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Tale「しんに」内画像文の解読努力

この記事はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承3.0ライセンスに基づき作成されています。

タイトル: SCP-511-JP - けりよ
著者: ©︎Pear_QU
URL: http://scp-jp.wikidot.com/scp-511-jp
作成年: 2020

タイトル: しんに
著者: ©︎Pear_QU
URL: http://scp-jp.wikidot.com/sinni
作成年: 2020


我があだ名は「言語砕き」

SCPのTale作品「しんに」には、謎めいた文字が書かれた画像がアップロードされている。名前は「のろい」。人間性の暗い側面の表れであることは隠さない画像だが、文字内容は秘匿されていて難解だ。というか造語が多くてほとんど読めない。なので正確な意味は不明だ。

しかし漢字ではあるので、偏(へん)旁(つくり)に分解できるところは分解できそうではある。そして分解して解読してみて画像文を読めた気分になれば楽しいなあ、というのがこの記事の主題。

文字の解読順は以下の画像における1~4の順番で進めていきます。

画像「のろい」_色調補正加工後

正確さは可能な限り追求してはいるが、元画像において一字一字が不鮮明であるため正確に読めている気は実のところ全く御座いません。そういう適当な分析なので、あまり肩肘張らずに読んで頂ければ幸いです。


①右の縦7字

・1文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_右縦7字の1字目

何となくだが「夕偏+明」という成り立ちに見える。ので「夕へんに明」でレッツGooglen!……とやったところ、コトバンクの「夕明(ゆうあかり)」という記事がヒット。

この熟語の語義は『夕ぐれに残っているほのかなあかり。日が沈んだあとの薄明り。残照。』とのこと。夕暮れとか薄暮とかの時間帯のわずかな明かりの事だろうか。

そしてまた、そこら辺の時間帯の事を「誰(た)そ彼(かれ)時」「逢(お)う魔(ま)が時」とも言う。あっちとこっちが近付く、魔物に遭遇しやすいと言われる時間帯。

となれば1文字目の意味は「誰だ君はと問う逢魔しやすい時間帯の、ほのかな残照」? そういやこのTaleと関連するSCP-511-JPの記事内「鞍橋(くらじ)紀要」の内容として「亥鳴ノ村ニ傳ヘラル逢魔ノ亊」というのがあったなあ。

・2文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_右縦7字の2字目

「夕偏+朋」っぽい。

「朋」の意味は「とも。ともだち。なかま」。朋は象形文字で『古代に財宝とした貝を一対に連ねた形にかたどる。連なるところから、ひいて、なかま、「とも」の意に用いる。』らしい。

ではこの造語の意味は「夕方のともだち、なかま」ぐらいかと思う。邪推した方が楽しいので邪推するけれど、夕方の、逢魔が時のともだち。それ本当に此岸の友達? 彼岸の友達だったりしない?

・3文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_右縦7字の3字目

よく分からない。

ただまあなんとなく「月偏+月+日+心」、もしくは「月偏+日+日+心」に見えなくもない。なんにせよ月偏ではありそう。作中において月は女性と紐づけられた情報であるから、3文字目には「女性」と関連する語義が与えられているとは思う。

「月偏+月+日+心」なら語義は「女性の、月日の気持ち」
「月偏+日+日+心」なら語義は「女性の、日々の気持ち」
とかだろうか。

と言っても本当に文字が読み解けていないので、これこれの組み合わせどうよ?と思われましたらコメント欄から是非お知らせください。

・4文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_右縦7字の4字目

口(くち)かなあ?と思う。下にちろっと何かが飛び出ているので別字の可能性も考えたが、口の異体字「𠮚」(四角の中に点がある)とかを見るとやっぱり口かなあとは思う。

・5文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_右縦7字の5字目(通常状態)

「鬼」の上の点が無い異体字……の鏡文字だと思う。ム部分が反転してるし。ちなみに反転したらこんな感じになりました。

Tale「しんに」内画像「のろい」_右縦7字の5字目(反転状態)

そして「鬼」の語義は「おに。かいぶつ。ばけもの。もののけ。悪神。死者のたましい。人間わざとは思われない。すぐれた」。作品内情報と繋がりそうなのは「ばけもの、もののけ、悪神、死者のたましい」あたりだろうか。

鏡文字になっていることで漢字の「鬼」が持つ意味も反転しているのか別にそこは反転していないのか。さっぱり思いつかない。

・6文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_右縦7字の6字目

7文字目と同じなのか違うのか、判然としない。同じである気もする。何となく「唸」っぽく見える。多分。

「唸」は『うなる。長く低い音を出す。うなり』の意。ただそれが「唸る」という意味で使われているのか、「唸れ」という意味で使われているのかはさっぱり分からない。

・7文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_右縦7字の7字目

6文字目と同じ字であるようにも見える。とすればやはり「唸」


②横2文字

・右のほう

Tale「しんに」内画像「のろい」_[ 型文字列の上2字-右

これは「石偏+明」ではないかと思う。
「石の明かり / 石の明るさ」か「明かりの石 / 明るい石」かは分からないけれど、「明かりの石」だとするなら語のイメージは「石灯篭」とかそこら辺になりそうだ。

