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祝務川さん初ラフ3!「忘れられた怒り」を忘れへんで! センチュリー豊中名曲シリーズVol.22

センチュリー豊中名曲シリーズVol.22
2022年6月11日15時開演 豊中市立文化芸術センター大ホール
指揮  現田茂夫
ピアノ 務川慧悟
管弦楽 日本センチュリー交響楽団

(※最初にこぼれ話笑 アップしようと決めてた日に、まさかの推しのラフ3に関する記事アップ〜! 慌てて拝読して感動して、推しがますます尊くなって。あーこりゃ私のこんなアホ記事アップでけん! あぶなかったー汗。というわけで一旦同日アップしたが、思い直して一日遅れにアップすることにしましたー。ですから推しの記事未読で書いているので、間違ってたらなんか色々すみません)

はあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
あ、長い溜息失礼しました。我が推し務川慧悟さんの人生初のラフマニノフピアノ協奏曲第3番を聴いてきたのですが……いやもう凄かったのなんのって! 考えてみれば終演からもう数日経つのに衝撃が抜けない。でもって務川さん、帰国公演全部終えてパリにすぐ戻ってしまったのよー! 寂しー!はああ…
まあそんなすっかり空虚な気持ちではありますが、この忘れがちな(←忘れるのかい!)私の拙い記憶がまだ多少なりとも残っているうちに、できる限り記録にしておきたいということで、再び拙い文を書き連ねました。
例のごとく私の超偏向的記事となっていますので、我が推し務川慧悟さんのラフ3のみに特化した内容です。御勘弁を。

コンサート前々日のツィッター 。務川さんがインタビューで決意を語っている。

もう大切なお言葉ばかりだからメモしときます。
<僕にとって人生初めて演奏します>
<(ラフ3は)僕が10年ぐらい前に、もう本当にこんなに巨大な曲があるのかと衝撃を受けた作品で、以来ずっと憧れていたんですけれど、まあ弾く機会がずっと来なかったのですが、ついに初めて弾くこととなりました>
<最も難しいコンチェルトと言われていますが、実際に僕が今まで弾いたピアノ曲の中でも確かに最も難しいものでした>
<作品が持っている力というのも本当に巨大で、一つの人生を生きたかのような感触を得られる作品>
<僕も全身全霊を込めて弾きたいと思います>

熱い決意を語る務川さん。ファンも俄然ヒートアップ!

☆公演前

ちょっとここからスケジュールチェックしてみましょう。えっとストーカーぽくてうざいと感じたらすみません。そんな時は「☆さて会場入り」まで飛んで読んでいただけると幸いです。いや、そこからもうざいという…汗。

6月3日に奈良でのコンサートを終えた務川さん。その後は奈良の秘密基地で練習に励んでいらしたのでしょうか。SNSによると少なくとも6月5日までは奈良に確実にいらしたご様子。
6月9日に新大阪での投稿、ということは新幹線で大阪入り。でその日に早速リハーサル。そして6月10日もリハ、11日ゲネプロ、本番という日程。
ここで務川さんのツィートに注目! 大阪入りの前日に反田さんの伴奏ピアノで練習をしたとあるので、6日〜8日は東京? いや実際の大阪入りももちろんわかりませんからね。はい長々すみません。つまり単なる妄想コーナーでした(笑)。
(※務川さんの記事で4ー8日は練習に没頭していたそうです)

☆さて会場入り

残念ながら雨の予報が出て朝からスッキリしない天気だったが、なんせみやまコンセールで<務川さんの会場到着と同時に雨が止んだ>と晴れ男認定してもらった務川さんのコンサートですよ?
当日の曇天や小雨などファンにしたら「なんや、こんなもん。晴れてる晴れてる」というレベル。傘なしでスキップしながら会場へ向かったりましたわ。イェイ!
会場は豊中市立文化芸術センター大ホール。阪急宝塚線曽根駅から徒歩7分くらい。どど〜ん。素敵なホールです。

素敵なホール


会場は満席、大入袋も出たそうです。さすが実力派&人気ピアニスト!
今回のプログラムは「忘れられた怒り」というテーマで他にも「禿山の一夜」とプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」など。
公演時刻となり、まずは禿山が演奏された。(全省略すみません)そしてスタンウェイのフルコンがしずしずと運びこまれる…

