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オンゲキにおける鍵盤への指配置について

1.はじめに


前回記事「低速曲を"シバく"」で参加させていただいたオンゲキAdvent Calender、まさに多種多様なプレイヤーの方々がいろんな話題について記事を書いており、眺めるだけで地力が上がったり知見が深まったりする気がします。

記事一覧は上記リンクから確認することができますので、興味がある方はぜひ確認していただきたいと思います。(私の記事は「2枠目」の「12/17」で登録しています)

さて、そんないろいろな記事を読み進めていく中で、とある記事の記述に興味を惹かれました。
対象は「2枠目」の「12/1」、『異世界転生者向けオンゲキ上達論』です。

当該記事は『元々他の音ゲーで既に基礎を固めていた人がオンゲキを始めるにあたって』という題目のもと、オンゲキという音ゲーの基礎的な解説からより上達をスムーズにする為の知識等をとてもわかりやすく記載している素晴らしいものとなっております。
私もSOUND VOLTEXをメインに5年間続けてからのオンゲキ参入だったので興味深く読んでいきましたが、そこで下記の一文に目が留まりました。

オンゲキのホームポジションは「左手でレバー、右手で右の鍵盤にそれぞれ手を添える」のが一般的です。そして、オンゲキを始めた直後の人が触る難易度帯(~12)くらいまではこの押し方だけである程度何とかなるように譜面が作られています。そのため、オンゲキを始めた直後はこの体勢を体に叩きこむ所から始めましょう。また、鍵盤は右の赤、緑、青それぞれ親指、人差し指、薬指で押すのが良さそうです。

上部引用文中にある
『鍵盤は(中略)それぞれ親指、人差し指、薬指で押すのが良さそう』
という部分、個人的には反応として

・「そうだよな~」と自然に納得される方
・「えっ、どうして?」と疑問を持たれる方

の2つにおおよそ分かれるんじゃないかと考えました。
というのは、私自身がこの考えに至ったのがオンゲキに参入してから約2年後(2018年7月⇒2020年6月)であり、それも他人からの指摘によって"気付かされた"からです。
当該記事では「他音ゲーの経験者がオンゲキに参入する場合」を想定していますが、そういった方々は前者の考えを持ちやすく、逆にオンゲキが初めてという方々は後者の考えを持ちやすい気がします。(あくまで個人の考察ですが)

そこで本記事では、なぜ上記(親・人・薬)のような配置が推奨されるのかを自分なりの理解で紹介すると共に、少しばかり自分の経験談を語ってみたいと思います。
大筋の流れを2項及び3項で述べた後、4項で経験談、5項で記事のまとめをするという構成となっていますので、必要と感じる部分を読んでいただけると幸いです。

ヘッダー画像:岩の蔵 純米吟醸 Sapphire(※現在非生産品)

2.自然な流れで……

オンゲキを初めてプレイする音ゲーマーのほとんどは、当然ながら「オンゲキってどんな音ゲーなんだ?」と、最初のチュートリアルを真面目に確認されるかと思います。

当然ながら今ではもうチュートリアルの記憶はほとんどないので、改めて流れを確認したところ、

(1)TAPノーツ
(2)HOLDノーツ
(3)SIDEノーツ
(4)フィールドの説明
(5)FLICKノーツ
(6)敵の攻撃と回復ベル
(7)敵のライフ

という7項目で構成されているようです。
余談ですが(6)で回復ベルについて「ライフが回復するから"積極的に"取りに行こうぜ!」とオンゲキネコが喋っていますが、これだと「ライフ満タンの時は取らなくてもいいんだな」という勘違いを与えかねないかなと……
※ベルを取りこぼすと、1個につき『60000/曲中のベル総数』点だけ減点

さておき、当然ながらこのチュートリアルに「このボタンにこの指を置こう!」みたいな説明はありません。そこで、とりあえずボタンの上に自然な感じで指を置いてみたところ……

撮影:ラウンドワン小倉店
左側赤:左手薬指       右側赤:右手人差し指
左側緑:左手中指       右側緑:右手中指
左側青:左手人差し指     右側青:右手薬指

こういう感じになると思います。画像は左手ですが、右手側も恐らく同じ配置になるでしょう。

とりあえずこれでチュートリアルに挑んでみると、基本的な配置は捌けますし、続く通常プレイ(1曲分だけ無料)においても、少なくともBASIC・ADVANCEDくらいであれば問題なくボタンを押せるのではないでしょうか。

一方、前項で推奨されている「親・人・薬」の配置を実際に置いてみると、

少しプルプルしてました

このように両手を少し傾けなければならず、少し窮屈な感じがします。また、FLICKやSIDEボタンを捌いた後、意識していないと手の位置が迷子になりそうですが、最初の「人・中・薬」だとそのまま自然な感じで置けば配置されるというアドバンテージがあります。

以上の件から、最初の方は「人・中・薬」のホームポジションで進めても問題なさそうな感じがある、のですが……
それでは何故「親・人・薬」のホームポジションが推奨されているのでしょうか?