・左のほう

Tale「しんに」内画像「のろい」_[ 型文字列の上2字-左

これは「尸(かばね)偏+只」だろうか。

「尸」の語義は『しかばね。かばね。死体。/ かたしろ。先祖をまつるときに、神霊の代わりとなって祭りを受ける人。または、人形などの物。/ つかさどる』。

「只」の成り立ちは『口+八(ことばが後を引く)』。語義は『句末にそえる助字であると同時に、「ただ、それだけ、……のみ」といった限定を示す助字』。

となれば「尸偏+只」の語イメージは「尸only」「just 尸」みたいな感じ? 

だとしても画像内の漢字の語義が「死体しかないよ」なのか「形代しかありません」なのか「単なるただの死体でしかない」のか「ただの単なる形代です」なのかはさっぱり分かりません。

③横2文字

・右のほう

Tale「しんに」内画像「のろい」_[ 型文字列の下2字-右

字が判然としない。恐らく呪偏なのだろうとは思うが、旁が全く分からないのでお手上げ。分かるのは呪偏の足部分の伸び方からして、この漢字も鏡文字なんだろうなということぐらい。旁の部分はさっぱり分からない。この漢字の旁に関する意見は大募集です。本当に読めない。一応この字を反転させたものが以下の画像。

Tale「しんに」内画像「のろい」_[ 型文字列の下2字-右(反転状態)

個人的な見解を述べるならこの漢字は「呪偏+呆」かもしれないとは思ってはいる。
旁の下の方に点が3つあるように見え、そのような書体で表記される漢字は「木」であるから。そしてその上の部分が「口」であるようにも見えたので、口+木で「呆」。自信は皆無です

もしこの漢字が「呪偏+呆」で成り立っているとしたら、その語義は「呪ってぼうっとさせる」「ぼうっとした状態で呪う」かとは思う。繰り返しますが旁部分の解釈には本当に自信がありません。

・左の方


Tale「しんに」内画像「のろい」_[ 型文字列の下2字-左

やっぱりこれも呪偏で、鏡文字ではあると思う。そして反転させたものがこちら。

Tale「しんに」内画像「のろい」_[ 型文字列の下2字-左(反転状態)

読めん。③の漢字2つは画像内でも特に解読が困難な部分だ。旁は「何かぐねぐねしている」ことしか分からない。

個人的には「方」の異体字「𭤧」であるかもしれない、とは思ってはいる。

「方」の意味は「むき、いくつかある物事のうちの一つ。部面。分野。ある土地。都以外の地。かく(角)。四角。四角い。ただしい。きちんとしている。やりかた。てだて。わざ。まさに。ちょうど。係。係の人。身寄り先。…のところ。ころ。時分」。語義が多すぎるので解釈が困難。

そんなところで「呪偏+方」の鏡文字、意味が多いので分かりません


④左の縦7字

・1文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_左縦7字の1字目

これは「曾󠄃」かなあと思わなくもない。「曽」の異体字

「曽」は「曽て かつ-て」などどして用いる漢字。語義は「かつて。これまで。かさねる。かさなる。かさなり。ます。ふえる。すなわち」。割と訳し方が多いので、他の文字を解読しないと何とも言えない。

・2文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_左縦7字の2字目

これもまた「唸」だろうか。確信は全くないけれど。

・3文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_左縦7字の3字目

旁を横に貫く横線からして「唸」とは違うと思う。「口偏+?+心」という構成にも見えるし、「呼+心」という組み合わせにも見える。今のところ筆者は後者推しです。

「呼」という漢字が持つ意味は「よぶ。よびかける。大声を出す。名づける。となえる。息をはく。ああ(嗚呼)。嘆く声」。何となくだが「しんに・けりよ」という作品の雰囲気に合っていそうな意味合い達だ。

なのでこの漢字は「呼+心」で、語義は「名付け、呼びかけ、ああと嘆きの声と息を出す気持ち」かなあと思う。

・4文字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_左縦7字の4字目
Tale「しんに」内画像「のろい」_左縦7字の4字目(反転状態)

