『娘盛りを無駄にするな』
とんでもない歌唱力だ!
声が奇麗なのは勿論だけど、アタック時のブレが感じられない。
どんなプロの歌手でも、入りの音を探してしまうものだ。
迷いなくスッと音程にのせている。
「娘盛りを無駄にするなと 時雨の宿で背を向ける人」
たったこれだけの歌詞で、情景がバチッと浮かんでくる。
「報われないと知りつつ抱かれ 飛び立つ鳥を見送る私」
不倫の曲だ。
『娘盛りを無駄にするな』
という本人からの説教が、罪深さを物語る。
ミサエが言ってた。
『自分は遊んでるくせに、"こんな仕事辞めろ"って説教するオヤジが多い。
こっちはアンタ達の性犯罪を未然に防いでるんだよ。街の警察官じゃん』
流石メグの先輩だけのことはある。
だけど街の警察官は、直の営業をしつこく迫ったりはしない。
『越冬つばめ』の作詞は誰だろう?
有名なことなのに、すっかり忘れていた。
作詞者・石原信一氏とは、円広志さんのことだった。
若い人には、とんでまわるオジサンと言った方が早いかもしれない。
もうすぐ冬が巡ってくる。
「ヒュルリ ヒュルリララ ききわけのない 女です」
「ヒュルリ ヒュルリララ 古い恋ですか 女です」
表には出せない、男の願望を絵に描いた曲だからヒットした、という側面もあるだろう。
『娘盛りを無駄にするな』
と言いながら、旅館で背を向けてみたい。
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