(七十)秋色の句を鑑賞しよう

これまで、江戸の女流俳人7名の句を紹介してきた。
柏原捨女(かいばらのすてじょ)(1633-1698)
河合智月(かわいちげつ)(1633-1718)
[松尾芭蕉(まつおばしょう)(1644-1694)]
斯波園女(しばそのめ)(1664-1726)
加賀千代女(かがのちよじょ)(1703-1775
[与謝蕪村(よさぶそん)(1716-1784)]
深川秋色(ふかがわのしゅうしき)(1727-1784)
長府菊舎(ちょうふのきくしゃ)(1753-1826)
[小林一茶(こばやしいっさ)(1763-1828)]
須賀川多代女(すかがわのたよめ)(1766-1865)
[]内は江戸の三大俳人。
 
子規は捨女・智月・園女・秋色を江戸四大女流俳人とし、千代女を別格としている。そこで、今回は、秋色(1669-1725)の句を紹介しようと思う。
・井戸端の桜あぶなし酒の酔
   この句は13歳の時の作と伝わり、彼女をして有名にした。花見に上野を訪れた際、井戸端の酔っぱらいに危険を知らせるため、この句を記して枝にくくりつけた。それを上野寛永寺の住職でもあった当時の輪王寺宮が賞賛したため、江戸で評判になった。
・仏めきて心おかるゝはちす哉
  蓮の花は俗説の通り泥にも汚されない仏の様な高貴な花にも思える。その姿は心に残る。
・月にさへ 家ははなれぬ女かな
  月を愛でる時でさえ、家にて愛でるのが女の務めである、という意味と思う。旧時代の女道徳に縛られているようにも思える。彼女には次の句もある。
   身を恥よくねるとあれば女郎花
  俳句に「身を恥じよ」とは風流さに欠けるのではないか。
 
江戸時代の主な女流俳人の句を紹介してきた。江戸の三大女流俳人として、千代女・園女・捨女を挙げたいと思う。三人とも、男子が書けない・書きにくい、女性的な句を多数ものにしている。


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