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A3!4周年イベストから紐解く「立花いづみの旅立ち」の可能性について

A3!4周年イベスト『トビラを開くのは君の声』よかったですね……とてもよかったですね……。
『鍵』と『扉』に焦点を当て、心のトビラを監督に開けてもらった劇団員たちが、ミックス公演の振り返りという手段を用いて恩返しを行う光景に、心を打たれた監督さんも多いんじゃないかなと思います。

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ミニキャラ達のパーティーもかわいかったね(画面内は豪雨)



さて、今回のイベストで、いづみちゃんは『ここではないどこかの鍵』を拾い、『何が咲くかまだわからない種』を劇団員たちからいただきました。
これらの表現が、『いづみちゃんがMANKAIカンパニーを後にし、まだ見ぬ新たな劇団員を花咲かせる旅に出る』というA3!の物語の終着点を仄めかしているメッセージではないか?と考えたので、今回は文章にまとめさせていただきました。

はじめに:A3!という物語のテーマ

キャプチャ

『今の日々を永遠と信じたい』→『でも永遠なんてものはない』→『でも永遠を信じたくなるような日々にはきっと意味がある』というのは、ACT1の頃から小出しにされており、A3!の物語において非常に重要な役割を持つテーマとなります。
これは4周年限定ボイスで咲也も改めて言及してくれました。他にもACT1、2のメインストーリー最後の咲也と監督との会話で触れられたり、ACT3の副題が『Ever lasting / Nothing lasts forever』であることからも、この『永遠』という概念の扱い方が、A3!の物語の中で主軸とも言えるべきテーマであると考えられます。


他にも第9幕で、柊さんと紬くんは以下のような会話を行いました。

「花に嵐の例えのようだ。咲いた時にはもう、散ることが約束されていた」
「いつかのさよならを嘆くより、何度でも咲いてまた出会える、そんな未来を願いたい」

ACT3前編のPVでも描かれたシーンなので、印象に残っている監督さんも多いと思います。

ACT3では、劇団員たちは様々な『永遠』に対する考えを提示してくれます。
9幕で柊さんは当初「花はいつか散るのだから永遠なんてない」という考えを持っていましたが、紬くんは「たとえ花が散っても、何度でも花は咲き、また出会うことが出来る。そんな永遠を願いたい」と考えます。
そして10幕では、レニさんが願い続けた『立花幸夫の携わる演劇の復活』を、形は幾らか違えど実現させるに至りました。

「今この瞬間が永遠に続くなんてことはないけれど、刻一刻と移り行く季節の中で、また今のような日々に出会えること、そんな永遠を願い続ける」

これこそが、A3!という作品が描きたい『永遠』の在り方なのではないかと私は考えています。


『どこかの鍵』

前置きが長くなってしまいました。ここで4周年イベストの話に戻ります。

4周年イベストでは、劇団員たちを『扉』に見立てて、役者として花開くことを『心のトビラを開く』と表現されています。いづみちゃんは劇団での日々を通じて、劇団員たちの扉の鍵を開けていったというわけですね。

そして、いづみちゃんは『どこかの鍵』をイベスト冒頭で拾います。いづみちゃんは劇団員に対して、鍵の持ち主を探して順番に部屋を巡りますが、遂に最後までこの鍵がどこの物であるのかは分からずじまいでした。

では、この鍵は一体どこの鍵なのでしょう?
ストーリー内では判明しませんが、ここで近藤とホームズが興味深いアドバイスをしてくれます。

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「この鍵には次へ繋がる新しい物語が待ってるかもしれない」

この鍵は、現在のMANKAIカンパニーの劇団員に対する心のトビラの鍵ではなく、まだ見ぬ新たな劇団員の心のトビラを開く鍵なのではないか。そう近藤は提示するわけですね。
そしてホームズはこう続けます。

「そうと決まれば、あなたはここに留まってるわけにはいかないのでは?」

無論、『監督へお礼をするホームズ役の密としての台詞』という観点では、この台詞は「次の部屋に進んでくださいね」と監督を誘導するアナウンスである、という意味になるでしょう。
しかしこのイベストが仄めかしている今後の劇団の在り方を紐解くには、この台詞には重要な意味があると思われます。

この場所に扉がない鍵を使うためには、当然この場所から移動しなくてはならない。もしあなたがこの鍵にあう扉を探すのなら、この劇団に留まっているわけにはいかないのでは?ホームズはそう問いかけてきます。


「MANKAIカンパニーを離れたりしないで、今のまま24人の劇団員を支え続けようよ!鍵なんて忘れてここで楽しく過ごそう!」と考える監督さんもいるかもしれません。それは当然生じる感情です。我々監督さん達にとって24人の劇団員は何よりも大切にすべき家族なのですから。

しかし、三上はこう告げます。

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「その鍵の持ち主、探してあげてください。もしかしたら俺みたいに、落として困っている人がいるかもしれないから」

