見出し画像

ヒラタクワガタの産卵

今日は採ってきたクワガタの産卵について書いてみます。
夏休みに野外で採ってきたクワガタにエサを与えて飼育する方は多いですが、産卵させて次の世代を育ててみようと言う方はあまり多くないのではないでしょうか。幼虫から成虫まで育てることでさまざまな発見があるものです。
ここでは最も簡単な産卵セットについてご紹介します。身近な雑木林や河川敷で採れるヒラタクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタならこの方法でうまくいくと思います。

昆虫マットとエサだけあればいい

クワガタムシの幼虫は朽木の中にいて、朽木を食べて成長します。クワガタムシのメスはそれぞれの種が好む朽ち具合の朽木に産卵します。
そのため、クワガタの産卵には卵を生みつけるための朽木(産卵木)が必須だと思われています。たしかにオオクワガタは硬めの産卵木が必要です。シイタケ栽培に使われた(まだ新しいような)ホダ木が出回っています。
しかし上記の3種は野外ではオオクワガタが入る朽木よりも柔らかい朽木に入っています。そのため、究極には昆虫マット(ホダ木などを粉砕し発酵させたもの)を硬めにつめれば産卵してくれます。あとは成虫のエサとなるバナナやゼリーがあれば十分です。

産卵セットにはメスだけを入れる

同じ種類のオスとメスを一緒に飼っていれば1週間もすれば交尾しているので産卵セットにはメスだけを入れます。その方がメスは落ち着いてたくさん産むことができます。また、1つのケースに1頭のメスだけを入れることで、より落ち着いて産卵できるほか、共食いを避けられます。産卵を始めたクワガタのメスは栄養補給のため肉食も行うので弱ったメスが食べられたり、過密になった幼虫がメス成虫に食べられたりする恐れがあります。

これを使うと便利

フジコンから発売されている「バイオくち木ブロック」はキノコの菌床栽培に使われた使用済み菌床です。夏の間、ホームセンターで売られていることがあります。

これが今回のターゲットであるクワガタ3種の好む「柔らかい朽木」を再現するのにピッタリなのです。もしかしたら、これら3種以外にも柔らかい朽木を好むオニクワガタ、キンオニクワガタにも使えるかもしれません。今後、検証したいと思います。
使うときは少し水につけてから昆虫マットに埋め込みます。朽木に比べて吸水しやすいので15分ほどでほどよい水分となります。

ケースに1センチほどマットを敷きます。その上に加水したブロックを置きます。ケースは100円ショップのコミックケースです。

隠れるくらいに昆虫マットで埋めていきます。

マットだけでも産卵は可能ですがこうした朽木のようなものがあるとメスは産卵しやすいようです。また、マットだけで産卵させる場合はマットの好みが大変うるさいので試行錯誤が必要です。バイオブロックに産ませるつもりであれば埋め込むためのマットは広葉樹のものなら何でも構わないというメリットがあります。

メスを入れ、できれば高タンパク、高カロリーのゼリーを与えます。1〜2週間に一度ゼリーの減りをみて交換します。産卵していればブロックに穴を開けた跡が見られるようになります。

産卵木を使うデメリット


産卵木を使った場合、幼虫の割り出し(木を削ったりして幼虫を取り出すこと)が大変になります。ドライバーやナタを使って行いますが、何度も飼育していても誤って幼虫をつぶしてしまうことがあります。慣れないとケガをする恐れもあります。その点、このブロックは幼虫が食べ進むとバラバラになりマットと区別がつかなくなっていきます。幼虫の取り出し時にケースをひっくり返しマットの山を崩すだけでいいのです。
また、野外で保管されていたホダ木にはときどきコメツキムシなどのクワガタの幼虫を食べてしまう虫が入っていることがあります。その点、バイオくち木ブロックのもとであるキノコの菌床栽培は室内で行いますので害虫が入り込む心配が小さいのです。

1ヶ月経ったら

いよいよ幼虫の取り出しです。取り出した幼虫を個別に確保するためにルアーケースなどの仕切りのついた入れ物を用意します。あとは飼育ケースをひっくり返すのみ!

ブロックは跡形もなく食べられています。

出るわ出るわ、19頭の幼虫が現れました。1頭のメスでもこれくらい産んでくれます。なお、使用しているケースは100円ショップのお薬ケースです。真ん中あたりの白い幼虫は脱皮中のものです。このような幼虫がでたらあまり触れず、しばらく安静にしておきます。

幼虫の飼育は改めて書くことにします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?