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新しい時代を感じるイヤホン - Acoustune HS1790Ti レビュー

ごきげんよう
LLSY music ch. 初心者DTMerのレーシーです。

今回は久しぶりのイヤホンレビューです。
イヤホンは今までAKGのN5005というちょっと昔のモデルと、qdcのUranusというイヤホンを使っていました。

今回久々にイヤホンを買いましたのでレビューを書いていこうと思います。

Acoustuneというメーカー、イヤホン好きの方以外だとあまり聞きなじみがない気がします。
ソニーやゼンハイザー、Shureとかだとマイクもたくさん出してるし、よく聞く安心感のあるメーカーという感じですし、特にDTMやってらっしゃる方はリスニング・モニター環境に非常に保守的な方が多い印象ですので、イヤホン専門メーカーなんて聞くと、法外な値段でいいか悪いかもわからない製品を売りつけるところ、、みたいな印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
私は以前からqdcという中国のIEM系イヤホンメーカーを愛用していたり、Unique MelodyやMoondropといったイヤホンメーカーのイヤホンを試聴していいなと感じたりもしていました。

Acoustuneも友人がHS1300というモデルを所持してるのを聞かせてもらったり、旧モデルのHS1697TIを試聴したこともありました。

Acoustuneは非常にメカニカルな外観やアルミケースが付属するなど一見色物のような雰囲気がありますが、サウンドは一転真面目なものが多いです。

HS1300はドンシャリで迫力があり、鳴らしやすさも相まって外でイヤホンを使うけどワイヤレスはな、、という層にアプローチしてたように思います。
HS1697TIという旧モデルは過去に試聴したことがあったのですが、ハウジング由来なのかどうしてもシンバルなど金物にレゾナンスがあったりしてその時は好きになれず見送っていました。

今回は購入に先立って、新品~中古までいろいろと聞いてきました。
アンドロメダやqdcの上位モデル、、結構悩んだのはMezeのADVARというモデルでした。

製品ページを見てみると、第2世代ミリンクスコンポジットドライバーをチタン製チャンバーボディに格納、、となにやらわかるようなわからないようなことが書いてあります。
つまりドライバは自社開発ということでしょうか?
とりあえずドライバ部分をチタンでできているというボディに入れてシェルと独立させているというのはわかります。
とりあえず開けてみましょう。

非常にしっかりとした箱に入っています。
DTMの製品は40万しようが50万しようが「これがプロ仕様だから!」といって段ボールに印字しただけの箱に入ってたりするので、民生品の高級感というか、所有感を高めるパッケージングは新鮮だしうれしいです。
Made in Japanとあるので最初は日本の会社なの?と思いましたが香港の会社のようです。日本に工場があるのでしょうか。

開けるとアルミケースが出てきます。
以前のAcoustuneは、イヤホンがちょうど入るくらいのサイズのケースで絶妙にダサいなと思った記憶があるのですが、今回は箱いっぱいサイズのケースでした。
それでも機材ケースとしてはかなりミニチュア感があるので、微妙なコスプレ感のような感じはあります。
ただこれに入れて持ち運ぶことはないと思うので、一式入れて家に置いとく分には頼りになりそうです。

本体とご対面!うれしい誤算だったのはキャリングケースが入っていたこと。
四角くてかなりしっかりしたケースで、鞄にも安心して入れれそうです。
個人的にはqdcのケースが非常にかわいくて好きだったのですが、ケーブルを丸く巻いて無理なく入れれる感じや。覆うように被さる蓋などこちらの方が実用性は高そうに感じます。

純正イヤーチップをつけてみました。
シェルはほどほどの大きさですがあまりにもメカメカしい造形により半端ない存在感があります。
付属ケーブルは鬼のように太いです。
個人的にリケーブルなどには興味がないので、このケーブルがいかほどのものかはわかりませんが、まぁいいんだろうなと思わせるだけのインパクトがあります。

純正イヤーチップは若干開口部が小さく、試聴の時には結構なドンシャリに感じました。
シェルの形状とケーブルの重みでどうしても私の耳には合わなかったので、家にあったイヤーチップを色々引っ張り出して合わせてみました。
結果としてはスピンフィットのXSサイズに。
Uranus用に買ったものの使わずじまいだった子にようやく日が当たりました。
ユニバーサルIEM系のイヤホンと違って、こういった耳の穴に沿うように入ってくるタイプのイヤホンはイヤーチップ、特にノズルの長さと開口部の狭さで音が大きく変化することが多い気がします。