これはやっぱり「鬼」の異体字の鏡文字かと思う。

・5~7字目

Tale「しんに」内画像「のろい」_左縦7字の5~7字目

これは明らかに「如律令」だ。迷わなくていいのが本当に助かる。決まり文句だ。普通は「急急如律令」だけど。

「急急如律令」の由来は『中国の漢代の公文書に、本文を書いた後に、「この主旨を心得て、急々に、律令のごとくに行なえ」という意で書き添えた語』とのこと。

で、そこから発展して『道家や陰陽家のまじないのことばとなり、また、悪魔はすみやかに立ち去れの意で祈祷僧がまじないのことばの末に用いた。その後、武芸伝授書の文末にも書かれて、「教えに違(たが)うなかれ」の意を表わした』言葉でもある。

と言う事らを踏まえると、この「如律令」の意味は「この趣旨を心得て、律令(=国法)の如くに行え」とか「悪魔は立ち去れ」ぐらいか。「急急」が無いので「急々」や「すみやかに」の意味は削られている。


解読文を繋げてみる

最後に筆者なりに解読してみた漢字達の語義をまとめて、画像「のろい」内の文章の意味を推察してみようと思う。念押ししておきますが、所々解読できなかった漢字があるので正確なものにはなり得ていません。

そしてこの解釈においては②と③の部分を「右の漢字→左の漢字」という順番で読もうと思う。昔の日本語表記法では『1行が1文字しかない原稿用紙に縦書きをする感覚で文字を書き、読む』という方法で横書きが使われていて、そのため横書き文字は右から左へと読んでいくものだったらしいので。

それでは、以下が画像「のろい」の解読まとめとなります。

誰だ君はと問う逢魔しやすい時間帯の、ほのかな残照
夕方のともだち、なかま
女性の、月日の気持ち / 女性の、日々の気持ち(?)
口(くち)
ばけもの、もののけ、悪神、死者のたましい
(鏡文字なので『「ばけもの、もののけ、悪神、死者のたましい」ではないもの』の可能性もあり)
うなる / 長く低い音を出す / うなり
うなる / 長く低い音を出す / うなり

石の明るさ / 明るい石(石灯籠?)
単なるただの死体 / ただの単なる形代

呪ってぼうっとさせる / ぼうっとした状態で呪う(?)
(鏡文字なので『呪ってぼうっとさせない / ぼうっとした状態で呪わない』の可能性もあり)
呪う方角 / 呪う人 / 呪う方法(?)
(鏡文字なので『「呪う方角 / 呪う人 / 呪う方法」ではない』の可能性もあり)

かつて / かさねる / ふえる / すなわち
うなる / 長く低い音を出す / うなり
名付け、呼びかけ、ああと嘆きの声と息を出す気持ち
ばけもの、もののけ、悪神、死者のたましい
(鏡文字なので『「ばけもの、もののけ、悪神、死者のたましい」ではないもの』の可能性もあり)
この趣旨を心得て、国法の如くに行え / 悪魔は立ち去れ

これをまとまった文章にする技術は筆者にはありません。筆者は情報の原石探しは得意ですが、見つかった情報を組み立てる才能はマイナス値を記録しています。

ですので、できれば読者の方の翻訳が聞きたいです。お優しい方はどうかコメント欄にてその翻訳を筆者に教えていただけますと、とても嬉しいです。


おまけ:シズとゆな

個人的に「皮田シズ」の「シズ」は「賤(しず。賤しい:いや - しい)」ではないかと思う。作中において、シズさんは社会構造によって「下の身分である」と押しやられているようなので。戸籍上の漢字はどうあれ、キャラクターのニュアンスとしては「シズ=賤」かなと。

また「結名」は「ゆな」であり「湯女」かとも思う。「けりよ・しんに」には「モノとしてぞんざいに扱われる女性」の気配が色濃いので。

ちなみに湯女とは江戸幕府非公認の遊女屋で働いていた女性達のこと。彼女達が所属していた遊女屋を「岡場所」と言い、岡場所と吉原は客を取り合う商売敵。吉原の売り上げの一部は幕府のものになるが岡場所の売り上げはそうでないこともあり、岡場所はたびたび幕府によって取り締まられた。

これが正解かどうかは分からないが、そうとも考えられるかなとも思ったので一応書いておくことに。こういう読み解きもできる歴史を踏まえた作品が筆者は大好きです。


情報元

夕明(ゆうあかり)とは? 意味や使い方 - コトバンク

急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)とは? 意味や使い方 - コトバンク

たそがれどき - ウィクショナリー日本語版

逢魔時 - Wikipedia

朋 | 漢字一字 | 漢字ペディア

鬼 | 漢字一字 | 漢字ペディア

唸 | 漢字一字 | 漢字ペディア

尸 | 漢字一字 | 漢字ペディア

只 | 漢字一字 | 漢字ペディア

方 | 漢字一字 | 漢字ペディア

呼 | 漢字一字 | 漢字ペディア

賤 | 漢字一字 | 漢字ペディア

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