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記事一覧

クレームの作成にセンスは必要か?

クレームの作成にはセンスが必要だということを、たまに聞きますが、そもそもセンスって何でしょうか? 広辞苑によれば、センスとは、「物事の微妙な感じをさとる働き・能…

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12時間前

均等で拾ってもらうための明細書等の作成(その1)

均等で拾ってもらうためには、主に以下の2つの検討が必要と思われる。 1.Dedicationの法理(マキサカルシトール最高裁判決) 2. 包袋禁反言 まずは1から説明します。 マ…

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外国大手企業に学ぶクレームの作成3 ~項分けで、分かりやすく~

今回は、P&G社のUS2015/0175345を取り上げます。 https://patents.google.com/patent/US20150175345A1/en?oq=US2015%2f0175345 A package of absorbent articles, the pac…

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侵害訴訟から見た、明細書をこう書いておけばよかったのに。。(その1)

弊所機械電気部門のメルマガの記事の一部を、メルマガ公開から1,2ヶ月後にnoteで公開します。 昨年から、「侵害訴訟から見た、明細書をこう書いとけばよかったのに。。…

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明細書における文の長さと接続詞の使用について ~英語ネイティブが書く英文明細書も参照しながら~

小説などの文章では、流れを重視し、読み手がスムーズに読むことができるように、単文ではなく、重文や複文を多用していることが多いように思える。例えば、大江健三郎の「…

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外国大手企業に学ぶクレームの作成2

今回は、ボーイング社のUS2018/0261026のクレームを取り上げます。機械系のクレームです。原文については、以下のリンクを参照してください。 https://patents.google.com/

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変形例のつまみ食いはNG?

機械電気系の明細書では、実施形態の後に変形例を記載するのが一般的です。変形例は、クレームと実施形態との乖離を埋めるためのもので、実施形態以外の態様をできるだけた…

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外国大手企業に学ぶクレームの作成(序章)

日本と外国とでは、ソフトウエア発明をはじめとして、クレームの作成の形式(しきたり)に違いが見えます。この違いは審査や訴訟に影響を与える可能性があります。例えば、普…

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外国大手企業に学ぶクレームの作成1

P&G社のUS2015/0175345を取り上げます。以下のリンクをご参照ください。 https://patents.google.com/patent/US20150175345A1/en?oq=US2015%2f0175345 クレーム1は、以下…

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米国特許法112条(f)の適用(マイクロソフトの場合)

112条(f)は、いわゆるミーンズ・プラス・ファンクションクレーム、つまり機能的記載に関する条文です。 An element in a claim for a combination may be expressed as a …

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クレームの作成にセンスは必要か?

クレームの作成にセンスは必要か?

クレームの作成にはセンスが必要だということを、たまに聞きますが、そもそもセンスって何でしょうか?

広辞苑によれば、センスとは、「物事の微妙な感じをさとる働き・能力。感覚。」だそうです。では、クレームを作成する際には、「物事の微妙な感じをさとる働き・能力」が必要なのでしょうか。

クレームは、発明を抽象化しつつ、発明の外縁を明確にし、先行文献との差異を出した文であると思います。例えば、以下が必要に

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均等で拾ってもらうための明細書等の作成(その1)

均等で拾ってもらうためには、主に以下の2つの検討が必要と思われる。

1.Dedicationの法理(マキサカルシトール最高裁判決)
2. 包袋禁反言

まずは1から説明します。
マキサカルシトール最高裁判決で明示されたDedicationの法理によれば、イ号製品と相違する構成が、クレームアップされておらず、実施形態、変形例に記載されている場合には、均等で拾ってもらえない。

つまり、せっかく明

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外国大手企業に学ぶクレームの作成3 ~項分けで、分かりやすく~

今回は、P&G社のUS2015/0175345を取り上げます。
https://patents.google.com/patent/US20150175345A1/en?oq=US2015%2f0175345

A package of absorbent articles, the package comprising:
a. a container comprising an interior

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侵害訴訟から見た、明細書をこう書いておけばよかったのに。。(その1)

弊所機械電気部門のメルマガの記事の一部を、メルマガ公開から1,2ヶ月後にnoteで公開します。

昨年から、「侵害訴訟から見た、明細書をこう書いとけばよかったのに。。」というシリーズを始めました。このシリーズでは、侵害訴訟の判決文を分析し、明細書をこう書いておけば勝訴できたのに、あるいは勝訴判決であっても、こう書いておけば訴訟に行くまでもなかったのではないか、という分析を行います。
但し、この分析

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明細書における文の長さと接続詞の使用について ~英語ネイティブが書く英文明細書も参照しながら~

明細書における文の長さと接続詞の使用について ~英語ネイティブが書く英文明細書も参照しながら~

小説などの文章では、流れを重視し、読み手がスムーズに読むことができるように、単文ではなく、重文や複文を多用していることが多いように思える。例えば、大江健三郎の「見る前に跳べ」の冒頭には次のような文がある。102文字の文であるが、文庫本であれば、4行に亘る文である。

この本の文章には接続詞も結構使われている。例えば、以下の文章のように、「そして」と言う文言が多用され、この本では約250カ所で使われ

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外国大手企業に学ぶクレームの作成2

今回は、ボーイング社のUS2018/0261026のクレームを取り上げます。機械系のクレームです。原文については、以下のリンクを参照してください。
https://patents.google.com/patent/US20180261026A1/en?oq=20180261026

ポイントは、以下の通りです。

・欧米のクレームでは、assemblyとの文言が多用されます。日本語としてアセンブ

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変形例のつまみ食いはNG?

機械電気系の明細書では、実施形態の後に変形例を記載するのが一般的です。変形例は、クレームと実施形態との乖離を埋めるためのもので、実施形態以外の態様をできるだけたくさん記載するのが一般的です。

そのような変形例は、クレームの限定解釈を回避するとともに、補正の材料としても使えます。しかし、平成25年(行ケ)10346号 審決取消請求事件では、審決の判断が覆され、訂正で追加された変形例の構成と、実施形

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外国大手企業に学ぶクレームの作成(序章)

日本と外国とでは、ソフトウエア発明をはじめとして、クレームの作成の形式(しきたり)に違いが見えます。この違いは審査や訴訟に影響を与える可能性があります。例えば、普段、米国企業が書くクレームになれている米国の審査官が、それとは形式の違うクレームを見た場合、同じように発明を認定できない可能性があり、これによって想定外の引用文献が引用されるなど、審査がスムーズに進まない可能性があります。

長いものに巻

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外国大手企業に学ぶクレームの作成1

P&G社のUS2015/0175345を取り上げます。以下のリンクをご参照ください。
https://patents.google.com/patent/US20150175345A1/en?oq=US2015%2f0175345

クレーム1は、以下の通りです。

内容に関して特筆すべきところはないのですが、構成要件に、a~eのアルファベットを付して項分けしています。

a~cは、主たる構成要件

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米国特許法112条(f)の適用(マイクロソフトの場合)

112条(f)は、いわゆるミーンズ・プラス・ファンクションクレーム、つまり機能的記載に関する条文です。

An element in a claim for a combination may be expressed as a means or step for performing a specified function without the recital of structure, m

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