読書感想:「大どろぼうホッツェンプロッツ」プロイスラ―
子供の頃に読んだことのある物語。今改めて読み直してみても面白かった。ホッツェンプロッツは最後改心していたような記憶があったけど、それは続編での話だった。
2人の少年たちが大泥棒と悪い魔法使いに挑むべく知恵を働かせるけど、悪者たちも一筋縄ではいかない。2人が帽子を交換する変装作戦が後々の伏線になっていて、帽子によって事態が急展開する場面は納得感とユーモアがある。
音楽を鳴らすコーヒーひき、魔法使い特性のかぎたばこ、空飛ぶ魔法のマント等、物語中に出てくるアイテムが面白いのも魅力。
それから、食べ物の描写が目を引く。おばあさんの作るプラムのケーキを楽しみにする子供たちの様子は微笑ましいし、魔法使いツワッケルマンの食糧庫もわくわくする。
悪い魔法使いツワッケルマン。人間を動物に変える事も、泥んこから黄金を作る事もできるがジャガイモの皮をむく魔法だけは使えない、という妙な弱点がある。しかしジャガイモが大好きで7皿のマッシュポテトと6ダース半のジャガイモの団子を食べる。食べすぎである。
強大な力を持つ魔法使いなのに、一番必要な魔法が使えないのが皮肉な感じ。
捕まえている相手が逃げられないように屋敷に魔法をかけていて、身につけているものを何か置いていかないと屋敷から出ることができない。しかし、ツワッケルマンは魔法で物の持ち主をその場に呼び出す事ができる。一見完璧なセキュリティだけど、ゼッペルとカスパールが帽子を交換していたので
逃げ出したカスパールを呼び出す事ができず、ホッツェンプロッツに捕まっていたゼッペルの方がツワッケルマンの元に呼び出されてしまう。怒り狂いつつもジャガイモには執着する悪の魔法使い。悪役でもどこか面白い。
それにしても「ようせい草」は魔法使いに対して効果が強すぎる。
ちゃんと悪くて恐ろしい所と、どこか抜けていてユーモラスな部分があって、見ていて楽しいキャラクター達。
長年親しまれている子供向けの名作は、やはり面白い。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?