見出し画像

『生命とは何だろう?』(長沼毅)を読んで

 生物あるいは生命について科学的に広い視点で学びたいという方に入門書としておすすめできる一冊です。人間を理解するためには、生物としてのヒトを理解する必要があり、そのためには生物進化の歴史を理解する必要があり、さらにそのためには地球や宇宙の歴史もいくらかは理解する必要があります。生物学の世界では近年は分子生物学が急速に発展しており、またアストロバイオロジー(宇宙生物学)や極限環境生物、地下生物圏なども注目されるようになりました。しかし、生物、生命の世界にはまだまだ未知の領域が残されています。
 本書は地球上の生命の起源、生命の本質的な特徴、地球環境の変動と生物進化との関連、ヒト(人類)の生物としての特性などを近年の研究成果なども紹介しながら解説しています。また人類の未来のあり方についての提案もしています。情報量は多くはないものの、わかりやすい文章で書かれています。
 著者は極地や深海など極限環境に生息する生物の探査、研究に携わってきた方です。他の著書として『辺境生物はすごい!』(幻冬舎新書)などがあります。

『生命とは何だろう?』 長沼毅、集英社インターナショナル、2013年

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?