24」といった具合)

・チャットパレット
主にダイスbotを便利に使うために、予め発言内容を別途入力しておく手法がチャットパレットです。
主にダイスbotと組み合わせて使うことで威力を発揮し、能力値判定やセーヴィング・スロー、ダメージ・ロールを行うメッセージなどを予めチャットパレット内に用意しておくことでオンラインセッションを円滑に進める手助けになります。

代表例:IRC、LINE

ボイスチャット

音声によってメッセージをやり取りするツールがボイスチャットです。パソコンを使って行う電話のようなものになります。
ボイスチャットを用いてセッションをプレイすることをボイスセッションを縮めてボイセと呼んだりします。

ボイスチャットツールの大半はカメラを通じて相手の顔が見えるテレビ通話をサポートしていますが、国内のプレイヤーがTRPGをやる目的でテレビ通話を使うことはあまりなく、音声のみでの通話を使うことがほとんどです。
また、数は多くないですがボイスチャットを採用しないプレイグループや、ボイスチャットを聞くだけで自分から発言はしない、いわゆる「聞き専」を認めるプレイグループも見受けられます。

最近のノートパソコンはたいていマイクが内蔵されていますが、デスクトップパソコンでオンラインセッションをする場合は机上マイクやマイクとヘッドホンが一体になったヘッドセットを用意しなければならないため、初期投資が必要となります。

代表例:Skype、Discord

VTT

VTTとはバーチャルテーブルトップの略でセッションに必要なマップやキャラクターの駒などを表示する機能を持つツールの総称です。日本ではこの名称はあまり浸透しておらず、単にオンセツールと呼ばれることが多いようです。

多くのVTTはチャットツールを兼ねており、場合によってはボイスチャットもサポートしています。後述のキャラクターシートに関する機能やカードの山を表現する機能など、各VTTがそれぞれ独自に進化した機能を備えており目的にあったツールを選ぶことが特に重要になります。

以下にVTTを選ぶときの観点についていくつかまとめます。

・有料か無料か
国産のVTTの大半は無料か寄付によって成り立っていますが、海外製のものは有料であったり課金することで便利な機能が追加されるいわゆるフリーミアム方式を採っているものが多いです。また、同じ課金するにしても、メンバーの誰かがお金を払っていればゲームグループ全員が使えるものと、メンバーそれぞれがお金を払わなければならないものの違いも存在します。

・動作環境はどうか
最近のVTTの流行はウェブブラウザーから実行するタイプのウェブアプリですが、専用のプログラムをダウンロードしてきて実行するものも存在しています。後者はプログラムがWindows専用だったりして動作環境を選びがちなので注意が必要です。

・データを保管する機能があるか
セッションが一日で終わらず別な日に続きをしたい場合や、キャンペーンを遊ぶ際に同じマップや駒を使い続けたい場合があります。
そんな時に、セッションを止めてもVTT上のデータがそのまま保管され続ける機能があったり、マップや駒のデータをすぐに復帰させられる形式で出力する機能があると便利です。

・マップの一部を隠す機能があるか
ダンジョンに挑むシナリオをプレイする場合、マップ全体を予め読み込んでおいて入り口以外を隠してしまい、シナリオの進行に合わせて徐々に公開していく、ということができると便利です。
高機能なVTTだとプレイヤーの駒から見える範囲だけを公開し、残りを影で隠してしまうということを自動でやってくれるものもあります。

VTTはとにかく数が多いです。ここに挙げているもの以外にも有力なものがありますし、後続VTTもどんどん発表されているので調べてみると良いでしょう。
国産代表例:ユドナリウム、Quoridorn、ココフォリア、TRPGスタジオ
海外製代表例:Roll20、Foundry、Fantasy Grounds、D20Pro

キャラクターシート

たいていのVTTにはキャラクター駒にデータをメモする機能があるためそれをキャラクターシートの代わりにすることは可能です。しかし、参照性はあまり良くないのでキャラクターの情報を見やすくまとめてくれるツールが別途必要となる場合も多いでしょう。
極端な話、ただのテキストファイルでもキャラクターシートの代わりにはなりますが、多くの場合専用のウェブサービスを利用するか表計算ソフトでキャラクターシートを作成する方法が選ばれています。

代表例:D&D Beyond Character Builder、D&D5Eキャラクターデータベース、Googleスプレッドシート

日程調整、カレンダー

実際にセッションをするとなると5名以上のメンバーの日程調整が必要になることがザラです。メールでやりとりをするのも良いですが、専用に出席の可否を集計してくれるウェブサービスが存在するのでそれを利用すると良いでしょう。

もちろん決定した日取りを記録して忘れないようにするためのカレンダーツールも有用です。アラーム機能を利用したりしてセッションに遅刻しないようにしましょう。

代表例:伝助、Meity

ウィキ・掲示板

特にキャンペーンをプレイする際にはセッションの外でのやり取りができる場があると助けになります。簡単な日程調整をしたり、これまでのあらすじや登場したキャラクターについてまとめておくことができるからです。

代表例:Obsidian Portal、@wiki、したらば掲示板

その他

その他様々なツールがオンラインセッションの周囲では使われています。例えばマップを作成するための各種ペイントツール、野良卓と呼ばれる非固定メンバーでのセッション募集を探すための各種SNSなどです。

便利なツールは日進月歩で登場し続けています。まずは自分の所属する(または所属したい)プレイグループにならうのがいいですが、オンラインセッションをする際に不便に感じることがあるならばそれを解決する新たなツールが無いか探してみるのもいいでしょう。

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