リモート面会への違和感


コロナ感染予防対策にて家族にも会えなくなった施設入所者、入院中の家族、そして離れて住んでいる両親。
バーチャルな面会は進んでいるけれど、画面のお母さんと手を振った後なんて話せばいいのか?
予定より短時間で、付き添いの看護師や介護士の話を聴いて終わってしまったということが多いと思う。
私たちは話したいというより会いたいのだ。

何となく空間を共有する。しばらくたって、お茶でも飲もうか?テレビ見る、オリンピックなら○○さん頑張っているね。というようにどうでもいいような話がしたい。

鈴木大介さんのSNSで発見した樋口直美さんの執筆
昨年の8月の文章です。ずっと思っていた私のリモート面会への違和感を明確に書き表してくれています。
そしてその対策も。そこが素晴らしい。

樋口直美さん(晶文社、スクラップブックから)
http://s-scrap.com/4100

コロナ時間が明けた6月、スマホが使えなくても可能なコミュニケーション方法を友人の佐藤(佐久間)りかさんに教えてもらった。新聞に投稿したのだという。私は、すぐにその内容を要約してツイッターに投稿した。同じように困っている人がいたら、きっと役立つと思ったからだ。
不安になり泣いて電話をかけてくる認知症の母に「お母さんテレビつけて」と伝え、それぞれ電話を片手に違う場所で同じ番組を見る。料理番組を見て「美味しそうね」と言い合い、動物番組を見て「可愛いね」と言い合う。オンライン通話ができない親にもできるし、精神安定にもなってお勧めと知人が紹介。〉(2020年6月10日のツイート)

私たちは話したいというより会いたいのだ。一緒にいたいのだ。
面と向かって話したいわけではない、親を説得したいとか、説明をするとかではない。
病気の人が、年老いた両親が求めているのは元気?そうなんだ、ふんふんというたわいのない会話。それが生活だ。

認知症の母が時々電話をかけてくる。
電話をかけてくると私のことを思い出すのか続けて何回もかけてくる。
「私たちは元気。たまにはいらっしゃい、顔を見せて。」
昔話の繰り返しの終わりはいつも同じ言葉。

面会や移動が制限されてから感じていた、バーチャル面会の面と向かって話す入院患者の疲れたような、興味のなさそうな表情への違和感の理由を言葉にできた。
樋口さんから1年以上遅れてだけど。
教えてくれた樋口さんありがとうございます。

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