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えほんやさん



もう、どうしたらいいかわからない。

古本も絵本も愛おしすぎて、わたしの手にはおえない。

時間も脳も足りない。

行くたびに、欲しい…!と思う本がだいたいいつも同じで、というかほぼ全ての本が欲しくなるのだけど、

るすばんさんのあの場所で、あの雰囲気の中にいるからこそ、その本が最大限の魅力を発揮するような気がしていて、

るすばんさんは、愛する本たちを、買い取り、手にして、写真を撮り、販売する、という方法で、古本や絵本に向き合っているようなのだけれど、

目についた古本や絵本が、どんなに愛おしく思えても、そう思わされる冊数が多すぎて、全ては買えないし、すべてを記憶できるほどの脳の容量もない、ゆっくりそれを堪能しながら読むほどの心の余裕もない。わたしはどうしたらいいのかわからなくなる。

本屋としては、気に入ってもらった本を買ってもらうことで生活しているのだから、お客としては買うことが1番お役に立てる方法だとは分かっていても、

自分の手元にやってきて、その本が、るすばんさんに居た時のようにちゃんと愛されるのだろうかと思うと、自信がなくなる。

保存方法の問題もあるけれど、わたしの手元に来ると、その本を目にする人が、ほぼ私しか居なくなるということになる。

だから、いつも戸惑ってしまう。

るすばんさんのお店に入ると、いつも、そういう感情が溢れて、どうしたらいいかわからなくなる。

るすばんさんが古本との向き合い方を見つけたように、わたしも早く、自分なりの向き合い方を見つけたいなと強く感じる。



えほんやるすばんばんするかいしゃ。

すきなひともたくさん居るであろう、とても、とても、すてきなお店。
その、空間づくり、雰囲気、店主さん達の在り方。その全てに惚れています。

最近は、不定期に、期間限定で1ヶ月ずつくらい営業しています。いつも開いているお店に行くタイミングを逃しがちな私にとっては、期間が決まっている方が足を運ぶ理由を作りやすいようで、毎回のように訪れています。


行くたびに、商品の並びも違っているので、時期が違っているので当然だとは思いますが、今回はそれがすごく良いなと思いました。

行くたびに、欲しい…!と思う本がだいたい同じで、そろそろラインナップを覚えてしまいそうなくらい。
外国語で読めない本も多いけど、ずっと眺めていたい本ばかりなのです。

はじめに目についたのは、アンゼルセンの童話全集。
本棚の横の、小さな机?に横たわっている姿が、わたしの目を引きました。

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じっと眺めて、持ち上げて、そのずっしりした、しっかりした造りに、見惚れる。

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イラストや文字、色づかい、古い本の焼け具合。箱に入った、分厚い本。タイトルの箔押し。
古本には、最近の本にはあまり見られない魅力が、たくさん、たくさん、あります。

あぁ、わたしが小学生だったら、何日かこの本を抱え続けて、絶対に読み切るのに。

隣の本棚に目を移すと、可愛らしい表紙や裏表紙が、ところどころに面陳で並べられています。どれも、見覚えがあって、そういえば、前回もその前も欲しいと思った本ではないか…

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欲しいけど、欲しいけど…!
視線を移せば移すほど、欲しい本があっちにもこっちにも。
もう、どうしようもない。

気になっているけれど、買えていない本達をひとつひとつ手にとって、今日はどの本を連れて帰らなきゃいけないのか、探してみる。

表紙は布装で、本文の天だけが黒くなっている本、なんだか面白いな。

三方がオレンジ色の本もあって、可愛らしい。

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小さな小部屋をぐるっと、うろうろ。

壁に立てかけてある本、前回と変わっているな。展示の仕方もほんとうにすきです。
ああ、どの本も、いとおしい。

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英語でもない外国語の読めない絵本たち。表紙も、中身も、どれもこれもかわいい…

かわいい妖精たちが載っている小さめの本。これはもしかしてあの人もすきだろうか?

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少し見上げる棚にも、あれもかわいい、これもかわいい。イラストも、色も、際限ない。背表紙だけでもかわいい。

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奥の部屋から、手前の部屋へ、戻ろうとする小さな廊下にも、いつも展示してある。

きょう置いてあったのは、
「ちいさいおうち」
水色の表紙に、かわいい文字。

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よく見ると、同じ表紙なのに、右開きと左開きが置いてある。片方は古本で、片方は新品。
ん?どういうことだろう?と、見比べてみる。縦書きと横書き、だけでなく、よく読むと翻訳された文章も少し違う。

わたしは、古い方の、文字が縦書きの方が、文字の間隔が読みやすく、文章もすっきりしていて、良いなぁと思った。
内容も、わたしが常日頃から考えていることと近しくて、とても良いお話だと思った。

(のちに店長さんにお話を聞くと、実は新しい方が原作に忠実で、古い方は、当時たくさん絵本をつくられていた方が作成した、どちらかというとニセモノだそう。
おそらく私は、当時この本を作った人が、日本人のために縦書きにして読みやすい日本語訳にした、その情熱を本から感じて、古い方が好きだと感じたのだろう。)

きょうの出会いはこの本だなぁ、買おうかなあ。でもこのお店で、別の版と一緒に並んでいるからこそ価値があるような気がする。
しかも、下の段を見ると、同じタイトルの、全然違った版形、装丁の本がある…

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同じ本で違う版が並んでいるって、すごく面白い…!

そんなことを思いながら、手前の部屋をまた見て回る。

今日はなんだか、やけに絵本が目にとまる。

きかんしゃの話、なぜ戦争が起きるかの話…
短い文章で展開するお話は、考えさせられるような内容もあり、子どもの頃からこういう絵本やお話に囲まれていたりすぐ読める環境だったら、そりゃ発想豊かに育つだろうなぁ、なんてことを考える。
そういえば、この短い文章量でも、子どもの頃読むのは時間がかかったよなぁ。でも大人になってからでも、短くてもこんなに内容のあるお話たちを身の回りに集めておくのってすごく素敵だなぁ。だから絵本を愛する大人がいるのかぁ。

全ては買えないし、所有するには多すぎると感じてしまうわたしには、図書館のように、こういう愛おしい本たちをいつでも読めて、借りても返してもいい場所があったらいいのになぁ。

絵本がすきという人の気持ちを、改めて実感。るすばんさんに来るといつも、るすばんさんの古本や絵本への愛情を、心の深い深いところで感じ入ってしまって、感銘を受けた自分の気持ちのやり場に困る。


この日は本を決めきれず、店内でかかっている曲と同じCDを買うことにした。

レジで店長さんとお話。訪れる度に、たくさんお時間をいただいてしまって申し訳ないのですが、ゆっくり、じっくりと言葉にする様子を見ていることも、発された言葉をじっくりと噛みしめて味わうことも私はすきで、それを込みで「えほんやるすばんばんするかいしゃ」がすきなのだと、毎回実感する。

また必ず来ます。

心に決めて、退店する。


お店を出ると人々が忙しく歩いている。

夢かと思った。


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