この三上の台詞は、ACT1での太一の在り方にもそのまま当てはまります。鍵=始まりであり、その鍵を見失った太一に、MANKAIカンパニーでの門出を用意したいづみちゃん。そんな経験から、太一=三上は、その鍵の持ち主を探して心のトビラを開けてあげてください、と告げるわけですね。

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立花いづみの鍵を巡る物語はまだまだ続き、劇団員たちの日々もまだまだ<つづき>があります。劇団での日々が終わりを告げたとしても、それは新たな劇団員を花咲かせる日々の始まりなのかもしれない。月白たちはそう語り掛けます。
また、たとえ監督がこの場を離れたとしても、彼らの劇団の日々はこれからも続きます。彼らのこのエチュードが、監督へのサプライズということもあり、監督の手が一切入らない中で劇団員たちが試行錯誤しながら演じている点も、『監督からの一人立ち』という側面を強調しているのかもしれません。

『謎の種』

イベストの最終盤、劇団員たちはいづみちゃんに『花の種』をプレゼントします。

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「花の種を贈る」という行為は、「新しい花を満開に咲かせてね」というメッセージであり、劇団員たちもまた「監督が新しい花を咲かせる」ことに協力的であることを仄めかしています。
また、MANKAIカンパニーの劇団員たちは、作中でしばしば花に例えられます。花は、最期に種を遺して次の花を咲かせる土壌を整えるまでが一生です。「種を監督に贈る」という行為は、次の世代の劇団員たちに想いを紡ぐ描写としての意味も含まれているかもしれません。

この花の種に加え、「ここではないどこかの鍵を持って扉を探す」というDaydream Partyの趣旨と重ね合わせると、今後のいづみちゃんの在り方に対するアンサーとして一つの答えを導き出している、そんなメッセージをこのイベストから感じました。

いづみちゃんが今後この種をどうするのか、謎の鍵をどうするのかは、今回のイベスト内では明確には語られません。しかし、もし彼女がかつての幸夫さんのようにMANKAIカンパニーを後にして旅立ったとしても、彼女は父親とは違い、劇団員たちに見送られながら後腐れなく旅立つのでしょう。


A3!という物語の終着点

一つのソーシャルゲームというメタ視点から見る『A3!』というコンテンツも、上記の『永遠』に関するスタンスは抱いていると思われます。

ソーシャルゲームの中にも、登場人物が年を取らない(いわゆるサザエさん時空)タイプの作品と、登場人物が年齢を重ねていく作品とがあります。
どちらにも良さがあると思いますが、その中でA3!というコンテンツは後者を選択しました。この選択こそが「この物語はいつか終わる永遠のような日々の、ほんの一幕である」と何よりも雄弁に語っていると思われます。


A3!はACT2~3前半にかけて、何度も『フルール賞』『満開公演』という、物語の終着点を仄めかしています。ここまで『終わり』を尊重している作品なので、物語の終わりに到達した時には、本当の意味でサービスが完遂して終了するのではないか、そう思っています。

世の中にサービス終了したソーシャルゲームは数多くあれど、その多くが「運営が困難になった」ことが理由になってると思うので、「描きたいことを完全完璧に全てやり終えたので、大人気御礼の中で最高の幕引きでサービス終了する」っていう作品を一度見てみたいな……という個人的願望もあります。
(これは決して物語が終わってほしいわけではなくて、「終わりがある物語だからこそ、今この瞬間が輝かしい」「物語はまだまだ読みたいが、それはそれとして永遠が終わるその瞬間は最高の幕引きを期待している」という話です。)

もしフルール賞獲得後にもサービスが続くようなことがあるならば、フルール賞獲得後にA3!の物語は一度完結し、いづみちゃんが新しい旅に出てそこで新たな劇団員を花咲かせるストーリーが新規で始まるとか、そういう方面のコンテンツ展開だったらいいなとか考えております。


あとがき

ここまでお読みいただきありがとうございました。ここで書いたことはすべて妄想マシマシの私の個人的な感想であり、予想が大きく外れている可能性も存分にあり得ます。
ですがこうした予想なしにしても、4周年イベストはとても素敵なストーリーでした。この感想を読んで、皆様の4周年イベストに対する解像度が少しでも高まりましたら幸いです。

最後に自己紹介を。
普段はTwitterで@tosで呟いたものを後日togetterに纏める形でA3!プレイ実況をしております。
togetterはこちら↓

実はちょうど今日アプリ開始から365日目となりました。(このnoteを書こうと思ったのも、一周年の節目だったってのが主な理由でした)

Twitterではジャンル問わず呟きます。たまに絵なんかも描いてます。
普段は真面目な感想とIQ-200くらいの脳死感想がごちゃまぜになった呟きばかりしていますが、興味がありましたらどうぞよろしくお願いします。

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