外国大手企業に学ぶクレームの作成2

今回は、ボーイング社のUS2018/0261026のクレームを取り上げます。機械系のクレームです。原文については、以下のリンクを参照してください。
https://patents.google.com/patent/US20180261026A1/en?oq=20180261026

1. A stowage bin assembly comprising:
    a latch that is configured to selectively lock and unlock the stowage bin assembly; and
    a sensor in communication with the latch, wherein the sensor is configured to be engaged to one or more of lock, unlock, open, or close the stowage bin assembly without the latch or the sensor being touched.

(仮訳)
1. 荷物箱アセンブリであって、
 前記荷物箱アセンブリを選択的にロック及びロック解除するように構成されたラッチ、及び
 前記ラッチと通信するセンサであって、前記ラッチ又は前記センサが接触されることなしに、前記荷物箱アセンブリをロックし、ロック解除し、開け、又は閉じることのうちの1以上に関与するように構成されている、センサを備える、
荷物箱アセンブリ。

ポイントは、以下の通りです。

・欧米のクレームでは、assemblyとの文言が多用されます。日本語としてアセンブリと訳することもできますが、組立体、構造体といった意味になります。

・configuredは、欧米のクレームで多用される文言です。「~のように構成されている」という日本語クレームでも多用される文言の訳になると思います。

・構成要素は、latchとsensorです。1ワードの一般用語が用いられています。米国企業の書くクレームでは、概ね3ワード以内で構成名が規定されることが多いです。

・上記クレームのsensorに関する構成では、whereinを繋ぐことで、sensorの限定事項が追加されています。日本のクレームでは、改行して限定を加えることが多いですが、英文のクレーム作法では、1つの構成の中に、whereinを使って、限定事項を追加することが多いです。おそらく、欧米人は、改行せずに、1つの構成の中で、whereinを使って限定を加える方が読みやすいのではないかと思います。


次に、クレーム13

13. The stowage bin assembly of claim 1, wherein the latch is operatively coupled to one or more latching mechanisms.

(仮訳)
前記ラッチが、1以上のラッチング機構と動作可能に接続されている、請求項1に記載の荷物箱アセンブリ。

・operativelyは、欧米のクレームでは多用される文言です。この例では、動作可能に接続されていると訳されていますが、ラッチとラッチング機構とは直接接続されていても、間接的に接続されていてもよく、動作可能に接続されていればよい、との意味になります。英語特有の便利な文言であると思います。同義語として、operablyとの文言もよく使われています。

続いて、クレーム17

17. The stowage bin assembly of claim 1, wherein the sensor is proximate to the latch.

(仮訳)
前記センサが、前記ラッチに近接している、請求項1に記載の荷物箱アセンブリ。

・proximateは、欧米のクレームでは、多用される文言であり、近いところにあるとの意味の文言です。遠いところにあるとの意味のdistalと対で用いられることがあります。

以上、簡単なクレームではありましたので、日本人の書くクレームとは大きい差はないと思いますが、上記のように、いくつかの相違点があります。

これらの相違点のいくつかは、日本語明細書でも利用できるものであると思いますので、これにしたがって、日本語明細書を記載すれば、翻訳したときに、そのまま欧米用として利用できると思います。

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