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モニタースピーカー買いに行ったぞのお話

みなさまごきげんよう。LLSY music & V Ch.のレーシーです。

みなさんはDTMでスピーカーって使っていますか?
私はどうしても船上で作業することが多かったのでほぼヘッドホンオンリーでした。
今まで家にはiLoud micro monitorというちっちゃくて(マジで小さい)お手頃なスピーカーを使っていたのですが、世間的な評価は非常に高いのですが正直これで作業はかなり難しくない?というのはかなり感じていたので、陸上勤務も見えてきたしそろそろある程度お手頃でちゃんと作業できるモニタースピーカーを買おうと思い、お店に視聴しに行きました。

私の部屋は分譲マンションの一室ですが、5畳程度と狭いうえに音楽のためだけに使用するわけではないので部屋の改造は少々難しいです。
なので補正ができるタイプのスピーカーを探しに行きました。
ちなみに購入したのは2024年の2月頭だったのでARC4はまだ登場していません。

比較したのは
IK multimedia - iLoud Precision5
Neumann - KH-120
Focal - Evo50
Focal Shape 60
ADAM Audio A4V
reProducer Audio - Epic 4
Generic 8030

ざっくり感想はこちらです。
ちなみに記事を書いている現在ですでに3か月くらい前の話になってしまっているので結構忘れてしまっています。。
印象に残っている部分はお話しできそうです。


IK multimedia - iLoud Precision5

音の印象としてはiLoud micro monitorやiLoud MTMと同じ。他社の補正スピーカーと比べるとローミッドが結構すっきりする印象がありました。解像度は少し低めなのか若干音のにじみがあったりアタックの見えにくさはありましたが、音量を絞ってもバランスは崩れにくかったです。
iK製品全般にいえることですが、定価で買わずセール価格で買うべし。

Neumann - KH-120

ネット上の評価が異様に高かったので期待値は高めでした。
40Hz下がズバッと切れているという話でしたが、80前後の低音自体はかなり出ている感じで、一聴して迫力のある音です。
音量を絞っていったとき低音が残るような感じがあって狭い部屋では少し使いにくそうな感じは受けました。

Focal - Alpha Evo 65

正直言うと、、あまり印象に残っていません。パリッとした今風の音だったような記憶はあります。ただ今回比較した中でペア10万と断トツで安かったので、良くも悪くも印象が薄かったというのはコストパフォーマンスの良さが際立ちます。

Focal Shape 50

モニタースピーカーっぽくない鳴りが印象的でした。中域がよく出ていて、ロックやアコースティックな編成の音楽にはすごく合いそうです。
求めてたような音ではなかったので今回はお見送り。

ADAM Audio A4V

きれいに伸びる高音にタイトで引き締まった低音とかなりモダンでソリッドな音がしました。ペア10万でSP内補正ができるということでかなり一時期は宣伝もしていましたが、ウクライナにラボがあるという話で2024年2月の時点は補正ソフトはまともに動かないβ版のみ。現在すでにリリースされているかはわかりませんが、それがあるかないかでかなり大きく変わってきそうです。
4インチということで低音の量は控えめです。

reProducer Audio - Epic 4 / 5

ユニークな外観に底面にウーファーがあるなどかなり個性派の一台、コンパクトだけど大型スピーカーに勝るとも劣らないと評判のEpic4、5も聞きました。
4と5を比べた感じやはりサイズ差はかなり感じるな、という印象。Epic4はやはりレンジの狭さを感じます。頑張ってでも5を選ぶべきですね。低音は思ったよりおとなしめでした。

Generic 8030

分離感のいいGenericという感じの音。THEモニタースピーカーという感じで、迷ったらこれでいいんじゃないかと思いました。ただスピーカー補正機能を付けると値段が跳ね上がるのでそこが悩みどころです。
Rawフィニッシュというカラー?は好みが分かれそうです。

そして購入へ

ということで買って帰りました。

IKまみれ

iK multimediaのiLoud Precision 5です。
IKユーザーの方はハードであってもセールで買うメーカーというイメージがついていると思いますがこちらもそう。2024年前期でセール20万くらいです。
補正ができるスピーカーはいくつかありますがIKの強みとしては何といってもスピーカー内部で補正をかける(プラグイン方式ではない)というところですね。
なのでDAWのマスターにプラグイン刺さなきゃ、、という他社と比べてPCから出る音全てに補正が載ります。レイテンシもありません。
これは明確にSonarworksに比べ優れている点だと思います。
補正ソフトのX-monitorをスタートアップで立ち上がるようにしていれば、以降は操作も何も必要なく常時補正済みの音でスピーカーを使えます。
あと家で使うことを考えて音量を絞ってみても音のバランスが他製品と比べて変化しにくいと感じました。
解像度の悪さですが、中域にフォーカスした作業はヘッドホンのほうが得意ですしこのお値段ならこんな感じなのかなということもあってあまり気になっていません。
ヘッドホンは絶対使わないぞ!スピーカーのみで完成させるんだ!という方にはちょっと合わないかもしれません。

