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OGSMというフレームワーク

「P&Gマフィア」という言葉があるらしい。P&G社(現P&Gジャパン合同会社)の出身で各企業で活躍されてる方々をそう呼ぶそうだ。USJをV字回復させた森岡毅氏(現株式会社刀CEO)をはじめとして錚々たる方々が名を連ねているのだが、何を隠そう、私もP&G出身であり、森岡氏の1年先輩なのだ。そういうことで、社会での活躍はさておき、P&G出身という一点のみで、私もP&Gマフィアと勝手ながら名乗らせてもらうことにした。

とはいうものの、実際の私はP&Gで底辺をさまよい、速攻でディスコンになった「ウィスパー フィットクッション」という失敗作を担当したという実績だけを残したものの、男がこのまま生理用品を担当し続けるのは辛すぎると思い、逃げるように会社を去るのである。しかし、辞めてからしばらく経つと、4年ほどの短い期間にもかかわらず、結構大切なことを色々と教わっていたことに気づくのである。そのうちの1つ、OGSMというフレームワークについて書いてみたい。

OGSMとは、Objectives、Goals、Strategies、Measures(Measurementともいう)の略であり、プロジェクトを進める上でのフレームワークである。つまり、プロジェクトを開始するに当たっては、目的(Objects)、ゴール(Goals)、戦略(Strategies)、評価方法(Measures)を確定し、これにしたがってプロジェクトを進めていく。

まず、目的を明示し、それに対する目標値を設定する。その上で、目標値を達成するための戦略を立て、目標値がどの程度達成されているかの評価方法も合わせて決めておく。例えば、コスト削減が目的であれば、どのぐらいの金額のコスト削減をゴールにするかを設定し、そのゴールを達成するための戦略を立てる。また、目標金額の達成までの過程で評価すべき点も設定しておく(例えば、どの時期までにどの程度削減するかなど)。

このフレームワークは会社ベースから個人ベースまで幅広く適用されていた。私は、新入社員の研修で習い、毎年、すべきことをOGSMに沿って書かされたような気がする。但し、戦略や評価方法については、基本的に変更しない大枠を示しておき、細かいことは別に設定して、PDCAを繰り返すことで変更できるようにしていたと思う。OGSMについては、Wikiにも記載されており、日本のホンダ社でも採用されているらしい。
https://en.wikipedia.org/wiki/OGSM

上述したP&Gマフィアの方々の著作を見ると、このフレームワークを活用し、事業でも成功されたという武勇伝を見かける。基本的なフレームワークなので無意識に実行している人もいるとは思うが、闇雲にプロジェクトをすすめるよりも、OGSMを設定し、常に振り返れるようにしておくのがよいと思う。

また、目的とゴールを別々に設定することで、ゴールである目標値だけを見るのではなく、目的という大義を振り返ることができ、初心に戻ることができると思われる。目標値だけが示されると、手段を選ばず、それを達成することが目的になってしまうおそれがある。

個人的な経験では、迷走している人の多くが目的を見失っているように思える。目的を振り返ることで、目標値よりも大きい概念でのすべきことを俯瞰できるのではないかと思われる。

(おしまい)

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