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#448 「T大学事件」東京地裁立川支部

2017年11月1日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第448号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【T大学事件・東京地裁立川支部判決】(2015年4月16日)

▽ <主な争点>
退職手当規程改正による退職金減額の有効性など

1.事件の概要は?

本件は、公立大学法人であるT大学を退職したAら6名が同大学は根拠なく退職手当を一方的に減額して支給したなどと主張して、労働契約に基づく未払退職手当の支払を求めるとともに不法行為に基づく慰謝料の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<T大学およびAら6名について>

★ T大学は、大学(以下「本件大学」という)を設置および管理する公立大学法人である。本件大学はT市によって設立および運営されてきたが、平成21年4月のT大学の設立(法人化)に伴い、同市から権利義務が承継された。

★ Aら6名(A・B・C・D・E・F)は、T市から本件大学の教職員として採用され、その後、T大学の職員となった者である。

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<T大学の退職手当に関する定め等について>

★ T大学は職員の退職手当に関して、「T大学職員退職手当規程」(以下「本件退職手当規程」という)を定めており、同規程には退職する職員に対し、退職時の勤続期間や退職理由による係数に基づいて算出される基本額に基礎在職期間に応じて算出される調整額を加えた額を退職手当として支給する旨の規定が存在する。

★ T大学は21年4月から25年3月28日までの間、退職する職員に対し、退職手当の基本額に係る調整率100分の104を乗じて基本額を算出して、退職手当を支給していた。なお、本件退職手当規程には調整率に関する規定は存在しない。

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<T市職員の退職手当に関する条例の改正について>

★ T市は同市職員の退職手当に関して、「T市職員の退職手当に関する条例」(以下「本件退職手当条例」という)を定めている。本件大学の教職員の退職手当は21年3月までの間、同条例に基づいて支給されていた。

▼ T市は24年12月、本件退職手当条例について、経過措置を経て、退職手当の基本額に係る調整率を100分の104から100分の87に引き下げる旨の「T市職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」(以下「本件改正条例」という)を制定した(25年2月1日施行)。

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<本件退職手当規程の改正、本件減額支給等について>

▼ T大学は25年3月13日、本件退職手当規程1条2項に基づき準用する本件改正条例附則第1項中「25年2月1日」とあるのを「25年3月29日」とし、規程の施行期日を同月29日とする旨の「T大学職員退職手当規程の一部を改正する規程」(以下「本件改正規程」という)を制定し、同月施行した。

★ 当時、T大学のホームページ上に掲載されていた本件退職手当規程1条には同条2項として、「この規程に定めのない事項については、T市職員の退職手当に関する条例およびその他の退職手当関係条例、規則、通知等を準用する」という趣旨の規定があった。ただし、同規程には1条2項を加える旨の改正規程の公布日や番号は記載されていない。

▼ T大学は同月、Aらを含む教職員に対し、経過措置を経て、調整率を100分の104から100分の87に引き下げる旨の通知(以下「本件減額通知」という)をした。

▼ Aら6名はそれぞれ定年または自己都合の理由により、25年3月31日をもってT大学を退職した。

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