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天才が発明した「偏差」

こんにちは。level4です。

1850年代、日本ではちょうどペリーが浦賀に来港し日本が開国へと向かう時代に、イギリスでは統計学の天才「フランシス・ゴルトン」があるものを発明しました。

それは「偏差」です。

フランシス・ゴルトン(1822〜1911)

彼は統計学者でありながら、気象学者、そして遺伝学者、さらには探検家でもあった天才です。
ちなみに、進化論を築いたチャーチル・ダーウィンは従兄に当たります。

そんな彼は、大学で医学・薬学を学んだ後、数々の冒険を経て36歳の時に世界初の「天気図」を発明。

39歳の頃には、従兄のダーウィンに感銘を受け優生学や心的遺伝を研究、そして心理学という学問の基礎を築きました。
その時、彼が提唱したのは「遺伝的天才」。
>優れた人の子あるいは親は、やはり優れた人になる傾向にある。というもの。

そして、そんな天才が発明した最大の概念。
それが「偏差」です。

偏差

彼は、遺伝学の研究をする中で、親子の身長の関係を調べていました。
そのときに彼は気付きます。
どんな親子も、多少のブレはあれど、大体平均値プラスマイナス◯◯センチ以内に留まると。

違う言い方をすれば、
どんな事象も、全体を見ると同じような分布になる。(だいたい平均値周辺に集まる)
これを正規分布といいます。

そして、ある基準値との差(プラスマイナス◯◯センチの部分)のことを偏差と言います。

偏差を標準偏差に変換する

偏差とは、基準値からの差であるとお話ししました。
例えば、50点を基準とすると55点ならプラス5。40点ならマイナス10です。

しかしこれらが羅列されていても、正直バラツキが大きいのか小さいのか一目で分かりません。

フランシス・ゴルトン氏は、身長の遺伝的関係を調べる際に、身長は遺伝による影響が大きいことを示そうとしました。

その時、ただ偏差を並べているだけでは関係性を示すことができず論文としては不十分です。
そこで、標準化することで一目でどれだけバラツキがあるのかを分かるようにしました。

それが標準偏差。
詳しい算出方法は割愛しますが、基準値から離れているほど大きく、基準値に近いほど小さくなる値を作ったのです。
分かりやすく言うと、だいたい平均からどれかくらい離れてるかのブレ具合を示す値です。

基準点50点
A君:55点(プラス5)
B君:40点(マイナス10)
分散=(5)^2+(-10)^2=125
標準偏差=√(125/2)=7.9
平均して、このクラスは7.9点くらい基準点から離れていることが分かる。

偏差値

皆様は、偏差値という言葉は知っているかと思います。
大体偏差値50が平均、40だと低めで60以上だと高め。そういうイメージでしょうか。

偏差値とは、平均点を基準として偏差を加味し標準化したものです。

それぞれのデータが平均からどれだけ離れているかが直感的に分かる概念ですか、ここでも偏差という考えが基礎となります。

先ほどの標準偏差と考え方はほぼ同じです。

株取引で重宝される標準偏差

投資家たちが利用する手法の一つに「ボリンジャーバンド」というものがあります。

これは、標準偏差の特徴を株価の予想に応用したものです。
標準偏差とは、基準値からのブレ具合と書きました。例えば、基準値50点で標準偏差10の場合、大体40点〜60点の間で点数が分布しているとも言えます。
一般的には標準偏差1個分で全体の68%が含まれ、2個分で95%が含まれると言います。


たとえば、基準値50点・標準偏差10の場合で2点とか100点といった値は異常な値であると分かります。
これを株価に応用します。

普段推移している値から、外れた値があると明らかに何か異常に変動する情報が出たと言えます。

もしかしたら、不正の発覚や財務の欠陥が見つかったのかも知れません。もしくは、好材料が発表されたのかも知れません。
いずれにしても、異常な数字を出すほどの情報が出たと考えられるので売買の基準にできるのです。

出来高を伴って、異常値が出ていればある程度の勝率が見込めます。

天才が残した財産

今回は偏差という考え方を生み出した天才の話から、私たちの私生活での応用例を書きました。

平均点という概念は、小学生でも考えられそうですが、さらにその先の概念を考え出すのはさすが天才と言えます。

そして、ボリンジャーバンドのように、そうした概念を他に応用する力もまた天才だと感じました。

ぜひ他の天才に関する記事も読んでいただけると幸いです。

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