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筋腫や腺筋症に伴う過多月経をマイクロ波照射で低侵襲に治療する

電子レンジで調理するには水が必要。

電子レンジは電磁波を照射して食材を発熱させ調理を行っています。使われている電磁波の周波数は2.45GHzでマイクロ波に分類されます。
マイクロ波が照射されると効率よく発熱する物質は、電気的特性に基づく分類では誘電体です。水は代表的な誘電体です。エチルアルコールなどのアルコール類も誘電体ですが、調理のための発熱媒体として利用されることはあまりありません。

 肉や野菜は動植物の一部ですから、水がかなり含まれています。この水が発熱媒体となって、電子レンジでは食品そのものが発熱するわけです。水を完全に取り除いて、カラカラに乾かしてしまえば同じ食品でも発熱量は非常に低下します(全く発熱しないわけではありません)。角砂糖はなかなか熱くなりませんが、砂糖水はすぐに熱くなります。ただし、電解質の水溶液では、水の誘電発熱に加えて、原子内で電子の移動による発熱量が増加するので純水の場合のようにマイクロ波照射で温度が上昇し始めるとすぐに発熱量が減少するようなことはありません。電子レンジでは内部に満ち溢れるマイクロ波を器械の外に漏らさないように工夫しています。

 マイクロ波手術器では、発生したマイクロ波を同軸ケーブルに閉じ込めて導きます。最終的に人体内にマイクロ波を照射する際には同軸ケーブルの構造(金属の円筒内の中心部分と先端導体へつながる細いケーブルの間をテフロンで絶縁)をもつ細い針へ導いて先端導体と金属円筒との間のテフロンリングから放出するようになっています。
 発熱量はマイクロ波電極の周囲にできる電場の2乗と比誘電率(詳しく言うと比誘電損)の積に比例します。電場は電極表面から離れるに従い弱くなります。その2乗は少し表面から離れるとすぐに1/10,1/100,1/1000になってしまいます。人体組織内でマイクロ波が照射された場合に、マイクロ波で直接発熱するのは電極から数mmだけです。熱くなった組織の周囲は熱い組織からの熱伝導によって温度があがります。






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