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議論されないマスクの問題点のハナシ

ちょっと前に岸田首相がマスク着用条件緩和に触れたらしく、その後、それに関連するニュースや主張等をいくつか見ています。

私自身『マスクを着用したほうがベネフィットが上回る』という確信はなく、無駄なことはしたくありません。

そういう意味で、何か確信的な情報が出てくるのを期待していますが、古い誤情報によりマスクを否定する意見が見られます。(有識者として記事を書いている医師ですらそうです。困ったものです。)

そのあたりについて今回軽く記事にまとめておきたいと思います。
なお、内容はこれまでの私の記事と重複する部分がありますので、既に知っている方は適当に飛ばしてください。


◆『マスクの網目はウイルスサイズの50倍』

かなり初期に流布された情報です。
それ自体は間違いでもないです。

しかし、マスクの網目のサイズはマスクにより異なるうえ、マスクはザルのようにサイズで濾過しているわけではありません。

マスクの網目がウイルスサイズの50倍であったとしても100nmの粒子を濾過出来ます。

多くの不織布マスクはPFE99程度であり、それは大雑把に100nmの粒子を99%以上濾過することを意味します。

誤解している人はPFEやN95の試験条件について調べて欲しいです。

また、そもそも『ウイルスと同等の100nmをターゲットにすることが妥当なのか』について考えてみて欲しいところです。(個人的には100nmを重要視する必要はないと考えます。)


◆『2,3時間で新品に替えないと無意味』

マスクの濾過は静電気を利用している。
ということからの意見かと思います。

多くのマスクで静電気が利用されているのは事実ですが、その効果はモノによります。

ナノファイバーフィルターマスクは静電気による性能低下はしないと考えて良いでしょう。

ちなみに、私が最近使用しているマスクは湿度99%で24時間性能維持することを謳っており、第三者の実験によると40時間後もほとんど濾過率が変わらないことを確認しています。

また、いくつかの論文を見た限り、2,3時間で大幅に濾過率が低下するものは見られません。何なら『静電気が大幅に減弱しても濾過率は維持する』という論文を見ています。

具体的には『3M 8210』で蒸気熱処理300分後の濾過性能が95%以上を維持しているという実験結果があります。

なお、IPAなどアルコール処理したものは完全に静電気の効果を奪い性能低下する可能性があり注意が必要です。


◆『どうせエアロゾル感染するからマスクしても無駄』

現在マスクを着用しているほとんどの人はマスクをルーズに着けているため、エアロゾル感染に対しては無力に近いかもしれません。

しかし、それで『無駄だからマスクを外そう』と考える意味がわかりません。

『どうせ傘をさしても雨に濡れるのだから傘をさすのはやめよう』と考えるでしょうか。(でも、大雨の台風並なら傘ささないと思うんで、程度によりますね。)

私の見てきた情報を前提とすると、ウイルスの吸引量と発症率・重症化率に関連性があると考えます。

マスクは、大きめの飛沫の吸引量を減らしている可能性が高く、また、自らの排出も減らします。

発症予防に効果が無かったとしても、自らの排出量を減らすことで空間のリスクを低下させている可能性があります


◆議論されないマスクの問題点

個人的に期待している『議論されて欲しいマスクの問題点』は以下のようなものです。

・子どもの発達への影響
・常態利用した場合に生じ得る健康問題と注意喚起
・市場に流通している粗悪なマスク
・隙間の生じにくい着用方法や優れたマスク
・コロナリスクを想定したマスクのベネフィット評価

子どもへの影響もそうですが、さまざまなリスク(デメリット)についての評価がされていません。

マスクについて様々な意見や解釈があるのは間違いなく、それは曖昧なファクトに基づきます。

これからもマスク着用を推奨するなら、様々な疑問や不安を解消するようなFAQを用意して欲しいものです。


◆おわりに

私はマスクに関する情報を色々と見ているほうですが、リスク(デメリット)が定量化出来ないという問題が大きいと思っています。

それに対してコロナのリスクは低く見積もられており、そのバランスからしたら『マスクを外そう』という流れになるのは理解出来ます。

しかし、それと『マスクの効果』(特に技術的なファクト)は別の話です。
誤った情報を強く発信している方は信頼性を損なうことになりますので、気をつけたほうが良いでしょう。

今後、議論が進むことを期待しています。

(私の認識の誤りを指摘していただける方は、コメントでぜひお願いします!)


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