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仕事におけるコミュ力とは

この記事を書くに当たって、一般的なコミュ力の定義を調べるため、「【コミュ力とは】 めざせコミュ力おばけ!コミュ力を上げる3ステップ」というサイトを見てみました。
https://www.mottainaihonpo.com/kaitori/contents/cat07/074-communication-skills.html

まず、コミュ力とは、「コミュニケーション力またはコミュニケーション能力を略した表現。人との会話や意思疎通などを円滑に行うことができる能力やその程度などを意味する語。」(Weblio辞書)らしいです。

このサイトでは、コミュ力が高い人と低い人の特徴を以下のように挙げています。

上記サイトから引用

これを見ると、私自身は、コミュ力が高い人の特徴に該当するものが1つもなく、「コミュ力無し」の烙印を押されたような気分になり、悲しくなります。しかし、私が生きてきた中で、上記のコミュ力が高い人の特徴を全て持ち合わせている人には、そもそも出会ったことがありません。仕事ができる男の象徴である島耕作でさえ、「いつも笑顔で楽しそう」、「リアクションが大きい」は当てはまらないと思います。

その一方で、コミュ力が低い人の特徴には、私でさえ、当てはまるものがあまりありません。これまで生きてきた中で、一部に該当する人は、たしかに見かけましたが、それでも全ての項目に当てはまる人は見たことないですし、全部当てはまる人はそもそも仕事をしてはいけない人ではないかと思います。

しかし、このサイトには、コミュ力は才能ではなく、努力すれば誰でも身につけることができると記載されています。さらに読み進めると、コミュ力が低い人たちへの朗報として、以下の通り、コミュ力を上げるために必要な3つのステップが書いてありました。

  • コミュ力を上げるステップ1 マインドや行動を変える。

  • コミュ力を上げるステップ2 明るく振る舞う。

  • コミュ力を上げるステップ3 場慣れする。

ステップ1の手段として、人を嫌いにならない、コミュ力の高い人を観察する、連絡のレスポンスを早くする、外見を磨いて自信をつける、とありました。
この中で、社会人としては、連絡のレスポンスを早くするというのはとても有効です。これでコミュ力向上に繋がるのであれば、どんどんやっていこうと元気になります。

ステップ2の手段として、元気よく挨拶する、目や顔をしっかり見て話す、ニコニコして対応する、ジェスチャーをつけて話をする、ハキハキと話す、とありました。
これは絶望的です。どれもまねできません。コミュ力向上の道は厳しいという現実を目の当たりにしました。

ステップ3の手段として、自分から話しかける、会話中に相手の名前をきちんと呼ぶ、会話のラリーを続ける、質問を返す、自分の気持ちを話す、相手の話を否定しない、とありました。
これは仕事に関連することが多いので、それなりにできそうです。

しかし、上述のコミュ力の高い人の特徴を見ると、やはりコミュ力のある人は、特殊な能力の持ち主といわざるを得ず、そういう能力がなければ、出世できないなど、若い人にとっては不安を抱えてしまいそうになります。

また、私のいる知財業務にはセンスやコミュ力があった方がいいといわれているようですが、そういうことが流布されると、特殊な才能のある人だけがやっていける世界と思われてしまい、ある意味、知財業界への若い人の参入を阻害するのではないかと思い、それを危惧しています。

コミュ力という言葉は、分野を問わず、包括的に用いられる傾向がありますが、個人的には、コミュ力という包括的な言葉を、仕事の評価や適正として使うべきではないと思っています。

少し話は変わりますが、コミュ力の話を聞いたとき、私が思い出したのは、以前、カズレーザー氏がテレビ番組で言っていた言葉です。

ある番組で「女子力」について質問されたカズレーザー氏は、
「料理ができる女子は、女子力が高いじゃなくて、「料理ができる子」ってちゃんとカテゴライズされる。
取り分けができる子は「気が利く子」ってちゃんとカテゴライズされる。
女子力が高いってカテゴライズされてる女性なんかいないのよ、もともと。」

と言っておられました。

これを思い出した私は、コミュ力とかセンスもそういった類いに入るのではないかと思いました。では、私がどう思っているかというと、これまでの経験から、少なくとも仕事を行う上では、以下が必要であると思っています。

つまり、「コミュ力」ではなく、
(1) 物事を分析し、客観的な根拠に基づいて、自身の意見を言えること
(2) 議論を進める上で必要な質問を、適切なタイミングでできること
(3) 他人からの質問に対し、他人が望む回答ができること

ができる力。

これらをできる力があれば、多少口下手でも、仕事は問題なく行えると思いますし、これ以上のコミュ力(上記のコミュ力の高い人の特徴など)は、むしろ好き嫌いの部類に入り、評価対象にすべきではないと思います。

そもそも、人にはそれぞれ個性があり、全員がコミュ力が高く雄弁に語るような世の中だと、しんどくて仕方がないと思ってしまいます。

また、上記(1)~(3)は、実務知識の習得と多数の経験を得ることでによって向上できると思います。 実務知識の習得と経験をこなしていくと、自身の知識、成功例、失敗例が積み上げられた記憶(データベース)から,打ち合わせや会議の中で、適切な質問や回答が自然に出力できるようになると思います。いわゆる引き出しが増え、上記3つの力が向上すると思います。

このような力の向上には、上記のサイトが記載されていたように、「場慣れ」が必要であると思います。実務知識の習得は、それ自体有効ですが、実際の実務の現場でどのように考えられるかは、経験しないと分かりません。例えば、議論の中で、「これって、前に見た論説で書いていたことだ!」と思えば、それを挙げてみて周りからの意見を聞くことができます。その中で、肯定的な意見が多ければ成功体験になり得て「引き出し」が増えますし、否定的な意見が多ければ失敗例として、さらなる勉強が必要になります。ですので、実務知識の習得と経験は両輪になります。こうして、実務知識の習得に努め、トライアンドエラーで多数の経験を積めば、「きみぃ~、コミュ力高いねぇ~」と言われるようになるかもしれません。

以上より、少なくとも、何らかのゴールが設定され、その解決方法を議論しながら進めるという仕事においては、多少口下手でも、勉強による実務力の習得と経験でセンスもコミュ力もいくらでも磨けると個人的には思っています。

(おしまい)

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