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あなたがオーディションに落ちる理由。


我ながら今回もまた厳しいことを
書きます。
しかし事実や経験を元に
書いています。
厳しいということは
声優業界界隈が厳しい現場である
ということです。

さて、アニメ、吹き替え、
ボイスドラマ等などの企画主が
オーディションで
何を考えているか?を
考えたことがありますか?
オーディションで落ちた場合、
また落ちた、
どうして落ちたんだろう?
と思ってもその明確な理由が
分からない方が
『自分の実力不足』と
片付けてしまいがちです。
『自分の実力不足』の中にも
明確な理由、
例えば滑舌が
壊滅的に悪いなど
具体的にはっきり浮かびますか?

1番簡単にオーディションの
主催者がどこを見ているか?を
分かる1番良い方法があります。
それは『自分が主催者になって
他の人の実力を審査する』
ことです。
審査される側ではなく
審査する側になることです。
遊びで審査するのではなく、
自分で台本を書き、募集して、
どの役に誰が合うのか、
たくさんの応募者の中から
選ぶのです。
もちろん自分で台本を書き、
場合によっては
自分も一つのキャストを演じ、
自分で人を集め、
自分で編集をして
自分で宣伝もする。
それは並大抵の気力がなければ
できません。
ですが、
今なんでオーディションを
落ちたのか?
は選ぶ側になって
何人もの音源を聞いてみれば
分かります。
そして今の自分に
何が足りないのかも
自然と分かります。
耳が肥えるとでも言いますか。
同じセリフを何十人も同じ課題、
シチュエーションで選ぶ場合
聞いているうちに
いろんな正解が
あることがわかります。
ましてやプロの音響監督さんは
数えきれないほどの声を
聞いているので
声を聴き分けるプロです。
一瞬でわかります。
誰が適任か。
いわゆる合格かということです。

そんなこと言っても
主催者なんてなれないよー笑
という方のために。
今回はプロではありませんが、
ネット声優歴10年以上、
主催・企画主経験のある私が
気付いたことを書いてみたいと
思います。
逆に言うとアマの
主催・企画主でも
このぐらいのことは
考えているのだから
ましてやプロ声優を目指すなら
考えていて当然のレベルだと
思います。
ぜひ参考にして
オーディションに
臨んでほしいと思います。

⭐︎募集開始したら
早めに音源を送る

早めに音源が来ると
耳に残りやすいという利点が
あります。
またやる気があると
感じられます。
音源を早く提出することで
マイナス要素が思いつきません。

⭐︎締切は必ず守る

締切は必須です。
信用という面でも印象は悪いです。
自己都合で締切よりも
遅く送られてきても
音源を聴くことは
ありません。
またこの世界、
信用は大きいです。
締切を破るということは
大きく言えば役を任せられない
ということです。
当然締切を守る方に
役は回ります。
当然です。
代わりはいくらでもいるのです。

⭐︎課題を守らない

課題に書いてあることを
よく読む。
ただ読むのではなく、
何が求められているのかを
きちんと読み解くだけの
読解力を身につけるということ。

ここで課題を出します。
オーディションだと思って
ゲーム感覚で考えてみましょう。

物語概要
全編物語がとても悲しいお話

課題
楽しそうに話している
幸せな時間ではしゃいでいる
家族のシーン

セリフ
「わ―こんなごちそう初めて!
すごく楽しいね!」
こちらのセリフを
言ってください。

だったとします。
この場合あなたなら
どう演じますか?
少しこの先を読む前に
考えてみてください。
よかったらセリフを
録音してください。
そして終わったら
この先を読んでください。

物語が悲しい話なら
悲しそうに
笑っているでしょうか?
楽しいけど手放しで
喜べないような
少し楽しそうな感じでしょうか?
全然楽しめない感じでしょうか?

私が企画主なら選ぶのは
馬鹿騒ぎするぐらい
楽しそうな人です。

どこか違和感がありますか?
なんで?と思いましたか?

もちろんこれだけが
正解ではありません。
でも私なら選考でまず
合格基準はクリアと判断します。
すごく楽しそうであれば選考に
保留として残します。

国語の授業のようになりますが、
課題について解説します。
主催者の私が
ここで求めているのは
楽しそうに話している
幸せな時間ではしゃいでいる
という課題です。
全編物語が悲しくても
他の場面です。
もしかしたら回想シーンなどで
使われるのかもしれません。

主催者の私が求めていること。
楽しそうで、
幸せで、
はしゃいでいる
というワードを導き出し、
お芝居にすると
とてもいいことがあったような
はしゃぎたくなるくらい
幸せな感じを思い浮かべて
この課題を出しました。

もう一度書きますが、

物語が悲しい話なら悲しそうに
笑っているでしょうか?
楽しいけど手放しで
喜べないような
少し楽しそうな感じでしょうか?
全然楽しめない感じでしょうか?

例えば課題をやる応募者が
思いつくであろう
よくありそうな選択が
上記の3つに該当するような
パターンです。

楽しそうで、
幸せで、
はしゃいでいる
というワードから
的外れていることが
理解できますか?

