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逢ひみての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり

本当に人を愛するとはどういうことだろう。 奇跡的に早めに入れてもらえた入院先で、赤ちゃんの心音を聴く機械、NST(ノン・ストレス・テスト)をやりながら考える。 [NSTとは...赤ちゃんの心音や動きを確認し、モニタリング・テストをする。集音器をお腹に付け、それで集計した記録を大型の機械に送り、波型のグラフを排出。胎児の元気度をはかるものだという。] 本当に人を愛するとは、「見る」ことじゃないだろうかと思う。 “see”でもなく、”watch”でもなく、’look’なん

    • 猫を棄てるを読んで〜父について思い出すことなど

      村上さんの新作、『猫を棄てるー父親について語るときー』を読んだ。 時代のうねりに翻弄されていく男性、つまり筆者の父御を、息子の目線から、また小説家の目線から、一つのサンプルのように静謐に、また絡まった糸を解くように、描いているように思った。 戦争入隊に際しての精密な調査は舌を巻くものだった。また時折現れるお父上の俳句も父親として懸命に生きた日々を思い起こさせ、胸にくっと迫って来た。 私の父は戦争へ行かなかったし(まだ5つだった)、ここへ引けるような詩も残さなかったけれど、

    逢ひみての のちの心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり

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