雰囲気あるプログラム

☆ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番作品ニ短調作品30

✳️第1楽章
拍手と共に現れた務川慧悟さん。!!燕尾服♡にシルバーのベストに白の蝶ネクタイ……気合いのほどが伝わってくる。表情からも気合が漲ってらっしゃるのが分かり、もうそれだけでこちらも大緊張。ラフ3既に凄いわ。
短い序奏の後、ピアノがリエゾンで第1主題を奏し、そしてすぐピアノが伴奏に。おおっ歯切れが良い。スピードに乗って順調な滑り出しで一気にラフ3の世界へ! なぜか見ているだけの私の動悸も速まるばかり(笑)。
腰を浮かせての渾身のffやfff、対比するようにppの際立つ美しさ、優しさ。いや本当に、務川さんの音のコントロールは凄い。音が埋没することがない。
務川さんの個性や美しさにハッとした箇所は多々あり、例えば中声部がタラララララと下行する音階を奏で上が主メロディ、左手が3分割や6分割で1括りにしたこの辺り!(←語彙!) rit.やcre. dim. でだんだん盛り上げていきffに繋ぐ経過部だが、テンポの変化や強弱の個性がとても感じられて素敵だったー。

1小節も弾けんわ笑

いや私なぞが見たら意味わからんがさすがは激ムズラフ3。改めて聴くとその音数の多さにとにかく圧倒されるし、単純な部分は皆無じゃないか!
そしてossia 大カデンツァは、もう息を飲みただただ極度の緊張感の中でお聴きした。ここはやはりテーマである「忘れられた怒り」の重要ポイントだったのかもしれない。焦燥感とやり場のない怒り。
敢えて「ガンガン弾きまくる」という言葉を使うが、務川さんの姿はまさにその言葉そのものだった。ピアノに屈み込み、一心不乱で弾く姿。頭を振り、何度も腰を浮かし、ffは全身で弾きこむ。激しい鐘。
オケからも会場からも他に音を出す者はなく、ただ激しく音楽を発しているのはピアニストのみ。彼だけが生み出す音楽がホールを凌駕していく。<一つの人生を生きたかのような感触を得られる作品>と務川さんは語った。このカデンツァこそ、彼の生きる証ではないのか。そしてそんな推しの姿を目の前で見て、平常心を保てる観客がいるだろうか? <全身全霊>をまさに目の前で体現する姿に、音に、客席はただ言葉を失い圧倒されるのみだった。
やがて音楽は優しく包み込むようなメロディに戻り、右手がキラキラと輝きながら上昇し落ち着く。第1主題を経て第1楽章終了。はああ、ため息。務川さんも心なしかホッとしているような? マエストロと笑顔を交わす。

✳️第2楽章
ゆったりとした展開。ここも私のポンコツ、しかも冷静さを欠いた思い込み激しい感想を展開するが、普段私はこの雄大なメロディに、ある時は大海を、ある時は夕陽に照らされ風に畝る麦畑をイメージすることが多い。
しかし務川さんの演奏はどちらも違うな、なんだろうと思いながら聴いた。
雄大なメロディの中にもどこか伴う不安感。安らぎの中にも浸りきれない漂う緊迫感、その穏やかさの裏にはきっと何かがあるだろう、ほら! という感じ。まあこれは聴いている私の異様な緊張も理由の一つだとは思うのだよね。いや、なんで私がそんなに緊張するんだって話なんだが、先ほども述べたが本当に音数が多いのよ。それを推しが目の前でずっと弾くのよ? そりゃ緊張するでしょう。愛よ愛。
そしてまさに務川さんのピアノからも深い愛が語られるのだが、複雑な音型やら何やらが(←語彙)そう一筋縄にはいかんよ、人生はと告げる。そう務川さんが語るのは人生。まさに一生を語るような第2楽章だった。
そしてpoco più mossoの部分からはエスプリだよね〜本当に務川さんの本領発揮というか、上手いわあああ。

