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【ポ鯖アドカレ4日目】生き残った近接バトロワ、NARAKA: BLADEPOINT

この記事はポ鯖のアドベントカレンダーの4日目です。
前日はあるふ氏による、ドラゴンネストの考察解説回です。
https://aruhuss.hatenablog.com/entry/2024/05/31/210029
じつは執筆者もドラネス開幕ダッシュ勢で、グリーンドラゴン手前くらいまではがっつりやっていたので懐かしいです。このネトゲのギルドバトル、アクション性や役割分担がきれいな相乗効果を成した、大人数PvP対戦の中でも比類ない完成度でした。
さて、今回編集長よりタイトルを指定して依頼されたタイトルが、近接バトロワことNARAKA: BLADEPOINTです。このタイトル、SteamChartsなどを眺めていると常に上位にいるにも関わらず、日本国内では正直なところ存在感がありません。本記事を通じて、いくらかでも本タイトルの魅力が伝われば幸いです。

はじめに

2024年、それはバトルロワイヤル戦国時代が集結し、しばしの平和を謳歌している時代です。ジャンルが成熟したといってよい現況では、各ジャンルにおいて、選別を勝ち残った良質なゲームを遊ぶことができます。
いわゆる銃撃ゲーのバトロワの生き残りとして、下記のようなタイトルがあげられます:PUBG, Apex legends, Fortnite 。数十人のプレイヤーをマップに放ち、生き残ったものが勝者になる!という基本ルールは変わらずとも、リアル系、スポーツ系、建築…など各種特色と長所があり、多様なユーザーコミュニティが構築されています。
さて、本記事では、これら銃撃ゲーとはまたプレイヤー層が異なるであろう近接バトロワの生き残り、"NARAKA: BLADEPOINT"に焦点を当てます。基礎的な情報は下記のようになっています:

https://www.narakathegame.com/jp/
開発 NetEase
アーリーアクセス開始 2021/8
正式サービス開始 2023/8
基本無料、Not Pay to Win (バトルパス・キャラスキン課金)
Steam同時接続 260,000人 @2024/5/30のピークタイム

2021年のサービスインからアップデートを繰り返し、昨年夏にアーリーアクセスが外れました。なお執筆者のプレイ時間は~200h、ステラランクをうろうろしている中級者です。

背景

近接バトロワなるニッチな分野ですが、簡単にこの狭いジャンルを振り返っておきましょう。
先駆者としてそれなりに名前が通っているのはThe Culling:

また、ゲームマスターシステムが特徴的なDarwin project:

MOBA風味のファーム要素を取り入れたものではHUNTER'S ARENA:

残念ながら先達、競合であったこれらのゲームは悉くサービスが終了しており、往時のレビューなどからはその短所が浮かび上がってきます。バトルシステムの未成熟、漁夫有利、ファーミング要素の冗長化、終盤戦の不毛なにらみ合い、ゲームスピードが遅い……。多くは銃撃ゲーバトロワとも共通するところですが、近接戦に特化したことで弱点が増幅されてしまっている部分、といったしいて強調すべき点を挙げてみます。
a. ファーム要素が過少/過多
→ 試合内において探索で獲得し終盤戦を有利にできる要素、すなわち銃の性能向上や所持する弾の量に対応するものの調整が困難
→ 過少でも過多でも、序盤中盤にドラマが起きずつまらない
b. 戦闘が単調
→ ローテンポな体力の削りあいにしかなりがち
→ 漁夫の利戦法の有効性増幅、逆転要素少ない
c. ゲームスピード、キャラの移動の柔軟性
=遠距離攻撃できないor性能が低い以上、高速移動手段の搭載は困難
d. (正直キャラクター造形に魅力がない)
では、生き残った近接バトロワことNARAKAが、いかにして上記の点を克服したか見ていきましょう。

NARAKAの独自性と創造性

本タイトルのゲームデザインにおいて、欠点克服の鍵として以下の2つの寄与が大きいと思われます。

①基礎的な戦闘システムの洗練

DOAの打撃/ホールド/投げの三すくみに似た、白通常/青剛体/赤弾きを備えた、準格ゲー水準の戦闘が楽しめます。1v1で十分楽しめるクオリティに加え、2v2以上ではエクバのようなコンボカット連携/鍵縄を絡めた押し引きなど、チームゲームならではのうまみもあります。
総じて、格ゲーとスポーツ系TPSを組みあわせた高いアクション性を誇り、ファジームーブ、回避キャンセル、鍵縄を絡めたコンボなど、従来の近接バトロワにはなかったスキルアップの余地と深みとを備えています。一定のランクに上がるとランカーが1 v 2をさばくシーンをしばしば見かけることになり、バトロワの運要素過多を嫌い自己効力感が欲しい人にもぴったりです。

