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16歳にもなってまだプロのサッカー選手になりたい、って・・・

今年16歳になる息子はがサッカーを始めたのは小学校3年生の時である。

現在高校1年生の彼は、中学校からクラブチームのサッカーを選んで今はクラブユースで頑張っている。本当はフォワードをしたい本人の願いはかなわず、センターバックやサイドバックで守備をしている。小学校ではフォワードをしていたので、なんだかやりにくそうなポジションだなー、と練習の観戦をしながら思ったものだ。なんだかぎこちないというか、本人もやりにくそうで不安そうな様子が読み取れた。上手な子たちが集まる中、今後やっていけるのだろうか・・・と親の私も不安に感じた。

が、毎日寝ても覚めてもサッカーの事ばかり話しているし、週5の練習がないときであっても、近所のサッカー少年たちで集まって走りに行ったりサッカーしたり、この生活が受験の時期であっても絶えたことがないのには呆れを通り越して感心している。家にいるときはYouTubeやDAZNでサッカー番組を観ているし、親でありながら、ここまで息子が夢中になれる事が羨ましいと思ってしまう。私が中学、高校の時に同じように夢中に打ち込めるものはなかった。私の場合、強いて思い出してみても、将来アメリカに留学したいという夢に向けて、英語を一生懸命勉強していた、というくらいだろうか。

小学校の時から将来の夢はプロのサッカー選手、と言っていたのが今でも変わっていない。彼を見ていると、本人には言えないがずば抜けてうまいわけでもなく、同じチームには同年代で日本代表に選ばれている優秀な選手がいたりするので格差を感じるし、他にもU18で高校3年生に混じって活躍をしている同世代の選手もいるが、息子はその中には入っていない。県トレの選手に選ばれているわけでもなく、ただただ黙々とチームの練習をしている。コロナの関係で試合がない日が続いているが、通常に戻ったら果たして息子はどれだけチームに貢献できるレベルなのかもわからない。練習の帰りに、どうだった?と私が聞いても、ピンとくる返事もない。たまに、今日は調子が良かった、などと言っているが、概ね”楽しかった、きつかった、とかコーチと面白い話をした”、などの決まったボキャブラリーしか使わない。

そんな調子で、いまだにプロのサッカー選手になりたい、と本気で言っている彼を見ていると不安に駆られる。彼には、勉強する時間があるんだったらもっと大事なことがあると信じていることがある。サッカーをする、もしくは友達と遊ぶ、という2択。その間に寝る事、食べる事が入ってくる感じだ。私は、いつの頃からか勉強しろ、と言わなくなった。言ってもやらないし、やらない彼にどれだけ説得してもうまくいった試しがないことが実証済みだからだ。彼はこの2択で受験の時期乗り切った。結果よければすべてよし、と本人が自負しているのだから黙っていることにした。これを世間では諦めた、ともいう。

息子がプロのサッカー選手を目指しているのは、小さな男の子が、『大きくなったら仮面ライダーになりたい』、と言っているのと同じなのではないだろうか、と真剣に心配している。先日、この私の不安を正直に全部彼に話してみた。他にはもっと上手な子がいるし、勉強も頑張ってサッカー選手以外の将来の可能性をみてみてはどうか?と。

帰ってきた言葉は以下である。

『母さん。どれだけ考えてもサッカー選手以外、本当に何も浮かんでこないんだよ。高校のユースに上がるときに、俺と一緒にプロサッカー選手になりたいって言ってた自分より上手なやつがサッカー辞めたり、ユースに上がらない決断をしたのを覚えてるから、俺も真剣に考えたんだけどね。本当に何も浮かんでこないんだ。』

『それに、サッカーをしているのはオレだよ。なのに母さんが俺のサッカーの事とか心配しても意味ないでしょ?』

はい、すみませんでした。と、この一言には脱帽でした。そんなに好きなら飽きるまで思う存分やってください。

ただ、勉強ができなかったら大学にも行けないし、サッカーで誰にも拾ってもらえなければその時はどうするのかは考えて頂戴、とだけは伝えておきましたが。彼自身が、いつか、本当にヤバい!と思う日が来ても、彼の事だから何とか自分の道を見つけてくれるとは思っている。英語だけは成績が良いのだが、それも英語で試合後にインタビュー答えるときにちゃんと話せるように、という目的らしい。

高校生活はあと2年半。さあ、どうなることやら。


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