#318 「ヤマダ電機・アデコ事件」大阪地裁
2012年9月5日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第318号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【ヤマダ電機(以下、Y社)・アデコ(以下、A社)事件・大阪地裁判決】(2011年9月5日)
▽ <主な争点>
派遣先会社の従業員の派遣労働者に対する暴行など
1.事件の概要は?
本件は、A社の派遣労働者であったXが平成20年8月24日、Y社の従業員であるBに頭部左側を殴打されたことにより、左耳の聴力を失うなどの傷害を負ったと主張して、Bに対し、不法行為に基づき、Y社に対し、使用者責任に基づき、A社に対し、安全配慮義務違反に基づき、それぞれ損害額合計4529万円余りとこれに対する遅延損害金の連帯支払いを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<Y社、A社、XおよびBについて>
★ Y社は、電気製品等の販売等を主な事業目的とする会社である。
★ A社は、一般労働者派遣事業等を主な事業目的とする会社である。
★ Xは、昭和57年生の女性であり、平成20年2月、A社との間で派遣労働者として雇用契約を締結し、同年3月、Y社のLABI千里店(以下「本件店舗」という)に派遣され、レジ業務を行っていた者である。
★ Bは、Xと同年齢の男性で、Y社の従業員として、本件店舗で洗濯機や冷蔵庫の販売を担当していた者である。
--------------------------------------------------------------------------
<本件暴行とその後の経過等について>
▼ Bは20年8月24日、本件店舗地下一階にある勤怠打刻機前において、右手拳でXの頭部左側を1回殴打した(以下「本件暴行」という)。
▼ Xは同日、病院の緊急外来において、頭部のCTを含む各種診療を受けたが、明らかな異常は認められず、結局、「左側頭部打撲」として5日間程度の加療を要する見込みであると診断された。なお、Xは病院での診察の際、救急外来の医師に対し、「左耳は元々聞こえない」と述べていた。
▼ Xは同月25日、A社に対して退職の申出をし、同社はこれを受け入れた。
▼ Xは同日から21年6月17日にかけて、約70回にわたり、耳鼻咽喉科・内科・精神科等の病院を受診したところ、20年9月には「左感音性難聴」との医師の診断を受けた。
▼ Bは20年9月5日から28日にかけて、Xに対し、慰謝料および治療費等として、合計15万7600円を支払った。
▼ Xは同月19日、Bによる本件暴行について、豊中警察署に被害届を提出したが、Bは同年11月14日、起訴猶予処分を受けた。Xはこの処分について、大阪検察審査会に不服申立てをしたが、不起訴相当との議決がされた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?