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個人的な作曲フローとかミックス手法とか

こんにちは、LLSY music channelにて作曲を行っている初心者ボカロPのレーシーです。

7月に9曲(1つは無色透名祭用なのでアカウントにはありません)の曲を作り、アップロードしました。
作曲のペースなんて人それぞれですし、私が当時仕事が休みだからということもありますが、今月はたくさん作ろうという気持ちで臨みましたので、それによって得られたものやどのようなフローで作業していたか、経験の整理という点でも少し書いてみようと思いました。

反省点

 -そもそも短期間でたくさん作ることがえらいかどうかといわれれば、そうではないしそんなすごいわけではありません。
おそらく今月だした色々を聞いても、多くの方は何とも思わないでしょう、、クオリティとしてはそんなレベルでした。
じゃあ時間を掛ければよくなったかと思うと、そうとも思えませんでした。
これは単純に私の技術、経験不足でしょう。
音楽を始めてちょうど1年ほど、可もなく不可もなくくらいなのかなと思います。再生数を見ていても100~200回とおおむね普段通りでした。

 -動画、イラストのクオリティ
これはもうなんというか、外注しろの一言に尽きます。もともと私は動画も自分で制作しており、曲に合わせてただ歌詞が表示されるだけという非常に稚拙なものです。これは今回に限らずといったところです。
イラストも自分で書いたものが大半を占めました。今回はイラスト練習も兼ねていたので、大目に見ていただきたいところ、、ですがリスナー様にとっては関係ないこと。伸びしろがあると捉えて精進します。

良かった点

 -ミックスの効率化
急いで制作していた、というわけではないんですが、たくさん作る上でだいぶ効率化された気がします。
プラグインは道具と同じで、使ってると扱いに慣れてきたり、場面によってどれを選択したりみたいなのは悩まなくなってきました。

 -音作り
身の丈に合わないくらいたくさんのシンセを買い込んでますが、色んな音を作ることで音作りに対する造詣が深まった気がします。
また、どのソフトシンセがどういうフローに適してるかみたいなのも、少しわかるようになってきました。

 -みんなに自慢できる
みんなに自慢できる


私の作曲フロー

私の作曲は主にDAWで作っていくか、MPCで作っていくかの二つに分かれます。
ですがMPCの制作でもある程度デモができれば1トラックずつ書き出して、DAWに張り付けて作業を進めるのであまり変わりません。

私は結構音色から作っていくことが多いです。
まずシンセを色々立ち上げて目的をもって音を作ってくこともあれば、プリセットを適当に回っていって、お、この音ええやん、となることもあります。
音色から似合うようなフレーズやコードを適当にMIDIキーボードで弾きながら、気に入ったフレーズがあったら録音して、それをベースにして組み立てていきます。

そのくらいの段階で、これをどんな曲にしようかなということを考えます。
基本はバッキングとなるコード、リズム、ベースを入れて、上に音を重ねていくことが多いです。
入力は基本キーボードのリアルタイム入力(MPCの場合パッドorMIDIキーボードを接続)で、パートごとにループさせながら音を重ねていきます。
この段階でオートメーション等もかくことも多いです。
テンプレートのようなものはあまりなく、どういう音がなってたら楽しいかな、どういう動きをしてたら面白いかなという風に作っていきます。

音が重なっていけばいくほど、音色の選び方は音の占める帯域と時間変化で選ぶことが多いです。低音、中低音、中高音、高音域、、センターとLR、、どこにスペースが空いているか、音のアタック感や持続感はどうか、、できるだけ音同士がぶつからないようなイメージで音色を作っていきます。
シンセを使っていると音の時間変化には敏感になってきますが、例えば同じコードバッキングでアタックを遅らせたSuperSaw系サウンドと、ディケイの短いプラック系のサウンドは上手く重ねられたりします。
上手く音を分散させながら重ねられれば、ミックスも楽になります。

私の場合ボーカルはシンセを使ってメロディを入れていきます。
MIDIで書き出したファイルをSynthsizerVに読み込ませ、声を割り当てます。

ある程度音ができてくると、オートメーションをかいたりプラグインで音を作っていきます。
フィルターやスタッター等クリエイティブなプラグインをつかって音を加工していきます。
お気に入りのプラグインは、ノブ一つで簡単にフィルターやダッキングがかけられるwavesのOne knobシリーズ
MIDIキーボードを使って感覚的に操作できるizotopeのStutter Edit
EQからフィルターまで超多機能に使えるUVIのShadeあたりです。
Tape系や歪み系で質感も好みに仕上げていきます。