スピンフィットは中がばねのようになっていて、押し込むと回転してフィット感が増す。。ことがあります。


開口部が広くなったことで、低音はよりタイトな感じになりました。ドライバから直にくるような開放ヘッドホン等で感じるあの感じです。
Acoustuneのリンガーハットみたいなやつやqdc、体温で変形するアレなど色々試してみましたが、イヤーチップでかなり音が大きく変化します。
本体が金属製かつ重いことも相まって、付属やqdcのサラサラめのやつはすぐ落ちてしまいました。

サウンドとしては、一見若干の派手さはあるものの上から下まできれいになてくれるという感じです。
HS1697TIの時に感じた妙なレゾナンスなどは抑えられ、高音はきれいに出るようになっています。若干やりすぎ感は感じますが、リリースが早めに切れてくれるのでまぁいいかなという感じになりました。
おそらく400か500Hzあたりが少し落ちてるんじゃないかなという感じはあります。楽曲はよりタイトにソリッドに聞こえます。
DTMをしていて最終マスターで500Hz前後をいじって楽曲の雰囲気を大きく変えることは皆さんされると思いますが、個人的にはハウスやFutureBassなど現代的な、音のたくさん詰まったサウンドに合うのではないかと思いました。タイトなキックに抜けの良いウワモノによく合います。
古いロックなどはよく言えば今っぽく、悪く言えば淡泊に聞こえます。

このように現代のサウンドに合わせた真面目なリスニングイヤホンだ、と感じますが、よくよく聞いていくととても作りこまれた音だと感じます。
特にダイナミックレンジの広さ、実際以上に楽曲に奥行きが出るような感じがします。
驚いたのは別でアンプを通さなくても同じような傾向になること。
イヤホン自体が鳴らしやすいということもあるかと思いますが、普通はそれなりのDAとアンプを通して奥行きのある音で聴かせてくれるイヤホンなどでも、スマホにそのままつないだりすると平面的でペタッとした音になってしまいがちです。
このイヤホンはスマホにそのままつなぐと、流石にアタック感は薄れダイナミックレンジが狭まる感じは受けるのですが、ボーカルの美味しい帯域が浮き上がってくるような不思議な鳴り方をするので楽曲がベタベタにならず擬似的な奥行きを持たせてくれます。
またフロアノイズのそこそこ高い機材につないでもそれを感じさせないこと。
先ほどリリースが短いという話もしましたが、ソフトニーのエキスパンダがかかってるような、結構謎な鳴り方をします。
イヤホンの値段が上がりまくってる昨今、10万そこそこのイヤホンだとミドルグレードくらいになってしまうのかもしれませんが、それでもこの価格帯のイヤホンをあれこれ繋がなくても気軽に使えるというのは非常にありがたい話です。
自然な音か、と聞かれると結構作られた音ですが、良いか悪いかでいえば良い音だと思います。

あと製品ページを見て驚いたのですが、ダイナミックドライバ1発なんですねこれ、、
完全にマルチBAかなんかだと思いました。
それならばスマホ直でもそこまで周波数ごとのバランスが変わらないことも納得です。
近年ヘッドホンでもかなり革命的な音質向上を感じますが、ダイナミックドライバというもの自体がここにきて新しいものになりつつあるのかもしれません。
シングルダイナミックは再生周波数幅が狭い、というのはすっかり過去の話になりました。

長々となりましたが、非常に良い音質、所有感を満たしてくれる外装や付属品など値段を考えるとなかなかコスパの良いイヤホンなのではないかと思いました。
最近はイヤホンの値段も上がり続けて、所謂ハイエンドと呼ばれる価格帯は3~40万程度、ものによっては80万90万するイヤホンも珍しくなくなってきましたが、音質的な面では8~10万前後で一旦十分な音質は得られるように感じます。
正確なヘッドホンやイヤホンはもう持ってるという方や、ワイヤレス系よりももう少し音質の良いイヤホンが欲しいという方なんかには非常におすすめできるイヤホンだと感じました。
この価格帯は各メーカー気合の入ったモデルが出揃ってくるところでもあるので、お店で色々聴き比べて好みのものを見つけてみてはいかがでしょうか。
これを買ってからまた音楽を聴くのが楽しくなっています。


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