✳️第3楽章
アタッカで第3楽章。颯爽とした第1主題がカッコよ、お〜グリッサンドが素敵。ロマン派的に響かせるところと響かせないで歯切れよく演奏するところがクッキリ明確で、務川さんが丁寧に楽譜と向き合い練習された姿が浮かんでくる。務川さんもマエストロもオケも互いに息を合わせ、仕掛け、一体となって駆け抜けて行く。
エンディングを予感させるような安らいだ小カデンツァを経て、あとは一気に! フィニッシュ!
大拍手。
自然に湧き上がってくる感情は、もう歓喜しかない! スタンディングオベーション! 
まず最初にマエストロとオケメンバーに挨拶をしてから、客席に向き直った務川さんの目には、興奮の表情でスタンディングオベーションで出迎える多くの観客の姿が入ったはずだ。務川さんの顔にもホッとした表情と、やり遂げた満足感が浮かんでいる。額から流れる汗がライトでキラキラ輝く。
大拍手の中で何度もお辞儀を繰り返す務川さんと一生懸命に拍手をする観客。素晴らしい初ラフ3が今ここで誕生したことを寿ぐ、親密な空間。
終わらない拍手に何度も退出とお辞儀を繰り返し、そして再びピアノに着席する務川さん。
アンコールはバッハ フランス組曲第5番サラバンド。
サントリーでのリサイタルでも、興奮の会場を鎮めるかのように奏でられた曲。それがまた祝祭の静かな締めくくりのように演奏される。あんなに興奮した会場の中で、一人だけでひそやかに奏でられるサラバンドは観客のためのアンコールではあるが、実は務川さんご自身のために弾いているようにも思えた。自分の居場所、心地よい場所へ静かにゆっくり戻っていく務川さん。
しかし観客はそんなに簡単に務川さんを離しませんよ〜。拍手は鳴り止まない。何度も何度も呼び出してしまう(笑)。4、5回目の出入りの後、ようやく終了。そして務川さんの今回の帰国公演も全て終了した。わーん。


☆宴のあとで

今回の演奏は、きっと務川さんの思いや解釈がそのまま現れたラフ3だったのだろう。マエストロとオケも務川さんの気持ちを尊重し寄り添っていて、暖かい雰囲気だった。そしてこれが今回の帰国公演の最終公演。
5月8日のサントリーホールでのJNOとの公演を皮切りに全11公演。オーケストラとの協演、室内楽、リサイタルと全方位を網羅するご活躍、しかも務川さん的にお初物が多かった。シューマンのピアノ協奏曲、伊福部昭のリトミカオスティナータ、ラフ3はどれも今回務川さんの人生初めての演奏。
シューマンの第一回目を聴いたときに、務川さん色溢れる、いわば漢な演奏に衝撃を受けた。非常にストレートに訴えてくる演奏で、これはクララならずとも女子がハート目になるやつ、務川さんはこういうシューマンを弾くのか……ととても好きになったのだが、その後2度3度と聴くうちに演奏が明らかに変わって行くのを目の当たりにした。言葉はあれだがより洗練されていったというか、ゴツゴツしたものが取れて行き、とても美しいシューマンに仕上がっていく過程を見られたのは非常に幸せだった。
でもそこに進化という言葉を使いたくない。だってどの演奏もそれぞれ本当に感銘を受けたし、なんなら一本目の務川色濃厚なシューマンこそ実は大好きだったりするから。と同時にあの約2週間の期間に全力でシューマンに向き合い、変化をし続けた務川さんを改めて尊敬するのだった。そういえば、JNOツアーでメンバーの方などがSNS等で挙げていた写真の中の務川さんは、常にピアノを弾く姿だった。恐らくずっと弾いてらしたのだ、きっと。いや、知りませんが多分。
ラフ3も、今回の務川色濃厚の男っぽさに満ちていた初回演奏を聴けたのが、ファンとしては非常に貴重で幸運だった。恐らく務川さんの次のラフ3は今回とは違うものになるだろうから。
ということで、心に留めておきたい一言はこれ!
「務川さんの初物は聴き逃してはならない!」

さて日本での公演を終えた務川さんは、(※一旦東京へ移動してから)すぐにフランスへ戻られた。23日は修了試験があるのだそう。久しぶりのご自宅だから、嬉しいでしょうね。可憐な蝶もお待ちかねだったご様子。
次のご帰国はなんと嬉しいことに1ヶ月後の7月。次回は7月6日浜離宮朝日ホールにて岡本誠司さんとの公演。フォルテピアノを披露されるそうでめっちゃ楽しみ!

☆おまけ
遠征ついでの「推し散歩」〜

大阪おおきに〜









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