ある程度仕上がったら音量やパンを整えていきます。
私はドラム、特にキックを基準に整えていくことがあります。
RMSメーターと、マスターバスに刺したVUメーターを見ながら整えていきます。
キックのピークが-6db、LUFS-14に設定したVUメーターを基準にしていくことが多いです。
ドラムバスはLimiterで少しだけ抑えてトランジェントシェイパーでアタックをほんの少し出してあげると、ラウドネス値を消費せずに音量感を出すことができます。
キック、スネアはアタック感から中高音域で語られることも多いですが、音の重心は何より元のサウンドのピッチが重要です、場合によってはbx subsynth等レゾナンスタイプの低音補助プラグインも使います。
基本周波数を50Hz周辺にもってくれば、腹に響くような迫力あるキックにできます。
30Hz以下はサブベースとの兼ね合いを考えていきます。


私は結構各パートごとにバスでまとめるのですが、バスでまとめたグループごとに整えていきます。
ドラム→コードバッキング→ベース→ボーカルやリード→その他の順に、1トラックずつミュートを解除しながら整えていく場合が多いです。
また、この段階でFXトラックを立ち上げリバーブをかけていきます。

コードバッキングのフロー
基本はコンプから考えますが、トラックが多い場合チャンネルストリップを使うことも多いです。緩く潰したいときはLA-2A系やNeveのコンソール系、アタックを出したいときはLA-3A系、クリアに保ちたいときはFairchildやSSL系を使うことが多いです。
多機能なもので細かく調整するより、キャラクターの強いものでイメージに近いものを刺してささっと仕上げることが多いです。
EQはアナログ系やチャンネルストリップでざっくり作って 最後はパラEQで細かく仕上げることができます。
パラEQは9割SonnoxのClaroを使います。
基本倍音の多いシンセサウンドを使うことが多いので、左右に広く背景に音が広がるようなイメージで作ることが多いです。
広がりを出したいときはシンセのdetuneをワイドに広げたり、ディメンションコーラスやリバーブをかけたり、MS処理できるEQでサイドの高音域をシェルビングで持ち上げたりします。
ベースやボーカルの入る場所をイメージしながらざっくり作っていきます。
私はベースが100〜180Hz周辺にくることが多いので、ローカットは大胆に入れていきます。

ベース編
ベースは基本的にセンターにあるので、キックを邪魔せず、他の音の邪魔をしない帯域に入れ込みます。イメージ的には80~200Hzあたり。サブベースを入れるときはキックの邪魔にならない20~30Hz以下を狙います。単体だと、ん?となるくらい削ることも多いです。
チャンネルストリップでざっくりフィルター、EQ、コンプを入れて質感を作っていくことが多いです。
低音感を強調したいならwavesのRbass。ただ相当ローが出るので、ターゲットを100~160Hzに合わせて、イメージが崩れないように調整していきます。

ボーカル編
ボーカルは基本的にSynthsizerVで作るので、素の時点でかなり整った音になっています。
コンプは基本wavesのPuigchild。素早いコンプタイムとアタックをしっかり残してくれる感じが両立するのがお気に入りです。いずれにせよ-3db程度の、あまり深くないコンプレッションを行います。
アナログ系EQで質感をだして、リミッターかRVoxで曲になじむようダイナミックレンジを圧縮します。ローミッドを削るのは好きではないので、Paltec系のEQでハイの質感を調整することが多いです。
最終的なコンプのリダクション量は具体的な数値よりも、オケのダイナミックレンジ感に合わせた処理が必要だと考えます。EDMのような音圧高めのオケにレンジ感の大きいボーカルは合わないですし、バラードやジャズのようなレンジを広くとる音楽にべたべたに潰したボーカルは合いません。
私の曲は比較的ダイナミックレンジの小さい、音圧の高い曲が多めなので強めに圧縮することが多いです。
ディエッサーが必要であれば入れます。
音を歪ませて質感を足したいときは、大体Arturiaのtape MELLO FI(Driveの質感が素晴らしいです)か、Plugin AllianceのBlack Box Analog Design HG-2を使うことが多いです。どちらも中域がぐっと出てくるタイプで、サチュレーター/ディストーションにありがちな高音のザラザラが出にくいです。
ビットクラッシャーを使う時は MagixのColor FX一択です。

その他のサウンドもチャンネルストリップを中心に、目的があればそれぞれのプラグインを取捨しながら調整していきます。

Mix時はべイヤーのT1 2ndのようなドライな空間表現に秀でたヘッドホン等を使いながら調節していっています。

他トラックとの被りの問題ですが、私はほぼすべてのトラックにSonnoxのClaroというEQを差しています。
EQの流れが非常によく考えられた素晴らしい製品なのですが、Claroの刺さっているすべてのトラックを並べて、被っている帯域があれば色付きで表示してくれる素晴らしい機能があります。
これを使って被った帯域を削るべきか、残すべきか簡単に判断できるようになります。
またQを絞れば基音と倍音成分の色が変わるのでレゾナンス処理も可能です。

