(九十)宋代の小唄「清平樂」を作る

清平樂は宋代に大陸で流行った小唄の一つで、多くの詞人が作っている。中でも、北宋臨川人(現江西省南昌市進賢縣)の人、晏幾道がこの曲ですぐれた詞を残している。
清平樂(留人不住)
留人不住,醉解蘭舟去。
一棹碧濤春水路,過盡曉鶯啼處。
頭楊柳青青,枝枝葉葉離情。
此後錦書休寄,畫樓雲雨無憑。
 <大意>
引き留めるも留め得ず、
彼の女(ひと)は酔いてもやいを解き行かん。
暁に棹させば春の揚子江に波が立ち、
鶯が鳴く処を過ぎ行かん。
渡しの枝垂れ柳は青々として、
枝枝の葉に別れの表情が。
この後(のち)は手紙を書く勿れ。
画中の楼閣、男女の事は春の夢の如くなり。
 
彼の詞は悲しく美しい。「留人不住,醉解蘭舟去」とは行く者を引きとめようとするが、行く方は酔っていて、船のもやいを解き走らせる。情の深い作者と情の浅い女の間の心のすれ違いを描いている。かって遊んだ揚子江の春の景色を思い出しながら、彼は彼女を諦めようとも思っている。
それでは、当方の詞を紹介しよう。
清平樂(別來夜晩)
別來夜晩,滿月浮雲間。
閒卻無聊春風慢,眼底卿顏勇現。
 
莫教人坐愁城,時時秒秒離情,
只有夜夜閒情,舉頭聽夜風聲。
<大意>
分かれて以来、今は満月が雲間より覗いている
する事もなく
春風が緩やかに吹き、貴方の顔が浮かんでくる
人をして憂いをもたらす勿れ、
刻々と分かれた事を思い出すが
夜毎に暇を持て余し
頭を上げて夜風の声を聽いている
 


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