キノの旅Ⅰ
*ネタバレあります
時雨沢恵一さんの「キノの旅Ⅰ」を読みました
内容は主人公のキノと喋るバイクのエルメス二人でいろんな国を旅する話です
いろんな国というのは普通の国ではなくて、他人の心が読めたり、他国の民を虐殺する国だったり、という変わった国です
人の痛みがわかる国
技術が発展しすぎて、他人の思っていることがわかるようになる薬を開発してしまった国
最初は自分の思っていることを口に出さずに相手に伝えれる素晴らしさに感動していたが、
相手の思っていることがわかるというのは徐々に人間関係を破壊していく
思ったことが全部伝わるので、普段は相手に気を遣って言わないことも全て伝わる
例えば、この人の話面白くないんだよなーって思っても、別に口に出して言わないじゃないですか?
それが全て相手に伝わってしまうので、人間関係が徐々に崩壊していく
また、感情というのも伝搬するので、交通事故に遭い死の淵を彷徨っている人の激烈な痛みの苦痛の感情などが、周りにいた人にも伝わって、その周辺は絶叫に包まれ、地獄みたいな感じになる
こうやって人の気持ち、思っていることが全てわかるというのは「進化」ではなくむしろ害悪しか生まなかった
思っていることがわかる範囲はせいぜい30メートル以内にいる人なので、みんな一人一人離れて暮らすようになり
子供も生まれなくなり、その国は全滅するっていうお話
この話がやっぱりキノの旅で一番好きな話かもしれん
めちゃくちゃ人間っぽい
これ、今気づいたんだけど、タイトルの英語版がついてるんだね
「人の痛みがわかる国」だったらI see you(君の思っていることがわかるよ)
「多数決の国」だったらOurselfish
selfishが自己本位なっていう意味だから我々の自己本位な政治みたいな意味かな
平和の国の英語訳をmother's loveにしてるのマジで好き
自分の子供のためなら何の罪もない他国の民を虐殺する話
エルメスの「世界は美しいかどうかは知らないけど、広いね」っていう言葉が好き
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