NieRシリーズの「天使」の正体【前編】
こんにちは!
NieRガチ考察勢のれいらです。
今回は、DOD・NieRシリーズ内の謎の存在「天使」とアコールについて考察します。
「天使」は○○・○○された死者
「天使」の正体に関しては、NieRシリーズの前日譚「DRAG-ON DRAGOON」(DOD1)に大きなヒントがあります。
主人公カイムの妹であり、カイムの親友イウヴァルトが恋した「封印の女神」フリアエは、宿敵マナに殺されてしまいました。
恋に狂ったイウヴァルトは、死者を蘇生できると言われる「再生の卵」を用いて、フリアエの蘇生を強行します。
すると…
蘇生されたフリアエは有翼の異形と化し、その触手でイウヴァルトを刺し殺した後、飛び去って行きました。
その後、異形化したフリアエを倒したカイムが見上げた空は、異形化したフリアエで埋め尽くされていました…
私はこれを、「再生の卵」によってフリアエが異形として蘇生・複製されて「天使」になったと解釈しています。(翼生えてますし)
「再生の卵」はシリーズ作のうちDOD1にしか登場しませんが、DOD・NieRシリーズには「再生の卵」と同様に死者を蘇生・複製させる手段が数多く存在すると考えられます。
例えば、
・契約 (DOD1・DOD3 B分岐)
・レプリカント (NieR:Replicant)
・武器の記憶 (リィンカネ)
などです。
現にカイムとアンヘルは、互いの「心臓」を交換する「契約」によって死の淵から蘇りました。
また、レプリカントは魂から分離した身体に疑似人格を入れたものです。
これは魂を元の身体に戻して終結させる予定だったのですが、実行された後にそれは不可能だと解明されてしまいました。
そのためこれも、魂の抜けた身体が「生きている」状態であり、元の身体の主から見ると死者の蘇生・複製にあたります。
そして武器の記憶は「青藍の章」で言及されたように、死者の記憶を武器に込め、そこから死者を再生できるようにしたものです。
このようにDOD・NieRシリーズでは、多種多様な方法を用いていとも簡単に死者が蘇生・複製されています。
「天使」の特徴について
シリーズ内で死者の蘇生・複製が簡単に行われるということは、「天使」がシリーズ内に頻繁に登場するということを表します。
よって、全ての「天使」を "天使型"─有翼の人型で表していると、作中が "天使型" だらけになってしまい見るからに怪しいのがバレバレです。
そのため作中の「天使」キャラは、
を用いて表されると考えられます。
⑴ 赤い眼 (赤い服)
DODクラスターの方なら「赤眼の病」という言葉を一度は絶対に聞いたことがあるはずです。
実は、人間を不老不死にするといわれる「賢者の石」は西洋だと赤色とされています。
そのため「赤眼の病」の人間や赤色の眼のキャラは、不老不死の象徴を瞳に持つ、死から蘇った「天使」だと考えられます。
また、メインストーリーで頻繁に登場することはないですが、赤い服も賢者の石の色に由来するといっていいでしょう。
特にリィンカネの黒緋染、深淵鏡、聖夜なと衣装に必ず赤色の入る衣装シリーズは、天使と関係の深いコスチュームだと考えられます。
⑵ 天使の翼のように対を成す特徴
これは以下の図のように、2つ合わせて1対とカウントできるような特徴が該当します。
この特徴は「そんなこと言ったらシリーズ作中のキャラほとんど天使じゃないか」となるぐらい数が多いです。
そのためここでは、対を成す特徴の例として
に絞って解説していこうと思います。
① 面積が広い袖の服
翼がダメでも、翼のように大きな袖の服なら、服の見た目を変えることで上手くごまかすことができるでしょう。
このグループにはアケハ、ノエルなどが該当します。
② 翼や羽根のある異形
天使は元々、翼を持った人の形をしているものです。
そのため、天使と同じく翼や羽根を持った異形は「天使」だと考えられます。
例えばアンヘルやミハイルなどの竜種や、
レヴァニアを初めとした種族「怪物」、
そして「黒い鳥」はみな、翼や羽根を持っていますよね。
なおアンヘル(Angel)はスペイン語で「天使」、ミハイルは聖書に登場する天使ミカエルの別名です。
さらに、怪物の姿の元になった昆虫や黒い鳥はどちらも卵生のため、異形フリアエが「再生の卵」から生まれたのに掛けて「天使」としていると考えられます。
③ お下げ/1対の頭飾り
お下げや髪飾りはキャラの特徴として導入しやすく、また先ほど紹介した竜の角に準えることもできます。
お下げの場合アコール、6O、フィオなどが、
頭飾りの場合は司令官やサリュ(帽子の蝶)、プリエ (角?) などが該当します。
④ リィンカネの案内役の「目」
リィンカネの案内役を務める「浮遊物体」はみな布を被っていますが、その布には2つの「目」のような丸が縫い付けられています。
この「目」のような丸は、「口」らしきものがないのも相まってかなり特徴的です。
また、名前も「ママ」「パパ」の場合は同じ音2つが、「運送屋」の場合は「しんにょう(辶)」2つが含まれているので、これも2つで1つの特徴だと言えます。
⑶ 首が切れたようなデザイン
これは「天使」が既に一度死んだ者であることから、首元を大きく隠してあたかも首が切れたかのように見せる服飾を表します。
具体的には、環状の襟のある服を着ていたり、チョーカー・マフラーなどを着けていたりするキャラが該当します。
⑷ 天使の輪のような頭飾り
これは環状の頭飾りですが、いわゆる「天使の輪」と呼ばれる「光輪」は神も持っているもののため、前回紹介した「神」の特徴の可能性もあります。
また、つば付きの帽子もこれに該当します。
「天使」が生み出された理由
ではなぜ、死者を再生・複製するという、どの社会においても倫理に悖るであろうことが行われたのでしょうか?
これには、その時々の為政者の思惑が絡んでいるようです。
社会の再建と維持のため
DOD・NieRの世界では、大災厄(856年)、白塩化症候群の蔓延(2003年~)など、大災害が頻繁に起こっています。
このような大災害もしくは戦争が起きると、多くの人々が犠牲となって国土も荒地と化してしまうため、社会機能の維持ができなくなってしまいます。
そのため生き残った為政者たちは、死者を生き返らせて、壊滅した国土の再建や社会機能の維持に従事させることを試みたのでしょう。
戦争で戦わせるため
しかし、死者を生き返らせたからといって社会が元通りになるわけではありません。
蘇生された人々は、僅かな資源の奪い合いや将来への不安から、絶え間なく続く争いに駆り立てられます。
そうすると死者がさらに増えるため、為政者は戦争のためにまた死者を蘇生することになるでしょう。
そして戦況の打開のため、為政者は死者のうち戦いに有利な者を複製し、戦士として戦わせたのではないかと思います。
DOD・NieRシリーズは「天使」の物語
このようにDOD・NieRシリーズは、蘇生・複製された死者である「天使」の物語であるといっても過言ではないほど「天使」が登場する話です。
前回の記事で「DOD・NieRシリーズには宗教的モチーフが多い」という話をしましたが、それは「天使」という「死」に関係の深い存在があるからなのかもしれません。
不老不死は太古から人類の憧れであり続けてきましたが、DOD・NieRシリーズは私たちに「不老不死は本当に良いものなのか?」と問いかける話だと私は思います。