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#534 「日本エイ・ティー・エム事件」東京地裁

2021年3月31日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第534号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【日本エイ・ティー・エム(以下、N社)事件・東京地裁判決】(2020年2月19日)

▽ <主な争点>
有給休暇取得時に支払う「通常の賃金」など

1.事件の概要は?

本件は、N社と期間の定めのある雇用契約を締結して就労していたXが同社に対し、(1)年次有給休暇を取得した際に支払われるべき賃金に未払がある旨主張して、雇用契約に基づく賃金支払請求として、合計9万0952円およびこれに対する遅延損害金の支払、(2)Xが東京労働局にN社の職場環境について相談したことに対する報復として、同社が不当にXの勤務評価を低下させ、短期間の契約を提案し、退職に追い込んだことは不法行為に当たる旨主張して、損害賠償金165万円およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<N社およびXについて>

★ N社は、情報処理機器・装置およびシステムの設計、製造、販売、施工、監理ならびに運用受託業務を業とする会社である。

★ Xは、平成28年7月、N社との間で契約社員として雇用契約を締結し、銀行から業務を受託していたコールセンターにおいて、キャッシュカード、通帳等の紛失盗難届の受付等の業務を担当していたが、29年4月末日付で退職した者である。

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<Xが退職するまでの経緯等について>

▼ 28年11月頃、Xは東京労働局長に対し、上長から扇風機を自席において使用することを認められなくなった問題について、助言・指導を申し出た。その後、N社は東京労働局からの指導を受け、コールセンターの従業員に対し、扇風機の使用方法についてアンケートを実施した。アンケートの実施後、扇風機の取扱いについて変更はなかった。

▼ 29年2月下旬、Xは上長らから仮の評価として評価シートを手渡され、契約満了を検討する結果となったことを告げられた。

▼ 同年3月下旬、Xは上長から評価は変えないが、同年4月1日から8月8日までの4カ月だけ契約を更新するので改善するように告げられ、契約社員雇用契約書を交付された。これについて、Xは交付された契約書に署名押印してN社に提出することはなかった。

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