3.上位譜面と戦う為に

結論から言うと、

"「親・人・薬」の指の組み合わせが、最も各々の指を自由に動かせるから"

だと私の中では理解しています。

これは、手の構造によるもので、手の筋肉と骨を繋いでいる"腱"(けん)という部分が指同士の間で結合されており、ある1つの指を動かすとつられて他の指も動いてしまうから、ということのようです。
そして、この腱の形には多くのバリエーションがありながら、特に中指・薬指・小指の腱は横に繋がっていることが多く、これが各指を独立させて動かしにくい要因となっていることがあるようです。
(『腱間結合』で検索をかけると、上記のような内容が出てきます)

しかし逆に言えば、その腱が含まれない指、つまり親指と人差し指は比較的自由に動かすことができます。
また、先に説明した残りの3本も、1本までなら他の指に影響されることなく動かすことが可能ですが、ここで中指は人差し指と繋がっている別の腱があるので優先度が下がり、また小指も一般的には力が弱いとされている為、消去法で残った薬指が最後の1本になります。こうして、「親・人・薬」という、互いの指を独立させて動かしやすい組み合わせが生まれ、推奨される配置となった、というわけです。

ちなみにこれらの『指の独立性』の話題は、7個あるいは14個のボタンを自由自在に押さなければならないbeatmania IIDXのプレイヤー間ではよく話題に上るようで、オンゲキ参入時にもそのことをよく理解しているからこそ、最初から「親・人・薬」を鍵盤に対する指の配置として入ることが多いようです。音ゲーが上手い人は音ゲーが上手くなる為の術を知っているのですね。

そして、この"各々の指を独立して動かしやすい"ことによるメリットが、オンゲキにおいては上位レベル(Lv13+以上を想定)の譜面で頻出する「片手3鍵配置」を正確に押す為のカギとなります。

「片手3鍵配置」とは、赤(R)・緑(G)・青(B)のノーツが、階段状に連なって1つずつ"片側に"降ってくる配置のことを言います。オンゲキでは基本的に16分音符の速さでやってくることが多く、MASTERであればLv12(存在する中で下から2番目の難易度)から早くも出てくる可能性がある配置です。

Daydream cafe【MASTER:Lv12+】※初出はLv12でした

「○」で囲った配置が該当しますが、これは同時に右手でSIDEボタンをHOLDさせられているので、左手のみで正確に押すことを要求されます。(一応、親指で右側の青を押すという処理はできますが)

また、レベルが上がるにつれて出てくる回数もバリエーションも増え、
・乱打の途中に降ってくる
・何回もしつこく降ってくる
・速度が24分になる
等々、上のレベルで高得点を取るには避けて通れない道となっています。

それを象徴するかのように、なんとたった4小節の中に上記要素が全て入ってるお得な難しい曲があったので、画像として紹介したいと思います。

Amphisbaena【MASTER:Lv14】

この片手3鍵配置を「人・中・薬」の組み合わせで押そうとすると、多くの人は恐らく押し辛いと感じることと思います。特に、中指で緑を押そうとした時、つられて薬指(左手なら赤、右手なら青)もつられて一緒に動いてしまったり、逆に動かなかったりするのではないでしょうか。
一緒に動く分には、例えば速い配置(高BPMの16分や24分)であれば偶然CRITICAL BREAKのタイミングで拾えることもありますが、動かない方はそのままMISSに繋がる為、スコアを伸ばす点では致命的です。

以上の観点から、上を目指そうとすると必然的に「親・人・薬」の指の組み合わせでボタンを押すことが推奨される為、それに慣れる為に最初の地点でこの組み合わせをホームポジションにするのが良い、というのが、冒頭で紹介した記述の趣旨であると考えています。
最初は慣れなくても下位レベルの譜面からしっかり基礎を固めることで、徐々に上位レベルの譜面とも対等に渡り合っていくことが可能になるはずです。

4.経験談 ~"1"からのスタート~

かく言う私も、2018年7月、オンゲキを始めた際の私のホームポジションは「人・中・薬」でした。虹レートまでは問題なくいけましたが、やはり片手3鍵配置が出てくる譜面が極端に苦手で、そういう配置が出てくる譜面はある程度の失点を前提としなければいけない為、極力触らないようにした譜面がいくつも存在していました。例を示すと、

・Mare Maris(MASTER:Lv12)
・SAVOIR OF SONG(MASTER:Lv12) ※削除曲
・The Formula(MASTER:Lv12+)
・Äventyr(MATER:Lv13) ※初出はLv12+

などなど。
それでも最初の方は他の"楽しく遊べる譜面"をやればレートもスコアも伸びるので気にせず遊んでいましたが、バージョンが進むと共にオンゲキというゲームにも慣れ、いわゆる理論値(1010000点)を気にする頃から、これらの譜面と向き合うのは避けて通れない道となっていました。

約2年後、前回記事でも紹介した「地力向上委員会」において、せっかくならと上記の悩みを相談したところ、

"そりゃそうやろ、その指の組み合わせで上手く動かすのは難しい"
"こういう風に指を置けばいいっちゃんねぇ~"

