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マスクからの接触感染リスクは『ほぼ無し』?

今回はマスクからの接触感染に関する記事。

現在は2024年9月であり『今更かよ』と思う人は多いかもしれないが、こういう研究が行われていることは重要であろう。

なにしろ、マスク表面のリスクはコロナ初期に広まった極端な条件による結果(マスク上で7日間感染力を維持する)がコンセンサス(合意事項)となり続けている感がある。

しかし、私がこれまで見てきた研究によると『そこまで気にするほどのもんじゃなくない?』って感じだ。

今回、それを裏付けるような研究を見たのでご紹介。


◆論文引用

対象の論文から一部引用する。リンクは以下。

Sci Rep. 2024; 14: 20211.
Published online 2024 Aug 30. doi: 10.1038/s41598-024-70615-z

汚染されたフェイスマスクの接触によるインフルエンザウイルス伝播の最小化:実験室研究

要旨
汚染されたマスクに触れることによるウイルス伝播のリスクは、感染管理チームが長い間想定してきたことである。しかし、この考えを裏付ける確固たる証拠はこれまで得られていなかった。このリスクについて、人工的に汚染された医療用(手術用)マスクの表面から、マスクの外面をなぞるために使用したヒトの指にうまく移行した生インフルエンザウイルスの量を、さまざまな実験条件下で測定することにより、実験室で調査した。マスクが高レベルのウイルス汚染にさらされているにもかかわらず、これらの実験ではマスクから指への生ウイルス移行はほとんど成功しなかった。

では、なぜ指先を介したマスク表面からのウイルス回収量が少なかったのだろうか?第一に、マスクを通して吸入された空気中のウイルスのすべてがマスクの表層に残るわけではない。表層を通過したウイルスは、指先で触れることはできない。

私たちは、感染制御に対する「一括した」アプローチが、いかに表面を消毒し、手指衛生を良好に保つかという単一のメッセージを送る上で効果的である可能性があることに同意するが、COVID-19パンデミック12で強調された「衛生劇場」の行き過ぎに見られるように、これは行き過ぎになる可能性があると考える。少なくとも他の1つの実臨床研究では、マスク外でのウイルス汚染はほとんど見られなかった13。したがって、その研究は、今回の研究結果や、これらの知見を説明するために議論されたもっともらしいメカニズムとともに、実質的に空気感染する他のヒト呼吸器ウイルスにも適用できる可能性が高い14,15。

Minimal influenza virus transmission from touching contaminated face masks_ a laboratory study - PMC.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.09.09 引用]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11364630/



◆まとめと所感

研究の概略図が以下。A,B,Cの3パターンで異なる粒子サイズが試されている。そして噴霧後のマスク表面を触り培地(MEM)を経由しPCRで確認。

A,B,Cの推定粒子サイズは以下とされている。

  • A: 0.3-5µm

  • B: 0.1~100µm

  • C: 100,200,500µm

私が見たところ条件で気になる点は特に無かった。CではBreathing machine が使われてないが、慣性力で付着するから問題ないということだろう。

結果は以下としている。

マスクが高レベルのウイルス汚染にさらされているにもかかわらず、これらの実験ではマスクから指への生ウイルス移行はほとんど成功しなかった。

マスク表面が低リスクである理由は以下が大きそうだ。

マスクを通して吸入された空気中のウイルスのすべてがマスクの表層に残るわけではない。表層を通過したウイルスは、指先で触れることはできない。

一般的な不織布マスクは3層以上で構成されるが、外層(表層)は粗いためほとんどの粒子は中層(フィルター層)で捕捉されているのだろう。

また、外層に付着したとしても凹凸が大きいため、指で触れられる面積自体が実は少ない。

なお、今回使用されたのはインフルエンザウイルスであることに注意は必要かもしれないが『実質的に空気感染する他のヒト呼吸器ウイルスにも適用できる可能性が高い』としている。


◆おわりに

冒頭で言及した初期の実験(マスク上で7日間)では液滴のサイズが大きく現実的な条件とは異なっていた(直径2.5mm程度)。

大きな飛沫がべっとりと付着した場合に相応のリスクは生じるだろうが、今回のほうが実態に即した条件と言えるだろう。

マスクはTPOで有効活用したいものである。

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