レニィさんと犬。

我が家には、今年11歳になる犬がいる。
犬種は、11年前流行りだったトイプードル。
赤茶の毛玉くんだった犬も、年のせいか色が薄くなっていき、毛先は若干白っぽい。

本当は、妹の中学受験合格祝いに飼い始めた犬なのに
気がつけば、何故だか常に世話をするのはわたしになっていた。

小さい頃から動物が好きだったこともあって、
積極的に関わったというのもあるけれど、
たまに、何故妹ではなくわたしが世話をしているのかと、イラッと来たりしつつも、
懐かれていることに喜んだり、
主人として厳しく接したり、
そんな感じで、お犬様とお付き合いしてきた。

そんなお犬様が、数日前に体調を崩した。

うちのお犬様は、あんまり胃腸が強くなくて、
その癖拾い食いの悪い癖が抜けないので、
やたらと吐くし、
2度ほど飲み込んだ物で腸が炎症まで起こして、
病院で点滴治療なんかしたりした。

今回もその類かと思ったのだが、
明らかに吐く量も、動きもおかしい。
吐いてるものは赤が混ざっていた。

だから朝一に電話して病院へ連れて行った。

脱水を抑えるための補液と軽い吐き気どめを打ってもらって帰ってきたけれど、
夕方になっても一向に良くならずに、
再度病院へ

悪くなったお犬様は、わたしが卒倒しそうな量の血を抜かれて、検査されて、

出た仮診断は「膵炎」だった。

膵臓は消化を助ける臓器で、他の臓器の側にある
動物病院の先生曰く爆弾の詰まった火薬庫だそうで、
膵炎から連鎖的に他の臓器への炎症が起こるのが怖い病気だと言われる。

それなのに、膵炎に対する特効薬はない。
できるのは、起きている症状を抑えて治す対症療法だけ。

その日のお犬様は、これまた注射嫌いなわたしが卒倒しそうな数の注射を打たれて、帰宅した。

膵炎の仮診断の翌日、
注射のおかげか落ち着いていると思った。
動物病院も本来なら休診で、
わたしも在宅であれ仕事があるからと、
その日一日は様子見していた。

だいぶ良くなってる気がしていた。

その次の日の朝。

大好きなフードの音が聞こえても、
お犬様が寄ってこない。
あげても、いつもなら取られまいと必死に食べるのに、食べたものを残す。

お水なら飲むけれど、飲んでは少量吐くを繰り返していて、
おやつにも見向きしない。

夕方には、水すら受け付けてくれなくなった。

身体は小刻みに震えていた。
痛いからなのでは?と思った。
耐え忍ぶように身体を硬くして、
それが通り過ぎると、疲れ切ったようにくったりとする。

普通じゃない。

急いで病院へ電話を入れた。
予約でいっぱいの中、合間に診てもらえるように予約した。
仕事も早退させてもらって、病院まで犬を抱えて歩いて行った。

お犬様は、また膵炎の仮診断の時と同じだけの注射を打たれた。

明日は、検査と点滴治療で朝から病院へ連れて行く。
痛み止めが飲み薬で出せないのと、
コントロールは病院の方がしやすいからだ。

理屈はわかる。
その方が正しいのもわかる。
対症療法しかない。
最悪は入院だ。

わたしも前に違う病気だが、臓器が腫れて入院したことがあるからわかる。

わからないのは、
お犬様はまだこの先も生きて行けるのかだ。

犬の平均寿命は、長くて15〜16年。
うちのお犬様は、もう11歳。
なんなら、年が明けたらすぐに12歳だ。

うちのお犬様は、
お犬様の寿命のろうそくは、
平均的に見たらもう終わりかけの方なのだ。

だから頭によぎってしまう。

まさか、ここがこの子の終わりなんじゃないかと。

そんなことは誰も言わない。
病院の先生も一言も言っていない。
でも逆に、一言も言われないから余計に考える。

考えてしまうのだ。
願ってしまうのだ。

神様、今年はもういらないんです。
母は怪我と病気を繰り返しました。
母方の祖父はそちらへ行ってしまいました。
父方の祖母も入院します。

神様、やめてください。

うちのお犬様は、まだあと少なくても
4年はわたしといるべきなんだ。
わたしにはまだ、お犬様が必要なんだ。
やめてください。
連れて行かないでください。

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