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法律事務所のパラリーガル・事務員への転職において役に立つスキルとは?

法律事務所のパラリーガル・事務員は、弁護士の仕事を支える大切な役割を担っています。

パラリーガル・事務員に求められる役割は、法律事務所によっても異なりますが、ある程度共通して求められるスキルがあることも事実です。

そこでこの記事では、法律事務所のパラリーガル・事務員の転職において役に立つスキルについて解説します。


1. パラリーガル・事務員に求められるスキルとは?

法律事務所のパラリーガル・事務員は、実にさまざまな仕事を弁護士から頼まれます。

多様な業務をこなす中でも、一貫してパラリーガル・事務員に求められるスキルとしては、おおむね以下のようなものが挙げられます。

1-1. 弁護士の仕事をよく理解している
パラリーガル・事務員は弁護士をサポートする立場ですので、弁護士の仕事を理解しているということは非常に大切です。

弁護士から何か仕事を頼まれた場合、

「何のためにこの仕事を頼まれたのか」
「どのような点に注意して作業をすればよいのか」

ということについて、自発的に気づくことができるパラリーガル・事務員は非常に重宝されます。

もし現在法律事務所で勤務していて、弁護士と接する機会があるのであれば、業務の中でわからないことをそのままにせず、弁護士に積極的に質問しましょう。

1-2. 細部まで書類を丁寧に読み込む
法律事務所では、パラリーガル・事務員ともに、書類の細かいチェック作業が発生することが多くあります。

パラリーガルであれば、法律的な文書をチェックするケースも多く、その際は、書類が法令で要求される事項をもれなくカバーしているなどを入念に確認する必要があります。

一方、事務員であれば、契約書などの校正作業(プルーフ)を依頼されるケースが多いでしょう。
その際、タイポや書式揺れなどに敏感に気づくことができれば、事務所としてクライアントに提出する成果物のブラッシュアップに繋がります。

いずれにしても、細部まで書類を読み込むことが重要であるということは、パラリーガル・事務員に共通して言えることでしょう。

1-3. (パラリーガルの場合)法律知識
パラリーガルの場合、当然ながら法律知識を備えていることがきわめて重要です。
そのため、パラリーガルとしてキャリアを築いていきたい場合は、日頃から法律の勉強や最新の法改正情報のアップデートを続けていくことが不可欠といえるでしょう。

どのような法律知識が求められるかについては、法律事務所によって異なります。
一般的には、大手法律事務所では特定の専門分野に特化した法律知識、中小法律事務所では幅広い法律知識が求められる傾向にあります。

どういった法律知識を蓄えていくかについては、ご自身がどのようなキャリアを思い描くかによって決めましょう。


2. パラリーガルの転職に役立つ資格3選

パラリーガルは専門的な文書を作成したり、レビューしたりする機会が多い職種です。

パラリーガルになるために資格が必須というわけではありませんが、たとえば以下に挙げる資格を備えていると、パラリーガルとしての転職活動時に大きなアピールに繋がるでしょう。

2-1. 宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産取引の媒介担当者が取得すべきとされている資格ですが、一般的に法律資格の入門編とも位置づけられています。

試験の出題内容は宅建業法と民法が中心であり、資格取得には法律の勉強を必要とします。
そのため、宅地建物取引士を取得している場合、弁護士などから見ても、ある程度法律の素養を身につけた人であると判断される可能性が高いでしょう。

弁護士はパラリーガルに即戦力性を求める傾向にあるため、宅地建物取引士の資格を取得して、法律の土台ができていることをアピールするのは有効といえます。

2-2. 行政書士
行政書士は、法律の専門資格の中でも登竜門と位置づけられている国家資格で、宅地建物取引士と比較すると、取得難易度はかなり高くなります。

しかし、行政書士自体が士業として成り立つほどに専門性が高い資格であると考えられているため、パラリーガルとしての転職には大きくプラスに働くでしょう。

試験の出題内容は、憲法・行政法・民法・商法・基礎法学・一般教養と多岐にわたりますので、資格取得にはコツコツ長期間勉強することが必要です。

2-3. 英語関係の資格(TOEIC、TOEFL、英検など)
特に大手法律事務所のパラリーガルへの転職を目指す場合、英文の法律文書をレビューする機会が発生する可能性が高いため、英語力が大きなアドバンテージになります。

ビジネスの場面で要求される英語の水準は高いため、大手法律事務所のクロスボーダー案件で即戦力として活躍するには、最終的にはTOEIC800TOEFL80英検準1級以上程度のレベルを目指したいところです。

ただし、英語に対して苦手意識がある場合には、英語案件があまり発生しない部署へ配属するようにお願いすることも可能です。
その場合は、英語以外の別の強みをアピールしましょう。


3. 事務員の転職に役立つ資格3選

法律事務所の事務員は、基本的には弁護士や先輩秘書などから仕事を教えてもらえるので、特に資格が必須というわけではありません。

しかし、以下のような資格を備えていれば、弁護士から即戦力として高い評価を得ることができるでしょう。

3-1. 秘書検定
秘書検定は、ビジネスマナーなどの素養を証明する資格として、一般的にも広く知られています。

最近では、弁護士自身がマナーにうるさいケースは少なくなっていますが、来客に対して給仕することなども有り得るため、秘書検定で身につけた知識が役立つ場面も多いでしょう。

3-2. 日商簿記検定
中小法律事務所では、事務員が雑務を一手に引き受けている関係で、法律事務所の確定申告用に帳簿の作成などを任されるケースがあります。

その場合、日商簿記3級程度の知識を身につけておけば、仕事内容をスムーズに理解しやすいでしょう。

日商簿記3級については、取得難易度は比較的低く、数週間程度の勉強で合格できるケースもよくあります。
そのため、すき間の時間などを利用して取得にチャレンジしてみると良いでしょう。

3-3. マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
法律事務所の事務員は、ワードやエクセルなどを用いた書類作成を行う機会もよくあります。

これらの書類作成ソフトを利用するスキルを証明するための資格として、「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」というものがあります。

ワードやエクセルの細かい使い方を知っていると、業務の効率化にも繋がりますので、余裕がある方はチャレンジしてみると良いかもしれません。

4. まとめ

法律事務所のパラリーガル・事務員への転職を目指すにあたっては、特に一緒に働く弁護士の仕事をよく理解することが何よりも大切です。

また、パラリーガルの場合は法律知識があることが前提になりますが、特定の専門分野に特化した法律知識が求められるのか、それとも幅広い法律知識が求められるのかは、法律事務所によって異なります。

パラリーガル・事務員に共通して求められることとしては、丁寧に書類を読み込む、報告・連絡・相談をしっかり行うなど、社会人としての常識に属する内容が多いといえます。

そのため、現在法律事務所のパラリーガル・事務員としての経験がないとしても、一般企業などで誠実に業務に取り組んだ経験をアピールすれば、十分に採用される可能性はあるでしょう。

転職を検討している方は、ぜひ法律事務所のパラリーガル・事務員も、検討の選択肢に加えてみてください。


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