B青年のGo遊旅行(14)
いよいよシドニー入りです。
ド田舎のケアンズから数日で環境は激変します。。。
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朝、目を覚ますとバスは牧草地帯を走っていた。気候もすっかり変わり、途中休憩でバスを降りるとさらに涼しい、いやもはや寒いと言ってもいいのかもしれない。
ケアンズの灼熱地獄に比べたらウソのような涼しさであった。
車窓から見える牧場には沢山の羊がいた。思えばこの牧畜の国に来たというのに、羊を見たのはこれが初めてであった。
バスは2時間遅れ、12時頃にシドニーに到着した。オーストラリアの東海岸、北の端のケアンズからスタートして、ついにシドニーまでやってきた。
早速セーラに連絡をする。明日の日曜日、1日一緒に行動をすることとなった。
この後特に予定もないので適当に市内観光でもしようと思ったのだが、まずはここシドニーでのねぐらを探さなければならない。
ところがこの日は土曜日であり、また後述するがお祭りもあるとのことでどこの宿も満員であった。
おまけに頼みの観光局も休みなので自力で見つけるしかない。仕方がないのでガイドブックを見て片っ端から電話をかけることにした。
結局宿が見つかったのは夕方の5時頃であった。なかなかにいかがわしそうな繁華街にあるこの宿はあまりきれいではなかったが贅沢は言えない。
そうやって宿を探しつつも、しっかりと街を歩き回った。
シドニーはオーストラリア1の大都市である。ブリスベンは地方都市であったが、ここはしっかり大都市、メトロポリスだ。
南半球一高いと言われる「シドニータワー」を見たり、広いドーム型のセントラル駅に行って、そこから少し電車に乗ったりした。
ここの電車は日本では珍しいダブルデッカー(二階建て)であった。
そして歩き疲れた俺は、街中にある公園で一休みすることにした。
この公園は名前はわからなかったが、とにかくきれいで芝生もふかふか。ごろりと寝転んで本を読んだり昼寝をしたりした。
いつどこで影響を受けたのかはわからないが、海外に行ったらこういうことをやりたいと漠然と考えていたのである(ニューヨークか)。
寝転んで空を見上げると、さっき見に行ったシドニータワーや高層ビルが空に向かって伸びている。何だかぐいんとこちらに迫ってくるようであった。
その間から見える雲1つない青空。
そんな景色をぼーっと眺めていると、今自分が日本からずいぶん離れたところにいるんだなという実感が不意に湧いてきた。
ホームシックというわけでもなく、今この場所にいるのが信じられないような、えらいような、うれしいような不思議な気持ちである。
日本に帰ったら大学を卒業して、4月からは東京での生活が待っている。慌ただしくなるであろうこれからの日々の前の最後のモラトリアム。
そろそろ日も暮れつつある公園でしばしそんな思いに浸った。
ところでバスで隣になった日本人から聞いたのだが、この週末シドニーではゲイ、レズビアンのお祭りがあるらしい。
彼女もそれを見に行くためにシドニーに行くとのことであった。
どうも宿からそう離れていない場所でやるらしい。秘密めいた匂いがプンプンするが、せっかくだからということで怖いもの見たさで行ってみることにした。
ゲイ、レズビアンのお祭りと言うから、ひっそりとやるのかなと思っていたがさにあらず。会場はすでに黒山の人だかりであった。
大通りは歩行者天国となっており、食べ物や記念グッズ(?)を売っている屋台もたくさん出ている。皆すでに飲めや歌えやの大騒ぎである。
思えばこの国に来てからこんなにたくさんのオージーを見たのは初めてである。さんざん書いてきたがこれまでは日本人の姿ばかり見ていた。やはりシドニーは国内一番の大都市であった。
垢ぬけたかわいい女の子もたくさんいたが、どうも皆同じような顔に見えてしまうのは俺が日本人だからかもしれない。
夜も更けてくると、お祭りは更に盛り上がり、祇園祭の山車のような派手な車が何台も大通りを練り歩くようになった。
山車はド派手な電飾で飾られていて、そこには「We are all friends」だの「We are all God's children」といった、意味深なことが書かれている。
その周りを踊りながら歩くゲイ、レズビアンであろう人たち。当然のことながらカップルが多く、何とも際どい衣装でひたすら踊り、騒ぎまくっていた。
そしてそれ以上に騒がしかったのが、それを見ている観客たちである。奇声を上げるわ、指笛を吹くわ、花火を打ち上げるわで、騒がしいことこのうえない。
そんな無法状態の中の俺といえば、パワーに圧倒され完全に委縮状態。一緒になって騒ぐほどの勇気もなく、ただひたすらあ然としながらこの乱痴気騒ぎを眺めていたのである。
祭りは夜通し続きそうだったので、適当なところで引き上げることにした。
バカ騒ぎは嫌いではないのだが今夜は完敗、完全に圧倒された。祭りに乗り切れなかったことをちょっと後悔しつつ宿に戻った。
明日はいよいよセーラに会う日である。
(続く)
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