と、前項の開幕で述べた腱間結合に関することと、「親・人・薬」の組み合わせを教えてもらいました。
最初はアドバイスに感謝しながらも内心「ホンマか?」と思っていたのですが、試しにやってみると今まで苦戦していた片手3鍵階段が綺麗に押せ、理論値を諦めていた譜面でも理論値を取れるようになりました。
特に、初代からものすごく苦手で、RED時代に当時の13制覇ラストの壁となったGate of Doom【MASTER】を仕留めた時は、感慨深いものがありました。(142回、2位のMaqriteの約1.5倍かかりました)

向きを変えて2回来るので本当に嫌だった

これが成功体験になり、以降"片手3鍵階段"に対しては「親・人・薬」の組み合わせを使ったのですが、それ以外の配置に対しては"最初から使ってきたホームポジションの方がやりやすい"と、変わらず「人・中・薬」の組み合わせで挑んでいました。

しかし、2021年9月にLv15のレベルキャップが解放されたこと、2021年10月のblight稼働後に追加された譜面達へ挑むにあたり、だんだんと「人・中・薬」の組み合わせに限界を感じていました。
それは、blightから導入されたライバル機能で、比較的レートや理論値数が近い3人を登録してスコアを比較すると、特に片手3鍵配置が頻発するLv14・Lv14+のスコアで最下位あるいは3位の曲が多く、「親・人・薬」の組み合わせの経験値の差ではないか? と思い始めたのです。
稼働当初からこの組み合わせでボタンを押すことに慣れてきた他プレイヤーと、必要な時にしか使わない私とでは、安定感が段違いなのは自明の理でした。

この頃から矯正の必要性は少しずつ考えていましたが、先日のKoP開幕日に収録された「Shamshir -rough Pt.2-」(MASTER:Lv14)の存在が決定打となりました。

指が疲れる

ご覧の通り、常時片手3鍵配置が降って来るような譜面であり、いちいち片手3鍵とそうでない箇所で指の組み合わせを切り替えるような暇がありません。観念した私は、これを機に完全な「親・人・薬」の組み合わせに矯正することを決意しました。

しかし、なにしろ約3年以上かけてやってきたことと違うことをやろうとしているのですから、最初の方は当然上手くいくはずがありません。特に、

・元々内側のボタン(左手青・右手赤)に配置していた人差し指をどちらとも緑に置く
・それまでオンゲキでは全く使用していなかった親指を使ってボタンを押す

という慣れない操作から、TAPはポロポロ抜け、HOLDはまともに押せず、人差し指が無意識に元の配置のボタンを押そうとする等、スコアはガタガタでした。

それでも、タイトルにある通り"ゼロ"からではなく"1"からのスタートとしたのは、

・SOUND VOLTEXのホームポジションで使う指が「親・人・薬」であり、指自体は長い間動かしてきたこと
 (逆に何故それでオンゲキでも同じ指を使うことに至らないのか、ということにもなりますが……)
・これまでも人差し指と薬指をメインとして使う譜面はオンゲキに数多くあり、慣れるのはボタン配置だけだったこと

と、これまでの経験が完全に死んだわけではなかったのが大きく、また上手くいかなくても安易に元の配置に戻すのではなく、MASTERの下位レベル譜面や、時にはEXPERT譜面にも戻って根気強く指を鳴らしました。

結果、今現在(12/25)ではようやく人並みには慣れ、これまで苦労していた上位曲達に対しても少しずつ成果が出始めました。やはり、

『鍵盤は(中略)それぞれ親指、人差し指、薬指で押すのが良さそう』

という最初の文は間違ってなかったんだと確信でき、これからも新しい配置で過去スコアを更新できるように頑張っていこうと思えました。

ちなみにこれでライバル最下位らしいです。みんなオンゲキが上手い。

5.おわりに

以上、オンゲキで推奨される指配置を自分なりの解釈で説明させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
ここで述べたことは、上位ランカーはもちろんのこと、ある程度オンゲキを遊んできたプレイヤーの方々であれば既出の情報だったかもしれません。しかし、私自身こういったことを最初は知らなかったという経験から、同じように片手3鍵配置を上手く押せず、スコアを落としているプレイヤーの方々もいると考えています。
もし、そういう方々が本記事を閲覧いただき、今後の上達の助けになったならば、それはとても嬉しいことです。

最後に繰り返しになりますが、本記事公開の12/25は、最初に述べたオンゲキAdvent Calenderの25×2=50記事が全て出揃ったおめでたい日となります。
内容はオンゲキの上達に関することから、オンゲキというコンテンツのこと、オンゲキの舞台に関する考察、オンゲキのキャラに対する深い愛を叫ぶ、果ては自作ツールや人力VOCALOIDの作成まで、本当に幅広く非常に濃い内容の珠玉の記事が並んでいますので、ぜひお時間がある時にでも興味があるものから読んでいただきたいと考えています。
「何から読もうか決められない!」という方は、以下に私が好きな記事をいくつか挙げますので、そちらも参考にしてみてください。
(いずれも、「思いついたことを実践し、形として完成させた」という行動力がすごいと感じたものです)


それでは、本日も良きオンゲキライフを。

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