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南の島も笑ってる 第7回

お正月にイッテQの特番を観ていたら、出川女子会が西表島に行っておりました。最後に全員で記念撮影をした滝がヒナイサーラの滝です。
僕も久しぶりに現物を見て、記憶がまざまざとよみがえりました。
そう、正にあれだったんです。あの滝の下で修行やったんです。

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滝の上への道もなかなか険しいものだった。
道は細く傾斜もきつく、灼熱の太陽の下、ヒイヒイ言いながらよじ登って行く。根っこが板のようになっているサキシマスオウの木を飛び越え、突然現れた変な色のトカゲに驚きながら40分ぐらい歩くと、川の流れる音が聞こえてきた。
それは滝の上への到達を意味していた。

視界が急に開けると、幅3、4mくらいの小川が流れていた。小川は右から左へ向かって流れていたが、その先はぷっつりと途切れていた。そこがヒナイサーラの滝の一番上の部分だった。
そこからおそるおそる下を見てみると、はるか真下にさっきまでいた滝壺が見える。子供たちが遊んでいた。くどいようだが、周りに柵なんかない。一歩踏み出せば奈落の底へ真っ逆さまであるが、かえって実感が湧かない。ここからジャンプしたら飛べそうな気もしてくる。思わずスカイハイを口ずさむ俺であった。
視線を下から前に向けるとそこには濃い緑のジャングルが広がっていた。カヌーで上ってきた川がジャングルの間から見え隠れしている。まるで写真で見たことのあるアマゾンの景色のようだった。
ジャングルの向こうには海が広がっていた。海は青色と白色、そして緑色の不思議な組み合わせの色となっており、それは刻々と変化をしていく。バラス島と呼ばれているサンゴの死骸が積み重なってできた島も遠くに見えた。干潮時にしか現れないその島は時間の経過とともにその姿をくっきりと現してきた。
そうだそうだ、俺はこの景色をカメラに収めたかったのだ。
大した腕があるわけでもないが、俺は夢中になって上下左右、全方位の景色を撮りまくった。
そして我々は焼けつく日差しの下、川で遊んだり景色を眺めたり昼寝をしたりと、心ゆくまで滝を堪能したのである。

帰りは干潮となってしまい、朝カヌーを漕ぎだした船浦湾は広い干潟に変貌していた。我々は途中からカヌーを降り、それを引きずりながら歩かなければならなかった。
炎天下の中歩くことにさすがにうんざりしていたが、でもこれも翌日の西表島縦断ハイクに比べればほんの序の口、屁のつっぱりだったのである。
そんな過酷な運命など知る由もない我々は、やっとたどり着いた自動販売機で買ったちべたいジュースをうぐうぐと飲みながら生きる喜びに浸っていたりしたのであった。

(続く)

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