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#583 「スタッフマーケティング事件」東京地裁

2023年3月8日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第583号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【スタッフマーケティング(以下、S社)事件・東京地裁判決】(2021年7月6日)

▽ <主な争点>
勤務態度の不良等による派遣労働者の雇止めなど

1.事件の概要は?

本件は、S社と期間の定めのある労働契約を締結して就労していたXが、雇止めの無効を主張して、同社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、雇止め以降本判決確定までの期間における賃金月額29万4737円およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社およびXについて>

★ S社は、労働者派遣事業等を目的とする会社である。

★ Xは、2018年7月頃、S社との間で次の内容の労働契約を締結した者である(以下、更新後の契約を含めて「本件労働契約」という)。なお、本件労働契約は労働者派遣契約として締結されたものではない。
〇期間:2018年7月から9月末日まで
〇労働日数・時間:週5日間・11時から19時まで(休憩1時間)
〇賃金:時給1900円(毎日末締め・翌月15日払)
〇業務内容:家電量販店におけるA社の家電製品の販売促進等
〇就業先:B社(A社から販売促進の業務委託を受け、S社にこれを再委託する会社)
〇作業場所:C店


<本件労働契約の更新状況、本件雇止めに至った経緯等について>

▼ XとS社は本件労働契約を5回更新し、2019年10月1日以降の賃金を時給1938円とすることに合意した。

▼ S社は遅くとも同年12月13日、Xに対し本件労働契約を2020年1月以降更新しない旨の意思表示をした(以下「本件雇止め」という)。

▼ Xは同月23日、S社に対し、本件労働契約の更新の申し込みをした。

★ 2019年10月以降における本件労働契約に基づくXの月平均賃金は、次の計算式のとおり、月額29万4737円である。

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