・キャラクター×武器
キャラクターにつきスキルUltが一つずつのApex設計に、現地調達で装備できる近接武器が現在10種類、遠距離武器が7種類あります。基本的に遠距離武器の性能は射程もダメージも低く、牽制や追撃など補助的な役割に留まります。スキルはスーパーアーマーやカウンター、デバフなど、立ち回りやコンボ継続で使うものが大半な一方で、乱戦で効果を発揮するAoECCや変身系のUltもあり、画面が派手になって楽しいです。

②試合内のリソースに関するシステム

・高レア武器、魂玉装備による能力強化
ファーム要素により、主に攻撃力や武器を振るモーションの強化が可能です。フルカスタム状態では、判定発生の早い広範囲技やコマンド投げ、ライフスティール攻撃など、いわゆる格ゲーの強技、押しつけ技を放てるようになります。キャラクタ強化のために、レア度の高い武器と武器に対応した魂玉を探すことになります。
・鉤縄による高速移動
"SEKIROバトロワ"とか宣伝している人もいましたが、どこでもパルクールアクションできます。ただし、回数無限ではなく、探索で手に入るアイテムを消費して行われます。これにより、以下の要素につながっています。
縮退回避のためのマクロな高速移動
会敵からスムーズな接近戦への展開
状況不利からの高速離脱

以上がゲーム体験の向上を支えており、先にあげた課題のうち、b.単調な戦闘およびc.低ゲームスピードについては、有効に解決しているように思います。さらに、a. ファームとゲームメイク、に関して戦闘体験部分以外の興味深い要素を挙げます。

③試合進行に関するシステム

本タイトルのゲームメイクの工夫として、中盤までは試合内マネー稼ぎがゲームを支配しているところです。以下の要素が、ゲーム内マネーで解決できます。
◯インベントリ拡張、魂玉のガチャ
◯復活札 = タグ拾い不要で、マネーで復活札を買えば何回でも蘇生可能。
◯落雷お札 = 最高の漁夫対策アイテム
使用すると指定した場所に数十秒続く落雷エリアを召喚します。自チームはノーダメージ/敵勢はノックバック+ダメージ。なお賞味期限があり、第4縮退くらいまでしか使えません。加えて、在庫は全チーム共通であり買い切り早い者勝ちです。
以上のように、キャラを強くする/チームの有利を作る/一人二人死んでもリカバリー可能な体制を作るため、言い換えると保守的に動く場合にも、効率的な試合内マネー確保が重要になります。
NARAKAにおけるマネー確保の手段として、ハイリスクなキルムーブ以外の方法も用意されており、クエストがそれにあたります。指定地点の鐘を鳴らす、付近の敵チームが表示&撃破、などクエストを各地で拾うことができます。救援物資、占拠ポイント、鍵と宝物庫……といったよく見かける要素もありますので、マネー稼ぎを最適化すると通常のバトロワ以上にマップを動く必要に駆られる、というデザインになっています。
さらにユニークなシステムとして、決闘場(回陽境)もあります。マップに現れたワープホールから決闘場に入ることができ、勝者は物資やユニークバフがもらえます。タイマンや3v3が試合として十分楽しめる、近接バトロワならではのシステムですね。敗者は死の宣告状態(5分後に死亡デバフ)で再びマップに放たれます。つまり、キル確保最優先の蛮族が出現します。

上記のリワードシステムにより、古来では可能な限り戦闘回避ファーミングゲームが最適になりがちな序盤中盤に戦闘が発生することが多く、ゲーム体験を向上させています。戦闘発生数を増やしていること、貯蓄があれば雷札で漁夫にも強くなれること、あたりは他のバトロワゲームでも見習ってほしいところです。

④ その他

キャラクター造形 = DOA意識の2.8Dくらいのグラフィック。
TPS視点で自キャラが見えるため、スキンに力が入っています。
キャラメイク = 素体は結構自由なカスタマイズが可能。(ランキング、ソウルキャリバーでみたような光景です)
各種スキンもかっこいい。

玉玲瓏さん from 公式

まとめ

短所を補うシステム面の洗練、習練しがいのある近接戦の搭載により、無事に生き残ったバトロワです。
成功と繁栄は、遊ぶのに困らない程度のSteam同時接続数や公式大会の盛り上がりなどに見て取ることができます。
総じて、銃撃バトロワ民・格ゲー民ともに訴求できるポテンシャルがあるゲームですので、ひとつモルス島に上陸してみてはいかがでしょうか。

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