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暑熱順化

汗がでるのは熱を冷やそう、上がりすぎた体温をさげようとする体の持つ天然のクーラーシステムなのだが、人により真夏でも涼しげに汗一つかかないひともいれば、滝のようにかくひともいる。
単純にそれだけの情報でもそのひとが熱証よりか寒証よりかがわかったりする。
気温の上昇に、からだがうまく対応できるようになり、暑さになれることで夏のからだへ一皮むけ、熱中症の予防ができるようになるのだが、その暑熱順化ができるまでにガタガタと何かしら調子が悪くなるケースに今はよく遭遇する。
「先生最近お腹がくだってくだってつらいです!」と汗をよくかく熱証のTさん。
職場でも大量の汗をかくので水分補給はかかせない。
普段からも脱水を心配してそのあたりのアドバイスをよくするのだが、今回は少し立ち止まり、このTさんのたびたびお腹が緩くなる下痢の件を考えてみる。
五苓散という漢方処方がある。
お酒の飲みすぎや、二日酔いなどではよく使われる処方だ。
Tさんはお酒ではないが、肉体をつかう職場でここ最近、いつも以上に水分補給を気を付けて、やや胃腸に過剰な水分がたまっているのではと推測してみる。生ものや食べ物にあたったのではないという情報もふくめて。
お腹が冷えるとよくいうが、たびたび送り込まれる多量の水分に腸管の動きが悪くなり水の吸収がうまくいかず下してしまうという事もあるのだ。※1
そこで茯苓といって水の吸収を良くする生薬を含んだ利水剤である五苓散を使ってもいいし、そのようなイメージで足の脾の経絡をつかったり直接お腹ののツボを使ってもいいだろう。
とにもかくにも、夏に向かって冷たいものや過剰な水分をやたら押し付けられる胃腸の気持ちも考えながら暑熱順化をうまくすすめたい。

参考
1:漢方44の鉄則/坂東正造著



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