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マスク着用者のほうが感染率が高い可能性について考える。

前回の記事でノルウェーのマスク研究について取り上げた。

マスクを着けたほうが40%感染リスクが高い、といった内容だが、私見としては研究内容が雑すぎて参考にならない。

しかし私は、マスク着用者のほうが感染率が高い、という可能性もゼロではないと考えている。

個人の憶測にすぎないが、今回はそのあたりをざっくりとまとめる。


◆マスク着用の効果

私は一般的なマスク着用による防御効果を低く見積もっている。

理由は漏れ率が高いからだ。
それを意識せずに着用している人がほとんどであるため、おそらく中央値は8割くらいの漏れ率だろう。

KF94,KN95でもそれは変わらない。

耳紐で着圧調整ができる『LG Airwasher(KF94)』や、フック付きの『3M 9013(KF94)』等では低い漏れ率が期待できるが、着けている人は少ない。
N95,DS2を日常的に着けている人はもっと少ないだろう。

◇◇◇

他者への感染リスクを減らす意味での着用効果では有意差を出せると推測しているが、その仮説を統計的に証明するのはなかなか難しい。

つまり、任意のサンプル集団の比較ではマスク着用によるデメリットのみが影響し『マスク着用者のほうが感染リスクが高い』という結果になったとしても、個人的には不思議でもない。
(そこまでの影響は無いと推測しているが)


◆デメリットについて

マスク着用によるデメリットは様々言われている。
影響する可能性があるものとして私は以下を考えている。

  • 口呼吸の増加

  • 免疫機能低下

  • 有害物質の影響

なお、接触感染、不潔のリスクについては最近の記事で書いたので今回は取りあげない。おかしな運用をしなければたいした影響は無いだろう。

上記について個々に説明する。


◆口呼吸の増加

マスク着用により口呼吸になりやすい、という説はよく見る。

口呼吸によるリスクは論文等で示されたものを見ていないので何とも言えないが、その仮説(感染症を発症しやすい)が正しい場合、影響は大きいかもしれない。

◇◇◇

ちなみに私はマスクを着けることで口呼吸の割合が減っている。

コロナ前は花粉症やPM2.5やらで慢性鼻炎気味で、鼻が詰まると口呼吸になりがちだった。しかし、マスクをガチで着用することでそれらは明らかに改善した。結果的に口呼吸の割合は大幅に減っている。


◆免疫機能低下

マスク着用により免疫力が下がる、という説もよく見る。
その論拠を示すのは難しいだろうが、単純に息がしにくくなるのは事実だ。

N95マスク着用による一時的な健康被害は論文でも示されている。
人によっては普通の不織布マスクでも同様の健康被害を実感する人はいるかもしれない。

頭痛や集中力の低下、精神的なストレスは一時的であれ免疫機能へ負の影響を与え、感染時の発症リスクを上げているのかもしれない。


◆有害物質の影響

マスクから有害物質が検出されるのは論文で示されている。
(すべてで、ではなくモノによるが)

開封直後のマスクのTVOC(総揮発性有機化合物)は高い場合があり注意が必要だろう。1日に数度も新しいものに付け替えている人はそのような影響を受けているかもしれない。

また、鉛(Pb)などの有害物質が検出されるものがある。
粗悪なマスクを使用した場合、そのようなリスクはあるかもしれない。

◇◇◇

ちなみに、TVOCも鉛も通常の環境に存在しうる。
通常時の曝露量と比較し、マスク着用でどれほどリスク(発症率)が増加するのかは不明である。

逆に、マスクを着用することで有害物質を吸引する量が減る可能性もある。


◆まとめ

総合したリスク/ベネフィット評価は不可能に近いだろうが、個人的には『過去長いあいだ産業利用されてきた実績』が大きい。

大人が普通に使用する分にはたいしたリスクは無いだろうと推測している。

また、コロナ禍では様々な感染症の報告数が明らかに減少したため、いわゆる『ベネフィットが上回る』という判断は可能かと思う。

◇◇◇

なお、安価なマスクや割安なKF94,KN95を使用するのはリスクがあると考えている。

傾向として安価なほどTVOCや有害物質のリスクは高いだろうし、フィルター性能も悪い(息がしにくい)だろうからだ。

マスク選定において、JIS規格に適合するものを選ぶことで一定の品質は期待出来る。JIS規格適合のマスクは、以下のような表記がある。

(一社)日本衛生材料工業連合会
[2023.12.03 引用]
https://www.jhpia.or.jp/about/jis/img/jis-t-9001_guideline.pdf

今だったら日本メーカーの有名なマスクはほとんどが適合していると思う。
クラスⅠ、Ⅱ、Ⅲがあるようだが、一般人が使用するぶんにはどれも大きくは変わらないだろう。


◆おわりに

ということで、使用実績や論文の内容から、総じてマスク着用のリスクは低いと考えている。

とはいえ『論文によると運動時のマスク着用でも酸欠にはならない』みたいなのを鵜呑みにするのは違うだろう。

理屈がなんであれ、健康被害を実感するようであればマスクの種類や運用方法を見直したほうがいい。
(着けないという選択を含めて)

マスクはTPOで有効活用したいものである。

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