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2024/04/17

黒姫に呼ばれた日。
日帰りにしては遠いから、とか、保育園のお迎えに間に合うか、とか、夜ごはんの準備をする時間がないから、とか、家族に迷惑をかけないか、とか、頭では色々と理由が浮かんできて、当日までためらっていたのだけれど、本心は「今日黒姫に行きたい」だったので、朝夫に相談をして、お暇をもらうことにした。

長距離運転ができないので、電車で黒姫まで向かう。
朝バタバタしたものの、電車の時間に間に合ってひとまず安堵。
出かける直前まで「本当に行っていいのか」と思考がまだごちゃごちゃと言っていたけれど、最寄り駅まで自転車を漕いでいるときに、直感的に、これで大丈夫、と体から言われているような気がした。

通勤通学の時間で混んでいると思いきや上田駅で人がたくさん降りたので、ボックスシートの窓際に座ってしばらく外の景色をぼーっと眺める。
新芽が出てきて、畑も山も若い緑色で覆われ始めてきた。
桜にチューリップにたんぽぽ、水仙。春の花も咲き乱れていて見飽きない。

結局長野に着くまで、山を見ながらぼーっとしていた。
長野からは北しなの線に乗り換えて黒姫まで向かうのだけれど、長野から先は初めてで、景色の想像がつかないワクワクがある。

長野を発ち、進むにつれて電車は街から山の中を分け進んでいくようになり、山の表情が変化していく。
険しさもあるけれど、雄大な景色。

黒姫駅に着いて、しばらく歩くと圧倒的存在感を放つ山の連なりが目に飛び込んできた。
地図で調べたら、飯縄山、黒姫山、妙高山のようで、かっこよすぎて散策中ずっと釘付け。
山頂は雲の傘がかかって見えなかったけれど、山裾が地平線のように横にすーっと伸びていて、どこまでも山。

街を歩いていても、玄関が北海道の家みたいに二重になっていたり、長岡や上越ナンバーの車がよく走っていたり、北信に来たのだなぁ、と実感する。
あと、この街は人が自然より前に出ようとしていない印象を受けた。
自然に逆らわない。そんなかんじ。

1番の目的はバラック食堂で『パリの菜食生活』というヴィーガン本の著者、室田HAAS万央里さんが作るランチを頂くことだったのだけれど、その前にsiki glocalというグローサリーショップに立ち寄った。
自然食品のほかに日用品や本、シュタイナー玩具があり、素敵なセレクト。
夫にルバーブジャムを、息子に絵本をお土産に買った。

戻る途中に立ち寄った古間神社が私にはとても心地よく。真ん中にチューニングされたよう。

駅のほうへ戻り、ランチが始まる時間に合わせてバラック食堂へ。
歩いているときは全然人に出会わなかったのに、お店に近づくと人がわんさかいてびっくり。
とても人気らしい。ギリギリ1巡目に入れて、帰りの電車の時間のことを伝えたら、早めに出すように取り計らっていただけた。

万央里さんのお料理は素材を尊重するような、エゴのない味。めちゃくちゃ美味しいのに体にすっと消えていく軽やかさがある。ような気がした。

自分<素材なかんじが、黒姫の街の印象とリンクしているように感じて面白いなぁと思った。
念願がひとつ叶い、ほくほくした気持ちで駅に戻り、電車に乗る直前まで黒姫山を眺めていた。

次は夏に家族で来れたらいいなぁ。

帰りは読書をしながらまた鈍行でのんびりと。
お迎えの時間ぎりぎりに帰宅し、その足でお迎えへ。
夜ごはんの準備、朝のうちに少しでもやっておいて助かった。
夫と息子がお風呂に入っている間にさっと仕上げて夜ごはん。
夜は行者ニンニクの肉巻、菜花お浸し、ご飯、味噌汁。
あとはいつものルーティン。

今日思い切って黒姫に行ってよかった。
知らない土地を一人で歩くことは、私にとっては自然への感受性を開いて、自分の内側とつながる行為。
以前は気の向くままにやっていたけれど、ここ数年遠ざかってしまっていたので、家族との時間とバランスをとりながら、少しずつまた再開したいな、と思う。

良い一日でした。