スピーカー補正というものについて

スピーカーの補正についてはいろいろな製品が登場していますが、個人的にはスピーカー内部で補正してくれるものがいいかと思います。(プラグインタイプだとDAWのマスターを通した状態でしか補正した音が聞けないので)
わたしがiLound precision5を購入して以降にARC4が登場し、その価格も相まってかなりの衝撃を与えましたが、SNS上では批判的な意見も多く見かけました。
確かにスピーカー補正ではディップの補正はできないので至極もっともな意見ではありますが、その一点を見てこの手の製品がすべて無意味だと切り捨ててしまうのはいかがなものかとは思います。

スピーカーのために部屋を作っていくのは大変です。賃貸や壁材、家族との関係など金銭面以上に部屋に手を付けることが難しい、ハードルの高い方は少なくはないかと思います。
特に私のように趣味の範囲で音楽を楽しんでいる方。
音楽のためだけの部屋を用意できない、諸々の事情によって部屋を作るハードルが高い場合、補正可能なスピーカーはちょうどいい落としどころかもしれません。
私も音楽はあくまで趣味であり、それ専用の部屋を用意することはできなかったので補正付きのものを購入しました。
また補正というとスピーカーの個性とかそういったものがなくなり、均一化しそうな印象を受けますが、実際視聴してみてわかるように「フラットに補正をする」とうたっていても製品ごとに音はかなり大きく違います。
(IKとノイマンだけでももう全く違う音になっていて驚きました。)
さらにお店ではどうしても大きな音量で気持ちよく聞いてしまいますが、家で使うとなるとある程度音量を落として使用することも少なくはないかと思います。
ウーファーとツィーターを搭載したいわゆる2wayスピーカーは特に音量を絞ったときにバランスが変わることも少なくないので、自分の家で使うことを考えた音量での視聴も行ってみてもいいかなと思いました。
タンノイのような同軸スピーカーを考えてみるのもありですね。

iLoud Precision5を3か月使用してみて感じたメリット

この記事の最初に、これまでほとんどの作業はヘッドホンだったということを話しました。
作業にモニタースピーカーを導入したということ自体のメリットともいえる箇所もいくつかあるので、DTMをしていてスピーカーを導入するか迷ってる人にも参考になればと思います。

全体的な音圧感、帯域の"おおまかな"バランスはとりやすい。

少し意味深な書き方をしてしまいました、何が言いたいかというとつまりは書いた通りです。
ぱっと聞いた時の全体的な印象はわかりやすいです。
逆に楽器ごとの被りや細かい部分は少しわかりにくいです。これは大音量で鳴らせない私の家の環境のせいでもあるかもしれませんし、少し音のにじみやすいiLoud Precisionの特性でもあるのかもしれません。

頭に何も乗らないというのは楽

ヘッドホンはいいものになるほど重量が結構あります。
軽いモデルはケーブルに引っ張られて動いてしまったり、そもそもケーブル自体が邪魔というのも結構あります。
それから解放されるのは結構大きいです。
ヘッドホンで没入感を得たいなという時もあるので、選択肢が増えるのはいいことです。

iLoud Precision5を3か月使用してみて感じたデメリット

当然いろいろとあります。

常時2本のUSBを使用する。

スピーカー補正によって左右両方のスピーカーを常時USBでPCにつないでおく必要があります。
ケーブルは付属しているしPC側はUSB2.0のタイプA。
なので適当にハブでもつけておけば十分だけれど、特にラップトップなどで極力PC周りをミニマルにとやってる方にとっては気になる方もいるかもしれません。
私はセルフパワーのUSBハブをデスク裏に取り付けています。
スピーカー×2、マウスとキーボード、MIDIキーボード、Loupedeckを取り付けています。
セルフパワーで電力は安定していますが速度的にはUSB2.0が3口、3.0が3口と現代の基準だと遅めなので常時使うけれど速度は重視しないものをつないでいます。
特にUSB4の二口がIFとサブディスプレイで埋まってしまうので、外部ストレージをつながなくてはいけないときのためにUSB3.2の本体ポートはいくつか開けておきたいところです。

