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#343 「World LSK事件」東京地裁

2013年9月4日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第343号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【World LSK(以下、W社)事件・東京地裁判決】(2012年7月30日)

▽ <主な争点>
採用内定取消しに対する損害賠償請求など

1.事件の概要は?

本件は、元の会社で企画課長にあったXがW社への採用が内定したため、元の会社を退職したが、W社より平成23年9月2日に同内定を取り消されたため、424万円余の損害賠償請求をしたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<W社およびXについて>

★ W社は、LEDの販売等を営む会社である。

★ Xは、20年9月、通信事業を営むE社に就職したことに伴い仙台市内に転居し、23年6月には企画課長の地位にあり、月額給与35万1382円を得ていたところ、W社への採用が内定したが、同年9月2日、同内定を取り消された者である。

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<本件採用内定取消しに至った経緯等について>

▼ Xは23年7月上旬(以下、全て同年)、W社の従業員であったAの紹介により、同社との間で「給与月額50万円、試用期間3ヵ月」という条件でW社がXを雇用する旨の話が進み、同社の代表取締役社長であるBと面談することになった。

▼ Xは同月19日、B社長およびAと面談した際、同社長から「是非すぐに来ていただきたい。待遇について試用期間中は執行役員待遇、その後役員としてやっていただきたい」等と言われたところ、「8月一杯は動きがとれないので、9月1日からW社でお世話になります。今の会社へ早急に退職の意思表示をします」と回答し、B社長はこれを了承した。

▼ Xは翌20日、当時の勤務先であるE社に対し、8月31日に退職する意思を伝え、B社長に対してもその旨の連絡をした。そして、7月29日付でE社に対して退職届を提出し受理された。

▼ Xは8月8日、W社でB社長およびAと面談した際、Xがたたき台となる雇用契約書案を作成持参し、細やかな付加条件を話し合い、その結果をまとめることになった。その際、B社長はXに対し、「修正したもので印を押すよ」と述べた後、事務所にいた職員に対し、「9月1日からXさんに来てもらうことになったのでよろしく。研修期間中の2名の雇用契約書をXさんに作ってもらうので協力するように」と指示し、Xに対しては「お盆明けにはパソコンを用意しておく」と述べた。

▼ Xは上記面談の結果、仙台から単身赴任することになった。そして、妻子が引き続き居住することになる仙台市内の借家(E社が社宅として貸借していた物件、以下「本件借家」という)の賃借人名義をW社に変更して同社がその家賃の50%を負担することになったため、同月17日、その手続の電話連絡を不動産会社とB社長に行い、同社長は「了解した」と述べた。

▼ Xは上記面談に基づき、W社で研修中の2名の雇用契約書を作成した。そして、同月19日、雇用契約書への押印や単身赴任寮等の打ち合わせの日程調整のためにB社長に電話をかけ、同月28日に同社長と面談することになった。

▼ Xはその旨をAに連絡していたが、その後、B社長はW社のC副社長を介して、Aに電話をかけ、「8月28日のXとの打ち合わせをキャンセルしたいので、至急Xに連絡してくれ」と指示をしてきたため、Aは同月26日、Xにその旨の連絡をした。

▼ Xは同月30日、B社長に電話をかけ、9月1日に出社する旨を伝えたところ、同社長から「当日は都合が悪いので9月5日に来てくれ」と言われた。

▼ Xは予定通り8月31日、E社を退職し、9月2日、不動産会社から本件借家の名義変更の申し込みがされていない旨の連絡を受け、さらにAから同人が同月1日に解雇通知を受けた旨の電話連絡を受けた。

▼ Xは同日、C副社長から電話で「今回の採用の件については、本日、方針が変更となり、現メンバーで行くこととした。新規の採用はいたしません。ご縁がありませんでした」と告げられた(以下「本件採用内定取消し」という)。Xはこれに驚き、直接B社長から話を聞きたい旨伝えたところ、再度C副社長から連絡があり、「B社長は話をするつもりはない。訴訟するならご自由に。こちらとしては、交通費や宿泊費を返してほしいくらいだ」と述べた。

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