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#329 「フジタ事件」大阪地裁

2013年2月6日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第329号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【フジタ(以下、F社)事件・大阪地裁判決】(2011年8月12日)

▽ <主な争点>
経営上の理由による定年退職後の継続雇用の拒否、更新拒絶など

1.事件の概要は?

本件は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高齢法」という)9条に基づいて高年齢者の雇用確保措置として継続雇用制度を導入しているF社の従業員であったAらが定年退職に当たって継続雇用を拒否され、あるいは定年退職後の継続雇用に当たって更新を拒否されたことは違法無効であるとして、同社に対し、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、定年退職後あるいは継続雇用の更新が拒絶された後の未払賃金等の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<F社、AおよびBについて>

★ F社は、建設工事の請負、企画、設計、監理およびコンサルティング業務その他を営むことを目的とする会社である。

★ AおよびBは、F社に雇用された労働者である。また、Aらは全日本港湾労働組合関西地方建設支部(以下「組合」という)の組合員である。

★ Aは平成20年11月30日、Bは21年10月31日にそれぞれ、満60歳の誕生日の属する月末の到来により、F社が定める定年となった。

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<F社における高齢者雇用確保措置等について>

★ F社は高齢法9条により、高齢者雇用確保措置として、以下のとおり、「継続雇用制度」を導入した。

(1)18年2月、F社は組合および同組合F社工業分会(以下「分会」という)に対し、高齢法9条1項2号の「継続雇用制度」の導入予定を通知した。

(2)18年3月改正の就業規則(以下「本件就業規則」という)41条において、F社社員の定年について、次のとおり定めた。
 1項 定年は満60歳の誕生日の属する月末とし、30日以前に予告して退職するものとする。ただし、本人が希望し、高齢法9条2項に基づく労使協定により定められた基準に該当した者については、同法附則4条に定める年齢まで再雇用する。
 2項 前項ただし書きに該当する再雇用については、別に定める契約社員就業規則による。

(3)本件就業規則41条1項で定める高齢法附則4条によると、以下の期間におけるF社の継続雇用制度等の雇用終了年齢は、次のとおりである。
  平成18年4月1日以降 62歳
  平成19年4月1日以降 63歳
  平成22年4月1日以降 64歳
  平成25年4月1日以降 65歳

<F社と組合との労使協定の定め等について>

★ F社と組合および分会は、19年1月31日付で次の協定を締結した(以下「a協定」といい、同協定によって導入された雇用制度を「本件継続雇用制度」という)。

1項 継続雇用(再雇用)制度の導入にあたって、再雇用の基準を次の通りとする。
現組合員のうち、定年退職後も勤務に精励する意欲を有するもので、以下の基準のいずれにも合致する者
(1)職員基幹層I以上であること
(2)会社の指定する病院の医師より、業務遂行上問題がないと判断されること
(3)定年退職日前3年間に出勤停止の懲戒処分を受けていないこと
2項 上記第1項の基準に合致しないものであっても、特に会社が認めたものについては再雇用する場合がある。
3項 再雇用に際しては、会社が提示した「定年後再雇用指針」に基づき、具体的労働条件について会社と組合と協議を行う。
4項 制度導入時期は18年4月1日よりとする。

★ F社と組合および分会は、20年11月18日付で、Aの継続雇用に関して、次の協定を締結した(以下「b協定」という)。

1項 20年12月1日から1年間。但し、「改正高齢法」に基づき24年11月30日までの間、雇用契約を更新する。
2項以下略

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<F社のAらに対する継続雇用の拒否等について>

▼ F社は21年5月、組合および分会に対し、18年4月から導入している定年再雇用制度の運用を一時中止し、(1)同制度による新たな再雇用契約を行わないことに同意してほしいこと(Bが該当)、(2)現在再雇用中の契約期間を21年10月31日で終了させてほしいこと(Aが該当)、同意が得られなければ、現在締結している契約期間満了後の更新を行わない旨申し入れた。

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