背面。ただでさえ奥行きが長いのに各ケーブルがまっすぐ刺さるのはつらい。。

見た目の高級感はない。

SPの世界でペア20~30万が果たして高いか安いかはわかりませんが、世間一般に言って"20万円の趣味のもの"は高価な部類に入ると思います。
FocalのShepeだったりインテリアと置いても見劣りしないものもありますが、iLoud Precisionの質感はおよそ高級感とは無縁です。
品質が悪いというわけではありません。作りは価格相応しっかりとしていて、何かがぼろぼろと壊れてしまうとかそういうことはもちろんありませんが、外観は何というか普通です。
20万も出すんだからもっと高級感が欲しいと思うか、いい音が出ればいいんだから見た目に気を遣わず音にかかる部分に予算を割いてほしいと思うかは人それぞれかなと思います。
個人的に日本人は後者が多そうな気はしますね。

数千円のスピーカーと変わらないような見た目

写真で見るより奥行きはある

縦横のサイズに比べて奥行きは結構長いです。さらにケーブル類はすべて背面にまっすぐ刺さります。
奥行き+ケーブル分を加味すると設置場所の確保は人によっては大変かもしれません。私も割とギリギリな感じで設置しています。
ノイマンのスピーカーなんかはケーブルが本体背面の奥まった部分にあって、さらに下方向に出ていくようになっているので(音に与える影響はいったん置いておいて)壁際ぎりぎりまで置くことができます。
寸法はホームページなどに出ているでしょうが、実物を見ないで購入する場合(レアなケースだと思いますが、どうしても行ける範囲に店舗がなくて通販で買うという方もいなくはないでしょう)寸法+ケーブルのコネクタ+曲がり幅を考慮した置き場を確保できてるか確認してからのほうがいいかもしれません。

結局スピーカーを買ってみてどうだった?

あれこれと書きましたが基本的には満足しています。
もっと良いスピーカーを使っているならまた少し意見は変わるのかもしれませんが、個人的にはモニタースピーカーを導入してヘッドホンが不要になったかといわれるとそんなことは全くありませんでした。

むしろ思っていたよりもスピーカーでできる作業も多くなく、特にミックス作業については相変わらずヘッドホンに頼りきりです。世間ではよくミックス作業でヘッドホンは厳禁!必ずスピーカーで行いましょうと言われることが多い中少し意外な感想になりました。
なんとなくの全体のバランスは把握しやすいのですが、特にトランジションとリリースの感じが見えにくいのでコンプやリバーブの処理はヘッドホン必須です。
EQはスピーカーだけでもいいかなという感じはしましたが、パンを振るときはヘッドホンのほうがわかりやすいです。
これは私が頭内定位に慣れているというのもあるかもしれません。

DTMを始めたばかりの人はどちらを優先すべき?

たびたび話題になる話ではありますが、今回いろいろと視聴して思ったのは"スピーカーはサイズの差が価格差以上に大きい"ということです。
何を当たり前のことをと思うかもしれませんが、特に4インチと5インチの差はかなり大きいように感じます。
個人的にはDTMを始めてまずモニター環境を整えるとなった場合、ヘッドホンをまず買ってもいいのではないかなと思いました。
スピーカーで10万だと音的にも少し物足りなさはありますがヘッドホンで10万だと十分いいモデルを買っておつりが来ます。夜でも気兼ねなく音を出せますしね。
ただ予算とスペースに余裕があるならスピーカーも一つ持っておくのはいいのではないかなと思いました。
そしてできる限り試聴をして買うこと。スピーカーもヘッドホンも非常に様々な音のなり方があります。それは高音が出てるとか低音がとかそういった周波数帯の話だけではなく、音場表現であったり奥行き感であったりアタックやリリースの見え方だったり非常に幅広い範囲でです。
試聴をするときはあえて自分の予算を大幅に超えたモデルを聞いてみるのもいいと思います。いろいろメーカーや価格のものをきくと自分がどういった音が好きで、どういうところに違いを感じられてどこまでだと満足できるのかという部分がわかってくるかと思います。

今回はモニタースピーカーを買いに行ったことをいろいろと思い出して、思ったことや感じたことを書き連ねてみました。
スピーカーに関してはヘッドホン以上に予算や家の環境で左右されるところが多いなと感じました。

LLSY music


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