(五十六)猫川柳を楽しむ

『猫川柳』という本がある。猫を題材にした川柳だ。飼い猫を詠んでいることが多いが、野良猫を詠んだのもある。写真入りで面白い本だ。実際、これを読んで大いに笑った。ここで、詠まれている面白い句を紹介する。
〇人の気配 惰眠を邪魔され 腹立って
  この猫は飼い猫でも野良猫でもよい。飼い猫は勿論のこと、野良猫でも、人が集まる所で寝ている人懐っこい猫であれば、常に人に寝顔を覗かれる運命にあると推察する。
猫は運動能力が高くてよく動く半面、よく寝る、その寝顔は可愛いのである。だからちょっかいを受けるのだ。一方、猫は耳がよく、足音から人がくるのを聞き分けていることであろう。眠りを妨げられて気分を害したのだ。猫にとっては痛し痒しといったところだ。
〇希望とは 人間使って 叶えるもの
  野良猫にとって、理想は飼い猫になって安楽に暮らす事だ。そこで、人にアピールして飼い猫にならんとするのだ。「寸を得て尺を望む」の諺通り、飼い主がよく構ってくれれば尚更楽しい飼い猫生活となる。
〇猫曰く 人を飼うのも 楽じゃない
  飼い猫になると、猫好きの飼い主がやたらにさわりに来たり、入りたくもない風呂に入れられたり、嫌いな病院に連れて行かれて注射をされたりするのだ。
   猫の立場に立てば、飼い猫になるのは、他の野良猫と争いをする必要がなくなる利点があるが、煩わしい事が多々あるのだ。
抱っこしたがる飼い主やお腹を撫でたがる飼い主もいるが、猫によっては、それを好まないのもいるのである。子猫のときから風呂に入れていて慣れているのを除けば、成年になってから飼い猫になった猫は、お風呂になかなか慣れないかもしれない。
「猫の気持」は「ニャンコ好みのニャンコ好みの飼い主になってね」といったところだ。
〇天は猫 作って下に 人作る
  猫好きは猫の下僕の振りをしたがるが、人と猫の関係は単純な関係ではない。
猫と人が出会った時に、戦いの鐘が鳴ったのだ。猫は人を引き付けて関心をもたせ、最後には飼い主となることを決心する様に仕向けるのが猫の手練手管だ。
飼い主は主人の様でもあり、下僕の様でもある。なかなか、複雑な関係だ。私も同じような格言を作った
    天は人の上に猫を作り
      人の下に犬を作れり


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