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LGBTQIAのAから見た一般的な人々


私は恋愛ができない

 私は女性にも男性にも恋愛感情を抱くことができません。性欲も持てないし、自分に対して向けられることにも違和感を感じます。

 性自認は女性で、可愛い服や小物やぬいぐるみやキャラクターが大好き。でも、架空のキャラクターでも「恋愛対象」として見ることはできません。すごく好きにはなるけど、子供がぬいぐるみを可愛がったり、おじさんが切手を集めたりする感覚に似ていると思います。

 お話を書くときや、絵を描くとき、好きなキャラクター同士を仲良くさせるのは好き。でも、そこに恋愛感情は持ち込めません。まったくわからないので。ただ仲が良いだけの人たちを書くのが好きです。

 元々そうだったわけではなく、途中からそうなったという少し珍しいケースです。

 でもとにかく今はそうなので、

①自分は恋愛できない
②小説やドラマの恋愛シーンに感情移入しづらい
③自分で恋愛シーンを書こうと思わない

 という特性を持っています。

恋愛ができる人々

 当たり前なのかもしれないけど、世の中のほとんどの人は恋愛をしてるんですよ。これがすごいと思うの。

 何がすごいって、どんなに仕事が忙しくても、どんなに重い病気にかかっていても、どんなに心がボロボロになっていても、彼らは恋愛をしている。
 それって私から見たら、すごい生命力としか言いようがないんですよ。

 だって私は、仕事が忙しかったら帰ってゆっくり休むことしかできない。重い病気にかかったら寝ることしかできないし、心がボロボロになったら病院に行って先生に相談することしかできない。

 そんな時に誰かを好きになって、独占したいとか体を触りたいとか自分を知ってほしいとか、どうしてそんなことが思えるんだろう。すごい。世の中の人々ってすごすぎる。

 これは、コミュ強とかコミュ障とは関係ないと思います。
 人と関わることがものすごく苦手な人や、トラウマを抱えている人だって恋愛感情や性欲はちゃんと持っていますもの。
 今まで一人も友達がいたことがない、という人から性欲を向けられて唖然としたことだってあるわよ。先に友達作れ〜!って。

嫌になることはないの?

 これもすっごく不思議。
 結婚してすごく嫌な目に遭って、疲れ切って離婚した人を労わろうとしたら、もう次の相手がいて忙しいって言うのよ。

 すごい。

 どこからそのパワーが湧いてくるんだろう。摩訶不思議。
 私だったら恋愛に限らず、嫌なことがあったらもうしばらくは挑戦したくないですよ。自転車の練習してて転んだ時のダメージって、みんなどれくらいだったんだろう。私は次にまた乗るまでが大変だったのを覚えています。

 それに、私から見ると、恋愛してる人ってものすごく大変そうなんです。そのことで頭がいっぱいになって、本来やるべきことに手が回らない。悲しんだり苦しんだり憎み合ったり、そんな疲れることよくできるなあ⋯⋯と思ってしまう。

 大学の授業中に恋愛のことで悩んでる人を見た時は、「いや、講義受けなよ⋯⋯ノートとりなよ⋯⋯」と思ったものでした。真面目なんじゃなくて、そのほうがずっと楽だと思うから。恋人さんを満足させるより、先生に褒めてもらうほうがずっと簡単だし自分の心にしっくり来る。

 これはセクシャルアイデンティティじゃなくて「思想」だって、私の家族は言うんだけど、好きでそうなっているわけじゃないんだよ〜! 気づかない間にこういう自分になっていて、最初はずいぶん途方にくれましたからね。

みんなすごいね!

 これに尽きます。
 どうして自分はそれができないのか、どうして他の人は簡単にできるのか、わからないけど、違うんだから仕方ない。

 私はいくつになっても子供なのかもしれない。
 自作小説でも書いたことがあるけど、進路を決定しなければならない二十歳前後の時に、私は三歳に戻ってしまったような恐怖を感じたの。そこから決して十九歳に戻ることはなく、四歳に進んでやり直すこともなく、ずっと三歳のまま止まっている感覚なんですよね。

 仕事はしているし、家のこともやっているし、こうやって文章も書いているし、人と関わったりもしている。恋愛感情を持たなくていいなら、好きな人はいっぱいる。毎日が幸せです。

 でも根本的なところで、自分は三歳に戻ったままなのかもしれません。
 他の人が息をするようにしていることが、私には難しい。三歳の子供がまだ車やバイクを運転できないのと同じように、私は恋愛感情を持つことがどうしてもできない。

 あ! 書いていて気づいたけど、私は車やバイクも運転できません。
 もしかして、自分以外の人に対して責任を持つことがものすごく苦手なのかもしれません。やっぱり子供なのかしらね。

 いや、みんなすごいよ。恋愛や結婚や子育て、ペットを育てることだってすごいと思う。
 私のできないことができる人が、たくさんいる。すごいなあ、と日々思うのでした。

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