全然楽しそうではないし、
はしゃいでいない。
不合格です。
テーマは大事ですが
悲しい物語だから
自分解釈で悲しいだろうから
悲しく演じるのは
もう全く違うのです。
私なら即不合格です。

これはまだ超初心者レベルです。

実際には原作があったり
登場人物の繊細な心情や
生き様、過去など
複雑に絡み合う中、
正解に近い答えを導き読み解く
国語力が必要です。
私はこれが演技力の中の
重要な要素だと思っています。

キャストに合格すれば
解釈間違いは監督が
リテイクを出します。
しかし、オーディションは
即不合格です。

なぜなら、
課題を演じられない
=台本を演じられない
=台本の意図を汲む力がない
=台本を読み解く実力がない
=役を演じられない
=役を任せられない
=不合格
という仕組みです。

これが声の可愛いかっこいい
だけが声優と勘違いしている
声優志望者が
声のなんとなくやこんな雰囲気?
みたいな演技に
陥ってしまいやすいところです。
声質も大事なのですが、
まずお芝居、感情、
状況、把握など
そこをまず押さえて欲しいと
思います。
なんとなく。雰囲気で。
お芝居をするのが間違いです。
もう一度言いますが、
読解力…国語力とでも
言いましょうか。
国語力のある人に役は回ります。
当然です。
代わりはいくらでもいるからです。

なぜ国語力を
みられているかというと
台本をちゃんと読むことが
できるか?ということだと
思います。
台本に書かれていることを
ちゃんと再現できるのか?
台本に書かれていることを
再現できる国語力があるのか?
台本に書かれていることを
人物の心情を理解できているか?
などを
オーディションでは
みられている気がします。
オーディションは
レッスンではないし、
まして収録は1人のリテイクに
時間もかけられないでしょう。
スタジオ代、人件費など
予算内で製作しているのですから
当然製作をする場であり、
レッスンではありません。
想像するに1人で時間を
押してしまったら
他のキャストの
スケジュール調整もあるでしょう。
キャストが皆人気声優であれば
スケジュールを合わせるのも
一苦労。
時間内で録り終わらなければ
なりません。
できればリテイクなしの
一発どりで収録したい。
それができる実力のある
最高のキャストを集めたいと
私なら思います。
だとすると
お金をかけて
製作しているのですから
国語力があり、
要望にも要望通りにできる
再現性があり、
さらにそれを超えた
オリジナリティも持っている。
アニメなら
そのキャラの持つ声が
画面から飛び出したように
ピッタリの声。
声質がそのキャラに
似合っている。
とまだまだありますが
ピラミッド型に
だんだん振るいに
かけられる感じです。
たまに突拍子もないお芝居をして
合格というイレギュラーの場合も
あるでしょう。
それは表現力が天才かもしくは
そのキャラを再現度が
抜群の天才という
どちらも天才パターンなので
一般にはあまり
参考にならないでしょう。
野球選手になりたいから
いきなり試合で大谷選手の真似を
するような感じです。
ホームランを打つ確率は低いです。
怪我をするか、
最悪関係者から嫌われます。
私ならホームランじゃなければ
ブラックリスト入りです。

音響監督のプロではない私が
これだけ思いつくということは
現場の音響監督は聞いて
一瞬で判断すると思います。

声がいいから受かる
とかいう問題ではないことが
理解してもらえましたか?
実際プロの人気声優でも何度も
オーディションに落ちています。
ということは
声がいいから受かるは
あり得ないということです。

代わりはいくらでもいると
何度も書きました。
例えばアマの企画でもSNSで
CV募集をすると思った5倍以上
応募が来ます。
企画主などの募集よりも明らかに
役をやりたい人が多いのです。
すると企画主はたくさんの中から
選びます。選び放題です。
当然条件の良い人を選びます。
志望者側の自己都合に合わせる
時間があるなら秒で
代わりの人をとります。
それぐらい声優志望者人口は
増え続け減ることは
今後無いのではないかと
私は思っています。

例えば反対に考えると
わかりやすいです。

あなたが声優志望で
声優事務所100社から
うちに来てください!と
依頼が殺到したとします。
条件で選びませんか?
いちいち100社全部と書類審査と
面談して決めますか?
膨大な時間がかかりますよね?
まずは書類審査してある程度
絞ってから決めませんか?
その時に
時間を守らない、
締切を守らない、
音信不通または
締切をすぎても
「今頑張って書類作ってるんで
待ってください!」と言われて
待ちますか?
あなたには他に99社の事務所が
来ています。
そんな時に例えば大手の
青二プロダクションを
始めとする大手10社が
「ぜひうちに!」
と言われたらどうでしょう?
もちろん組織や報酬や仕事などの
条件も申し分ない待遇なら?
事務所担当者もとても熱心に
サポートの連絡をくれるなら?

全面的にサポートさせて頂きます!
大手アニメ枠の案件あります!
年間レギュラーの案件あります!
歌もデビュー案件あります!

と言われたら?
私なら条件で決めます。
いくら今頑張ってます!
待ってください!と
言われたところで
その事務所とは私とは
縁がなかったとお断りします。

この例え話は
声優事務所が声優志望者であり、
あなたが主催者です。
条件がいい大手とは
プロの人気声優にあたります。
どうでしょうか?
主催者は
多くの声優志望者よりも
条件がいいプロの人気声優を
選ぶということです。
企画主側の気持ちを
理解できましたか?

ちょっと長くなりました。
また次回も続きます。


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