この段階でバストラックの処理も終わっています。
遠くに置きたいパートほど、バスコンプで強めに潰すことが多いです。

ある程度全体が仕上がったかなというところで、ゲインステージングができていればリミッター無しでマスターバスのピークを越えない程度に整っていると思います。
この時点である程度まとまり感が欲しければ全体にコンプを掛けることもあります。透明感のあるコンプでピークだけを軽く抑えていくイメージです。

ここまで仕上がったら一度ファイルを書き出して、別で2mixのプロジェクトを立ち上げます。先ほどのファイルを読み込んで最終的な修正をしていきます。
鈍ったような質感が欲しければTape系を使います。
EQはPlagin Allianceのbx Digitalを使うことが多いです。
Limiterは基本的にwavesのL316。Ozoneよりシンセ音に与える影響が少ないように感じます。
好みの音圧まで圧縮して、不備があれば元プロジェクトに戻って調整をします。
ラウドネスはメーターを使って確認はしますが、各プラットフォームのノーマライズの値を参考にすることはありません。
再生機器側の音量を絞って小音量で、自分の一番欲しい音圧感になるよう仕上げていきます。

以上が私の普段行ってる作曲のフローです。
ちょっとミックスとかの話が長くなりました。そのうちシンセとかの話もかいてみたいです。
ここ数か月で制作環境が大きく変わって、作業の流れも結構変わりました。それでも音を作って、フレーズを打ち込んでいくという基本的な流れは変わっていません。
最後によく使うプラグインや、効率的に曲を作っていけるお気に入りのプラグインをいくつか紹介して終わろうと思います。

・Scaler2
コード支援プラグイン。私は楽器演奏ができないので非常に便利なプラグインです。
指一本で設定した進行通りのMIDIノートを吐き出してくれます。作ったメロディに対してコードを提案してくれる機能とかもあるらしい。

・Ujam Beatmakerシリーズ、Kawaii Beats vol1
リズムは手打ちすることも多いのですが、どうしてもシンプルで面白みのないビートになりがちなのでお世話になることも多いです。
UjamはそれっぽいビートをMIDIでペタペタ張っていけますし、Kawaii Beatsは鍵盤を使ってフレーズの頭だけ繰り返したりトップループだけ流したりできるので直感的にリズムパターンを組んでいけます。
ドラム音源は曲中で複数使うことが多いので、起伏をつけたりするときに助かります。

・ソフトシンセたち(Spire, Falcon, Pigments, Avenger)
FalconはとにかくFXの出来が他とは段違いなので、プリセットの完成度で言えばずば抜けています。エキスパも安いですしプリセットベースで音を選んでいくときによく使います。
中域にパワーが欲しいときや存在感のあるプラックサウンドを作りたいときはSpire、独特の荒々しい倍音の出方など存在感のあるサウンドが簡単に作れます。
複雑な変化に富んだ音は最近導入したPigmentsを使用する場合が多いです。
Avengerはドラムプリセットが気に入ってるので、そっちでの出番が多いです。ファクトリープリセットのFX系に面白いサウンドが沢山入っているので、それを使うことも多いです。
基本この辺のどれかを最初に立ち上げて、音を作っていったりプリセットを選んで基本になる音を選択します。

・Sonnox Claro
上で紹介しました。使いやすく信頼できるパラEQを一つ持っておくというのは素晴らしいことだと思います。

・チャンネルストリップ系
スピーディーにざっくりした処理をしていきたいとき、やはりチャンネルストリップは便利です。
各社モデルや色々で音の傾向が違うので、使い分けていきたいです。
Neve系を使うことが多いですが、クリアに仕上げたいときはSSLを使うことも多いです。

・Arturia Tape Mello Fi
サチュレーション、ディストーション、チューブ系プリアンプ等のプラグインやシンセは得てしてハイ上がりな音になることが多いです。
こいつのドライブはミドルからぐっと音が押し出される感じで、あともうひと押しが欲しいとき頼りになります。
ピッチのよれ感も心地いいです。

・UVI SHADE
EQ&フィルタープラグインです。過激な効果を簡単に生み出せます。
めちゃやばいオートパンみたいな使い方もできるし、通常のEQとしても優秀です。

とりとめのない話になりましたが、これが現在の私の作曲フローです。
割と悩んだり考えたりせず、勢いで作ってしまうことが多いです。
私は初心者なので、まずは曲を沢山完成させようという思いでやっています。
曲作りに対するスタンスは人それぞれだと思いますし、私自身これからどんどん変化していくと思いますが、やはり作品として完成させることは何より大事なことなのかなと思います。

これからも音楽制作は続けたいですし、もう1年2年とたったとき、自分がどのように変化して行けているのかが楽しみで、振り返りの記録となるようにこの記事を残したいと思います。



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