アイリッシュマン
アイリッシュマン、
期待が大き過ぎたのか、、
やっとアルパチーノがでてきても。退屈で、一旦再生を止めた。
なんだか養老院のようなペースで、、
CGの若返りも骨格までは無理らしく、前半の若い時代のシーンはまずそのへんの無理やり感が気になって。。
でも思い直して、また見始めたら、後半までにのめり込んだ。
デニーロ演じるフランク・シーランは所謂ヒットマンなんだけど、軍隊で人を殺した経験から、規律や仁義に適ってさえいれば、赤の他人を殺しても罪悪感を抱くこともない。
マフィアのボスのジョーペシは『殺せ』とは言わない『Take care』とだけ言う。とにかくジョーペシが静かに怖いんだけど笑。
それで、アイリッシュマンは動く。
つまり、忖度だよ。
正義なんかないんだよ。
今の日本の政治家とか官僚と一緒。
悪いことしても悪いと思ってないんだよ。
家族にも、ちょっと出張してくるって嘘ついて、人を殺してくるんだ。
ナチスのアイヒマンと一緒だね。
凡庸な悪。
マフィアにも一目置かれ、デニーロがボディガードする労働組合のドン、ジミーホッファ。
彼を演じるアルパチーノはスカーフェイスのあのキレ具合が戻り降りてきてるよう。
この映画のミソは、デニーロ、パチーノ、ペシの三角形の中で、殺し屋のデニーロが板挟みにあって、初めて人としての倫理と向き合う形になるってところ。
仁義が二つ重なるとどうなるか。
そのあたりの芝居合戦が凄い。
全てが終わり、リアル老人のシークエンス。
ワンスアポンアタイムインアメリカの老境のヌードルスとは違う苦渋がデニーロにあった。
似てるようで違う表現だ。
そりゃそうだよね、あの時は老けメークだったけど、今回はリアルなんだから。
でも、忖度ばかりの自分の人生がなんだったのか、物語の登場人物は全員死に果て、妻と死別し、娘には逃げられ、歩けなくなった自分一人で死を待つ心境。
つまり、何にもないんだね。
話相手は神父だけ。
ワンスアポンアタイムインアメリカの方がまだ思い出に夢があった。
ただ、ただ、忖度の成れの果てがあった。
この映画を見ない方がいい老人はたくさんいるだろう。。絶望を思い知らされるから。
絶望と向き合おうって言う、スコセッシの挑戦状だね。これは。
しかし、まぁ、この写真。やっぱり濃いなぁ。
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